ぷ~さんのブログ

観劇、読書、趣味の手作りなど、日常で感じたことを書き込んでいきます。

読書10(雪の階 下巻)

2023-04-26 11:31:30 | 読書
奥泉光さんの『雪の階』下巻です。
いや〜読むのに時間がかかりました。昭和初期の背景がなかなか自分の中に入ってこなくて…。

2·26事件に至るまでの陸軍の思い、華族と軍部の対立、そして自分達の血統が1番で穢れた血を受け入れない組織、色々な人たちが絡んできます。

穢れた血は消滅させなければならない…って、これが怖かった。ユダヤ人は穢れた血だからと言うドイツヒトラーにつながるんだと思うけど…。

この本では天皇も純粋な日本人ではない!とある。自分たちこそ宮城に入るべき存在って…

ある意味、マインドコントロールの恐ろしさも感じた。

結果、2·26事件が起きてしまう。

そして、戦争への道筋にじわじわと突き進むんだよね。

主人公の家族のご令嬢、惟佐子さんは親友寿子さんの心中事件を探る中で、実のお兄様のやろうとしていることを知ってしまう。直前で機転をきかせ、2·26事件の蹶起に参加できないようにするのだけど…撃たれてしまう(命は助かる)
その後はどうなるかわからないけれど、厳しい取り調べがあるんだろうなぁ。

いろいろなことが複雑に絡み合って、難しかったけど読み応えがありました。


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観劇10(きらめく星座)

2023-04-22 20:17:39 | 観劇
こまつ座の『きらめく星座』を観劇してきました。

2014年に観劇しているのですが、私の記憶が全く曖昧で、まるで初めて観劇したかのようでした。

出演は松岡依都美さん、久保酎吉さん、村井良大さん、粟野史浩さん、瀬戸さおりさん、後藤浩明さん、木村靖司さん、大鷹明良さん、高倉直人さん、小比類巻諒介さんです。

物語は昭和15年11月3日から始まります。小さなレコード店オデオン堂が舞台。

長男が陸軍を脱走して憲兵に追われたり、非国民と言われたり、つらいシーンもあるのだけど、笑いがあちこちにあり、ホッとすることができます。この家族、脱走した長男を絶対に責めないんですよね。逃避行を続ける長男を明るく見送るんです。
久保さんと松岡さん演じる信吉、ふじ夫婦がとても良いです。イヤな時代だけど、人としての信念が二人とも揺るがない。だからこそ、息子が脱走しても責めることはないのかなぁ。

特にふじ役の松岡さんが素敵でした。
辛ければつらいほど、明るくやり過ごす、そんな感じの人。心には悲しみをいっぱいためているんだろうなぁ。

長女は傷痍軍人と結婚するのだけれど、この傷痍軍人役の粟野史浩さんの人としての変化が心に残ったな。
典型的な軍人、脱走なんて許さない、そうやって教え込まれているのだけど、この家族と共に生活していく中で、少しずつ人間らしさを取り戻していく。その変化が良かったです。

音楽好きの二人が間借りしているオデオン堂。ラストはそれぞれが旅立っていきます。大連に向かう人、長女は夫の通院のため下町へ、オデオン堂の夫婦はお店を経営することにストップがかかり、妻の実家の長崎へ向かいます。
時は昭和16年12月7日。大連、長崎、下町…これからの歴史を思うと、とてもつらい。どうか無事でいてほしいと願ってしまう。

後半の人間とは?の問いかけに答える大鷹明良さんのセリフ。
広い宇宙の中で地球があることが奇跡、その地球に命が宿った事も奇跡、生まれたこと、生きていること、みんな奇跡。だから、生きていかなくてはいけない。

心にずしーんときました。生きることを大切にしなくてはいけない。こんなに大切なことを忘れてしまうときがあります。
その大切さを気づかせてくれる、こまつ座の舞台、やはり好きです。

客席は空席が目立ちました。とても残念…。実際に戦争が起こっている今、多くの人に観てもらいたい舞台です。
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観劇9(帰ってきたマイ·ブラザー)

2023-04-08 21:22:38 | 観劇
作 マギー、演出 小林顕作の『帰ってきたマイ·ブラザー』を観劇してきました。

出演は水谷豊さん、段田安則さん、高橋克実さん、堤真一さん、池谷のぶえさん、峯村リエさん、寺脇康文さんです。

若村4兄弟、上から順に水谷さん、段田さん、高橋さん、堤さん。40年前にブラザー4として人気が出るが引退。それが令和の今、CMソングが脚光を浴び、再結成。

かつてのファン2名(池谷さんと峯村さん)も集まって、会場はうまるのか、ギャラは出るのか、ブラザー4は歌えるのか…色々な課題を乗り越えてフィナーレを迎えます。

面白かったです。
段田さんやら堤さんが、水谷さんの若い頃の真似をするですが、笑えました〜。

峯村さんのラジオパーソナリティの横須賀ペリーが、いいキャラです。多分、堤さんが笑いをこらえていました。

池谷さんと峯村さんは二役ありまして、姉妹でブラザー4のかつてのファンという設定もあります。
推しグッズを持ってくるのですが、とにかく皆さんの写真が若い!そして、やはり堤さんはカッコよかった〜

休憩なしの1時間35分の舞台って言うのも程よくて良いです。
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読書9(雪の階)

2023-04-08 14:03:32 | 読書
奥泉光さんの「雪の階」上巻です。

昭和初期の物語。
華族のお嬢様、笹宮惟佐子さんの親友が失踪する。そして心中という形で遺体が見つかる。疑問をもったお嬢様が謎解きを始めるのだけど……。

文章がなんというか、昭和初期感じでなかなか進まず、ものすごく時間がかかってしまった。軍隊のこととか天皇機関説のことなど、一つ一つ止まってしまう。

後半、若い将校が「国民などいない。戦争を通して一丸となり、一つの目標を目指し国民になるのだ」と演説するところがあるのだけど、ものすごく怖くなった。
その考えの行き着くところがどこにあるか、わかっているから。
昭和10年、確実に戦争に向かっている。
ドイツとの同盟を結ぶこと、ナチスに賛同していること、怖くてたまらない。

お嬢様の惟佐子さんはとても美しい。振り袖姿など読んでいるだけで、素晴らしいと思う。下巻では2·26事件も起きるはず、聡明なお嬢様はどう考えるのか、そして心中事件の真相はどうなるのか。下巻が楽しみ。
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