「今までおもしろいと思った作品を紹介するだけならすぐに記事が書けるし、楽なんじゃないか」・・・そう思っていた時期が自分にもありました。
しかーし、実はスゲー時間がかかるってことが二つのお勧めシリーズを書いてよくわかったぜ(;´Д`)まあそれでも乗りかかった船なんで、今回は印象的なお勧め映画を紹介しておこーと思います。ちなみにNetfrixで見れるとかそーゆーのまでは調べてないんで、ご了承をば(ぉ)。数が多いので、こちらも10個に絞りました。なお、順番はお勧め順というわけではありませぬ。
注意点として、多くの作品はそれぞれテイストは違うものの、「人間」や「世界の不確実性」が生々しく描かれているものが多いので、精神的にちょっとキてるなと思う人はあんまし見ない方がいいかもしれない。ちなみに後半の半分くらいはえらい紹介が短いが、これは長い紹介が相応しくないだけで、手抜きとかじゃないんだからね!(; ・`д・´)
1.太陽を盗んだ男
これまで見た邦画の中では3指に入る傑作。というか、今これを超える作品を作れるのか??もはや「無敵の人」が量産されるであろう未来において、ここで描かれたことは絵空事でも何でもない(「不全感から『革命』へ」)。
「悪」にはまり込むのは愚かな人間や狂った人間だとして自分と無関連化した状態、それは例えて言うなら、「自分(だけ)は病気にかからないと予防接種をせず病院にも行かない人間」と同じである(だからこそ、多少の危険性はあっても、ヒトラーやその周辺を悪魔化していない「ヒトラー最期の12日間」などを重要な作品だと考える)。これから経済が墜落して社会不安や生活不安が高まる中、その不安のはけ口として「生活保障のための排外主義」が登場するのは、歴史的にも予測できることだ(不満のはけ口を外部に求め、それらを排除しなければ自分たちの生活が立ち行かぬぞと不安を煽る)。
そういう意味で、今こそ見ておくに相応しい作品だろう。
「カップルでは決して見るな」とよく言われる作品(苦笑)。ただ、他者と関係を結ぶ、というのは本質的にこういうことではないだろうか。筆者の視点は夫(ライアン=ゴズリング)寄りだが、それでもどっちが絶対的に正しいとか間違ってるとかではないし、結局他者との共同生活ゆえにこういう(価値観を含めた)齟齬からは決して免れることはできない。それが破綻までいくのか、折り合いをつける(つけられる)のか、それだけだ(言い換えれば、時に見られる結婚や出産がゴールであるかのような言説は愚の骨頂ということである)。ゆえに、結婚や出産というものを自分のコントロール不可能な他者を傍に置くこと=リスクとみなすのは当然のことで、リスクヘッジマインドが強くなれば、そして天秤にかけて一人でいることの方がリスクが低いor合理性があると考えれば、そこに向わないのは別段驚くべきことでもない(孤独死のリスクなどはもちろん出てくるが、それなら「孤独死のリスクマネージメント」を考えるべきであって、答えが結婚や出産とは必ずしもならない、というある意味当然の話に帰結するだけだ。また承認してくれる存在についても、人工知能の発達によって代用される可能性は十二分にある)。
なお、これをもっとえげつない描き方にすると、「ゴーン・ガール」になるわけだが、ノイズ排除の傾向(とYou Tubeなどのオルタナティブの配備)が進む今日、このような関係性やその継続に価値を見出さない(あるいは耐えられない)人間は今後さらに増えていくだろう(いわゆる「コロナ禍」はその傾向をブーストしているに過ぎない)。そしてそれが、AIの発達と連動して、ますます人間社会の分断を促進していく、と私は予測しているわけである。
4.レバノン
私がいつも疑問に思うのは、「どうして人は世界が見渡せると妄想してしまうのか」ということだ。今回のコロナでも東日本大震災でもそうだが、目の前のことすらロクにわからないのに、つい「アルマゲドン」的な英雄譚に意識が引きずられ、極限状況でも英雄的行為をする(できる)ものであると思い込む。しかし現実は、英雄的行為どころか(正常性バイアスなどで)判断ミスを続発させたり、完全情報を得られないがゆえに疑心暗鬼になるというのが当然のことなのである。
このようなことを、「戦車の中しか見えない」という描写によってパフォーマティブに描こうとしたのが本作である。これを虚心に見れば、クラウゼヴィッツの言う「戦場の霧」のような観念に頼らなくとも、戦場や戦争の見通しがたさ、そして極限状況における我々の行動の予測不可能性は理解できるのではないだろうか。
一体「赦し」とは何だろうか?人間というものが措定した「神」なる存在は、一体いかなる理由で人を「赦す」資格を得たのだろうか?
ということを端的に描くと本作になる(なお、先の問いに一つの答えを提示すると、「人間同士では同列の存在であるがゆえにいつまでも争いを止めることができないため、上位の存在を措定することで秩序を生成・維持する」という目的・効果のために「神という擬制」が設定されたという見方ができる。これは日本の天皇にも通じるものがある)。宗教が救いとなる作品は少なくないが、そのような作品だと見せかけて、宗教への、正確に言えばその原理への怒りが主人公を突き動かす作品は、私の知る限りこれだけだ。
しかも、ただ観念的に疑義を呈するのではない。そういった原理や体系(その一つが宗教であり、他にはイデオロギーや陰謀論もそうだ)は人間が「この世界を納得するための擬制」にすぎないこと、結局は言いようのない怒りや喪失感を抱えて生きていくしかないことを暗示した上で、それを包摂してくれる存在として、身近すぎるがゆえに光の当たらない(灯台下暗しとはよく言ったものだ)ソン・ガンホ演じる素朴な脇役をきちんと配置してもいるのである。
観念を観念で乗り超えられると考えるのは、とんでもない思い上がりであるばかりか、不毛な神学論争にしかならない。本作はそのことを原理的に示している以上、regretを抱えつつも哀しみや怒りと折り合いをつけるには、それらを包摂し支えてくれる存在(=宗教という太陽の「ようなもの」ではなく、ソン・ガンホという影のように寄り添ってくれる存在=シークレット・サンシャイン)以外ではありえないのだ(その意味では、「灰羽連盟」に通ずるところのある作品と言える)。
6.レスラー
人には「居場所」が必要である。
7.冷たい熱帯魚
非日常は隣にある。ただそれは、人の顔をしているがゆえに気づかないだけだ。
8.明日、君がいない
「喪失」というものがどういうことかを示してくれる作品。まあ言うてもしょうがないとは思うが、こういう衝撃的な傑作を見ると、死にそうになってるのに長口上のシーンとかもうただのギャグにしか見えんくなってきますわw
枠組みをぶっ壊せ!ということで「俺たちシリーズ」(コメディ)の一つをご紹介。我らがWill Ferrellも大活躍!!え?余計なことは考えずにただ脳内麻薬を垂れ流したいって?Bet you're a damm mother fu〇king fanatic, aren't you!!
10.コマンド―
「疲れてるんだ、起こさないでやってくれ」
「野郎ぶっ殺してやる!」
これも人間の本質ですよね(妄言)。
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