レビュー再掲第二弾であります。文の繋がりを見ると別のヤツが続きっぽいのだが、文書化した日時から見るにこれが真の続編らしい。げに信用ならぬは人の記憶か。つかそもそもプレイ日記風のレビューが「進んでない」とか書いてっけどさ、そもそも一つしかアップしてなくね?それともそちらの記事は広大なネットの海にさらわれてしまったのであらうか・・・?
なんてエラそーな嘆きは置いといて、以下ではflutter of birdsのテーマに言及しておりマス。「キャラごとの役割分析」とあるから、この段階で朝比奈の存在の重要性とかは書く気でいたんだろう。というのも、ここで描かれる「お手当て」云々の話は上の立場の人間による憐憫へと容易に頽落しかねないものである(というか、そういう戒めをもってプレイしていないのだとすれば、傲慢も甚だしいと思うのだが)。しかし朝比奈の存在によって日常に緊張感がもたらされているからこそ、「お手当て」という名の患者との関係性はいい気な「人助けごっこ」「人命救助ごっこ」をかろうじて免れているように思われる、といった具合に。
[原文]
flutter of birdsについては、Ⅱとの比較やプレイ日記風のレビュー(進んでない…)という形で散発的に触れてきたが、全体的なレビューはまだ書いていなかった。よってここでは、まず始めに全体への評価を提示し、後にやや特殊な形でキャラごとの役割分析などをしていきたいと思う。
◎テーマ=「お手当て」
本編中では、この言葉は相手の心を気遣い癒す(特に)医療行為を指している。まだ医学部生でしかない主人公は医師免許がないため、患者と直接的に関わるにはメンタルケアという形を通してのみ可能という実情がまずはある。こう書くと無味乾燥だが、実際には精神的な病に蝕まれている人を救い出したり、難病の患者や末期患者をケアしたり、手術に不安を持っている人を励ますなどかなり幅広い形で「お手当て」を行っている。そして重要なのは、「お手当て」という行為が始めから強く意識させられているわけではなく、主人公がキャラクターと普通に会話することが実はそのまま「お手当て」になっていたのだ、という構造だろう(もっとも、主人公は相手にもよるが多少メンタルケアを意識してはいる)。つまりプレイヤーの観点で言えば、キャラクターの攻略が実はそのまま「お手当て」というテーマに繋がっているのであり、例えば「カウンセリング」といったような肩肘張った印象は持たせないように工夫されている。このようにしてキャラクターとの(身も蓋もなく書けば)恋愛成就という目的達成はそのまま「お手当て」(=メンタルケア)というテーマに繋がっているのであり、その結果として深みのある内容になっているのだと思う(単純化すれば、恋愛だけが目的じゃないってことだ)。そして最終的には、恋愛ADV、主人公の設定、テーマの三つが見事に連結しており、すばらしい作品に仕上がっていると言えるだろう。
ところで、これは私の解釈に過ぎないのであろうか?答えは否で、本文にきちんと根拠がある。というのも、「医者として接するのか?人間あるいは男として接するのか?」といった問いかけがほとんどのシナリオでなされており、作者側が「患者、あるいは女性キャラクターとどのように関わっていくのか」という点を強く意識し、またプレイヤーに対して強調している。よって、私のよく言う「作者が何を表現したいか、どのように表現しているか」という視点で見ても、flutter of birdsは単なる恋愛ADVを超えた女性(ないしは患者)との関わりを意識したゲームだと評価することができるだろう(※)。
さらにこの主人公の立場と「お手当て」が、短期間での話の展開に必然性を与えていることも重要なのだが(よくここまで有機的に関連させているものだと感嘆さえする)、次回はそれも含めて賞賛すべき点、批判すべき点について書きたいと思う。
※
「恋愛のみではなく…」と書くと誤解されるかもしれないので一応付け加えておくと、私はいわゆる「抜きゲー」を軽蔑し、例えば「恋愛を超えた救い」だとかを賞賛しているわけではない。というか、そもそも18禁だからエロくて何が悪いのかという話であるwまあ要するに、方向性の違いということだ。
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