人生で17歳。体は大人。精神はまだ思春期だとかよく言われる。でもほんとそうだろうか。私自身を考えるに、17歳から今現在、半世紀以上を経ているが、全く成長していないのです。
17歳という年齢は少なくとも私にとっては人生でいちばん多感で知識欲が旺盛で、通常の一年を10倍圧縮したかのような過密な年であった。だからこの年を思春期などでごまかすことはできない。一番自分のことを考えていた年齢なのだ。
さて、映画の方は中学・高校時代から仲良し(だった)の3人の男友だちのいわば青春の通過点を、緻密に正確にそして残酷に描写している。映画は息子を失ったその父親が学校を訪ねるところから始まる。
番を張っているギテ。暴力さえ平気で振るが一番繊細な性格でもある。
ヒジュンがギテとその仲間から暴力に遭っている。完全イジメだ。ヒジュンが自殺したのだと思う観客はそのうち死んだのは加害者のギテだと気付く。面白い脚本だ。光っています。
まともそうなドンユン。彼もギテの心ない言葉で恋人が自殺未遂をする。ストレートに、ギテを追い詰める。二人で向き合う相手の心。痛い。すり減るように痛い。
ギテの感情は友愛というより実際の恋愛に近いと思う。愛する人を独り占めしたく、異常な行動に出る。ヒジュンはギテを無視し転校し、ドンユンはギテを完全否定し高校中退する。二人から拒否されたギテは生きるすべを失ってゆく。
何か、僕の、あの時代を思い浮かべる。17歳という年齢は親、兄弟より友達に影響を受ける度合いが強い。僕も心ない言葉をかけたり、かけられたり、また放課後部室で仲間たちと人生・恋愛・社会について語り合った。
それは今でもかけがえのない時間だった。みんな一つ同じ方向を見ていた感覚があった。それは今でもひきずっていて、僕の人生の底流に蠢いている。そんなことを想い起こさせたいい映画でした。
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