エロマイスターたちの狂宴:リビドーと表現戦略

2020-08-31 12:20:01 | 不毛漫画

 

 

なるほど「〇のカラ騒ぎ」ならぬ「Vのから騒ぎ」ね。そして「Eのから騒ぎ」・・・ん?E???

 

師走の翁水龍敬クリムゾン、西義之、伊藤ライフ・・・な、なんやこの面子!!!今からバキの死刑囚編開幕かっっ!!??と空間がぐにゃあっとしたところで、エロマイスターたちの狂宴をキャッキャしながら聞いておりましたw

 

内容的には、やはりみんなちゃんと考えている(戦略的である)ことが伺える上に、その背後にあるリビドーというか過剰性まで感じられて、大変参考になりましたよと。こんなんが無料で聞けるとか、まじでいい時代になったなあ・・・

 

大体のマイスターについてはすでにこのブログで紹介しているため重複を避けるため詳しくは触れないが、師走の翁についてはもう一度言及しておきたい。

 

師走の翁作品に始めて触れたのは、確か高校2年の時でエレベーターガールの話だったと思う。雑誌だったので他の作家の作品ももちろん載っていたが、一人だけ絵があまりに異質で衝撃を受けた記憶があり、すでに当時はエロゲーだのエロマンガだのエロアニメだのには慣れっこ(なんせ小5からお付き合いがありますんでねw)だったはずが、そのあまりの完成されたエロスと、完成され過ぎて「これで抜いていいのか(;´∀`)」という思いすらあったのを覚えている(まあ裸婦像は当時の人にとって芸術と同時にご飯の友でもあったわけで、そんな心境でありましたw)。

 

単行本を買うようになるのは(確か)大学生になってからだが、『LOVE』、『師走の翁』、『大丈夫』、『のせ忘れ』、『精装追男組』、『シャイニング娘』、『ぴすはめ』、『ヌーディストビーチに修学旅行で!!』、『円光おじさん』など全てチェックしてきたことは言うまでもない(もちろん彼が原画をやっている「星空ぷらねっと」も「宮本武蔵=みやもとたけくら」ってアホかwwwなどと突っ込みつつ全クリしました)。

 

なお、さっきの記述だと「単に絵が上手い人」だと思われるかもしれないが、その息の長さを支えているのは企画力であるのは間違いない。長くやっていく場合、あるストーリーが設定されていて、どう飽きさせずに色々なキャラと致す描写をしていけるか(そこに必然性を付与できるか)が大きなカギとなるのだが(この観点で傑作として紹介したのがアシオミマサトの『クライムガールズ』)、シャイ娘もヌーディストビーチも、まあよくこれ考えたなと思うし、円光おじさんなんかはエロマンガのキャラ=絶倫なのをネタにした半ば出落ち作品かと思っていたら、まさかのエンドでびっくりさせられる展開である(一応絶倫にも必然性があんのね、てわかる)。

 

そして動画でも言及されているが、BL作品として『B(asebal)L』が挙げられる(作品内容とこのテーマの結びつけ方とか、もう天才のそれとしか思えんw)。常に新しい可能性を模索する探求者であるだけでなく、それをエンタメに昇華する(そして自分の作品を他から浮かび上がらせる一工夫をする)能力が恐ろしく高いことが理解されるだろう(まあAVの題名企画会議で出てきそうな、と言ってもいいのだけどw師走の翁は全般的に遊び心があって行為がカラッとしているのが特徴的だと感じるが、それは作者のそういうメンタリティも上手く反映しているのではないかと思われる)。

 

なお、余談だが端々に俺スゲー的な自己顕示欲が見えるのもなかなか面白かったwこれはうろ覚えなので間違っているかもしれないが、かつてはコンビを組んでやっていたところが仲たがいをして今は一人で書いているというのを聞いたことがある。こういった自己顕示欲・自己主張の強さを持っている作家であれば、さもあらんと思った次第だ(ちなみに全く関係ないが、岸里さとしにはワイの息子たちもめっちゃお世話になりますたw「男子しか入れない女子高で百合」とかワイなら余裕でイケますねえw)。

 

・・・はい、てな感じで好き放題書いたところで最初の話に戻ると、みな色々と考えているのがわかって興味深かったでおます。

 

少し堅い話をすると、「エンタメは遊び」だと未だにタカをくくっているバカは世の中に腐るほどいる(お笑い芸人やスラップスティックな作品を書く人が有名大の卒業生であることに驚くとか、その典型だろう)。

 

社会や世界を客体化・相対化できて、さらにそれを人が「娯楽」という形で受容できるように加工する技術があるからこそお笑いや作品に昇華できるわけで、そのような高い技術を持っている人たちが頭が良くないと考える方がむしろどうかしているのである(これも勘違いする人が多いので念のため言っておくと、そのようなスキルと道徳性は別に関係がない)。

 

特にこれからのご時世、汗水垂らさなければ労働だと思わない(思えない)バカは人工知能の発達によってどんどん淘汰されていくことが予想される(いわゆる「無能な働き者」として世の害悪になることすらありえるだろう)。むしろ、今回エロマイスターたちが披露してくれたクリエイティビティ―とそれをどうマネタイズするかという発想力や行動力こそ、ジャンル関係なくこれからの世の中に必要とされるのである。

 

そういう意味でも、今回の話は単にエロス産業という領域だけでなく、広く未来の生き方にも関わる話の一つだったと言えるのではないだろうか、とjustifyしつつこの稿を終えることとしたい(・∀・)


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