コミュニケーション戦略:友好的態度は人のためならず

2020-05-04 15:00:00 | 生活

 

「金美館通りの藤村さん」の動画をこないだ紹介したばかりだが、いやはやすごい勢いで登録者数伸びてるね・・・この勢いだと多分5/10には1万人いくんじゃねーかな。ただまあよくよく考えてみれば、「話が端的にまとまっている」・「話にエスプリがある」・「話に心遣いが感じられる」・「普通に生活していると聞けない裏話が手短に知れる」といった要素が揃っている以上は、伸びないわけがないって話である(低評価がほぼ皆無なのからもわかるが、本当敵を作らない話し方を弁えてるなあと感心する)。

 

さて、それで今回はなんでまた別の動画を紹介してるのかと言うと、ここで話されていることが、自分のブログでもしばしば強調してきたことと連動するなと感じたからだ。

 

具体的には、私は「社会ってのは繋がっているんだから、情けは人のためならずだ」という類の話をよくしているわけだが(ゆえに短絡的な自己責任論は手厳しく批判したりしている)、今回取り上げられている「WIN-WINになるコミュニケーション方法」も本質的に同じである(ちなみになぜWIN-WINという言い方をしているかと言うと、以下の記述をサイコパス的振る舞いの奨励と勘違いする人がいるかもしれないため)。

 

お店に行く人にとっては、「自分は客なんだからもてなされて当たり前だ」という態度を取りたくなるかもしれない。しかし、ここでよく考えてみてほしいのだが、こちらにとって最も望ましいのは、払うのが同じ金額である以上、「相手に最大限のサービスをしてもらう」ことだ。とするなら、利益を最大化する目的でいかなる振る舞い・コミュニケーションを取ればその結果がもたらせるかと考えた場合に、「友好的態度をこちらから取ることで好感を持ってもらい、相手が最大限のサービスを行ってもらう可能性が高くなるように誘導する」のが最も合理的だ、ということになる(これはわざわざゲーム理論などを持ち出すまでもなく理解されることと思う)。

 

あえて嫌な表現をすれば、これは友好的態度≒謙虚な振る舞いをすることそのものが大事という話でもなければ、相手のことを思いやるがゆえに友好的な態度を取るということ(だけ)でもない。「己の利益を踏まえると、結果的に相手に配慮した振る舞いになる」という話なのだ。これが副題にも書いた、「友好的態度は人のためならず」ということに他ならない(これを別の視点で見れば、「キャバクラに接客マニュアルがあるのは当然のことだ」という結論になる)。

 

もっとも、「俺は店長の知り合いだ」といった物言いが通用するシチュエーションが皆無とまで言うつもりはない。もしかすると会社関係でそれに類似したコミュニケーションを取るのが習慣化し特に問題もなかったので、そういう権威主義的・高圧的態度が風俗店の女性にも通用すると勘違いしているのかもしれない(自分が会社でどういうポジションにいるかを自慢したがる人間なども普通にいるらしいしね)。であるならばそれは、相手のことをあまりに知らなすぎると言えるだろう。

 

海外に行くと、店に入る時にこちらから挨拶するのが当然だし、マナーですらある。その時に自分は日本でそんなやり方はしていないと我を通しても、相手から塩対応されてお互いにゲンナリする結果になるだけだ(まさに「郷に入れば郷に従え」やね)。あるいはそう考えると、ベテラン社員などは若手社員との価値観の違いや有効な対応方法の違いという点でも今回の話は有用なのではないだろうか(飲み会で長々と昔話をするとか、説教を始めるとか、相手の立場に立ったら愚の骨頂である)。

 

別に相手におもねる必要はないが、他者をある程度こちらの都合のよい方向へ誘導せねばならない以上は、どういうコミュニケーション方法が最も効果的かを考えて振る舞いを決めるべきだと言える(そしてそれは部下からの信頼や良き成果として自分に返ってくることもあるだろう)。

 

ちなみに、先にも述べたようにコミュニケーション方法を「自己の利益の最大化」という視点で選定するという大目的を理解していれば、外交や政治、交渉事といった場合は先のような話は通用しない。言い方にもよるが、あえて突っぱねる(素振りをする)ことも時には必要なのである(だから外交を仲良しごっとみたいに考えてる連中は全くお話にならねーってことだ)。

 

というわけで風俗は濃密な対人コミュニケーションが行われるので、そこでの有効なコミュニケーションの作法は仕事にもプライベートな人間関係にも通用するし、そういった他者性やWIN-WINの意識は社会や社会政策を考える上でも極めて重要であると述べつつ、この稿を終えることとしたい。


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