内田康夫さんの『靖国への帰還』です。
読み応えありました。考えさせられる物語です。
物語は昭和20年、戦闘機「月光」に乗りB29と戦い。帰還中にタイムスリップして2007年にきてしまう。62年後に来てしまうわけです。
戦後の繁栄を目の当たりにし、驚きながらも少しずつ現代の時代に馴染んでいく主人公、武者滋。その中で、自分が生きて現代にいること、生かされている意味は何かを考えます。そして、靖国問題にたどり着くわけです。
あの時代「靖国に帰ろう」が合言葉だった。自分達が守った未来の人達が、靖国を大切にしてくれているだろう・・・・と信じているのです。でも、実際は違った・・・・諸外国との関係、いろいろな問題があることを知る。その中で、靖国とはなんだったのか、考えます。あの時代の戦争に行った人達が、靖国をどう考えていたか語ろうとするのですね。
重いテーマですよ。答えが出ない。一つではない。置かれている立場で物事の良し悪しについての考え方の違いがあることを感じました。男性、女性だけでも考え方が違うと思うのです。
あとがきで作者が書いています。
『面白く読んでいただいて、その中で少しでも靖国神社問題の一端にふれていただければ、作者としては十分満足です」
主人公、武者滋さんは実在の人物だそうです。その方とお会いして、この本がうまれたそうです。
こういうテーマって、敬遠されがちな上、ちょっと偏った考え、信仰のある人じゃないの?って思われたら、とっても怖いのですが・・・・・・私はいたって、元気印の普通のおばさんですから~~(笑)
この物語のラストは・・・・・悲しいです。読み終えた瞬間、『なんで!!』と声に出してしまいました。