浅田次郎さんがいろいろな著名人と、対談したものをまとめた本『すべたの人生について』です。
李登輝さんとの対談が興味深かったです。いくつか抜粋します。
「個人が一所懸命やることができるのも、国がそれを保証しているからだ。それを自分さえよければ、国のことを考えなくてもいいというのは、通らないんじゃないか」
「国家のために何かするということは、国の主人であることにともなう義務。個人主義だといってそれを放棄することは、実は奴隷的な道を選んでいることになる」
李登輝さん・・・名前は聞いたことがあり、台湾総統だったことぐらいしか分からず、ろくに説明もできない私ですが、視点が広い!と素直に思いました。大きく物をとらえているな・・・と。この意見がよいか、悪いかは別として、物事の見方にはこういう見方もあるんだと改めて思いました。
浅田さんの歴史教育に対する考え方も納得です。以下、抜粋です。
「歴史は何のために学ぶのか・・・自分の今かくある座標ですから、自分がどういう世界で生きているか、自分はどうやって飯を食っているかを確認するための歴史。自分に近いところほど重要だと思う」
私の好きな作家、宮部みゆきさん、高橋克彦さんとの対談もあり、実に面白かったです。特に宮部みゆきさんは浅田さんとは歳も離れているのですが、とても気が合う様子がわかり読んでいて楽しかったです。そして自分が読んだ本の話もチラチラ出てくるので、ちょっとだけ一緒に対談している気分にもなりました。
渡辺淳一さんとの対談では作家に何が必要か・・・みたいな事を話されています。短編小説が作家を成長させるために必要なことであるという話は、へぇ~~と思いました。
直木賞作家の山本一力さんが支えにしている言葉は『明日は味方』、浅田さんもその言葉もらいますと言っていましたが、良い言葉ですよね。
今日がどんなに辛くても、明日は味方。どんなに悲しくても、明日は味方。少しずつでも良いから、明日を味方にして前を向いて行こうよと言われているように感じました。