破綻の時

2018-09-10 12:28:37 | 感想など

 

 

 

 

この動画を見ても、どこか遠い世界の「悪」と思えるかもしれない。あるいは、証券会社という生き馬の目を抜くような業界だから特殊なんだ・・・とか。しかし、今この時だってスルガ銀行TATERUの不正融資が大きな問題となっているし、それは自己責任で済まされるようなレベルのものでは全くない。そして三菱グループ神戸製鋼の不正といったものも記憶に新しい。

 

今さら言うまでもないことだが、「普通の会社は不正をしないものである」というのは妄想でしかない(これまで一体どれだけ多くの不正が行われてきたことか!)。むしろ、営利企業は利益を追及するからこそ、不正は起きるものだし、あるいは起こしたくなるものだ。コーポレートガバナンスの重要性が説かれ、歯止めとなるシステム構築が重要だと言われるのは、「何もしなければ起こってしまうものであるから、そのリスクを最小化するにはどうしたらいいか?」という視点に立っている。そう考えた時に、スルガ銀行でも問題になっているパワハラによるプレッシャーのかけ方は反面教師となりうる。なるほど成果へのこだわりは重要だが、それをパワハラという形でアウトプットして相手を追い詰めると、視野狭窄した人間は目の前の圧から逃れるため不正をしてでも数字を作るという方向に走ってしまう(ということが日大アメフト部の一件でも周知されたはずなのだ)。要するに、パワハラは単に人権問題というだけではなく、会社のリスクマネージメント上でも避けるべきという知見が改めて得られたのではないだろうか。

 

・・・といったことを、この動画を見て思った次第。この動画では東日本大震災が関わってくるが、それから10年後となる2021年以降、日本経済は衰退に向かいこそすれ、上昇に向かうことは難しいだろう。少なくとも国内情勢を見る限りでは。海外の要素で多少の変化はありえるかもしれないが、それにしたってリスクの方が目立つ。たとえば、一部の人間が嬉し気に喧伝してきた中国経済の危機が現実のものとなれば、リーマンショックの再来として、日本企業にも深刻な影響が出ないわけはない。なえなら、中国の輸入相手国のNo.2は日本であり、しかも観光客数は中国人が最も多いのだから、都市部に多い大企業への影響はもちろん、地方経済も観光客の減少(リーマンショック起こった翌年の2009年、日本人観光客数は前年比約-200万人=-18.7%を記録した)で多大な影響を被ることは疑いない。さて、2021年以降の景気冷え込み、予定されている消費税増税による消費の停滞、さらに中国のバブル崩壊という悪魔のトリアーデが襲ってきたら、一体どうなるか?端的に言えば、内需の急速な縮小と外需の急速な縮小というダブルパンチが日本経済を近々襲うわけだ。そこで「何としてもこれまでの売り上げを維持せよ」という生き残り競争が、パワハラ、もっと広く言えばダークペタゴジーの蔓延を正当化することは想像に難くない(そしてはそれは最終的に不正の連鎖へと結びついていくわけだが、日本の凋落を早めるだけの結果になるだろう)。

 

そのような未来に対するリスクヘッジという意味でも、不正に対する対処はもちろん、それを産み出す環境改善の取り組みを我が事と捉えて行っていかなければならない。そのように思う昨今である。


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