トップが法的に無知なのを平気で晒すのは、ヤバい組織だよねえ

2024-04-07 17:05:16 | 感想など
 
 
 
 
 
スマイルアップ社長へのBBCによるインタビューが大変興味深いので少し触れておきたい。すでにこの動画でもポイントは言い尽くされている感はあるが、「言論の自由」という言葉が独り歩きしている典型例とも言えるだろう。すなわち、「言論の自由」を「自分が何を言っても反論もされないし、許されて当然」というお墨付きのように勘違いしている人間が少なからずいるのだ。
 
 
そもそも、この言論の自由は政府(権力者)に対する批判を法的に(もっと言えば政府を名宛人とした憲法により)保障・保護するという目的で制定されたという点に留意する必要があるが、そういう根本論に立ち返らなくとも、「それならどうして世の中に名誉棄損や侮辱罪、あるいは脅迫罪なんてものが存在するのか?」、あるいは「風説の流布」なんていう禁止事項が存在するのはなぜなのか、と考えてみたらよい。
 
 
そうすれば、「言論には責任が伴う」というごくごく当たり前の認識に到るわけだが、こういった近代司法が成立する文脈を踏まえずに、上辺の言葉だけを振りかざすからおかしなことになるのである(まあもっとも、「推定無罪を理解できずに容疑者の時点で犯人とイコールに扱う大手マスコミ(笑)や世間」とか、「人質司法を尊ぶ日本社会の中世的法意識」といったように、もっと広範な問題として述べることもできるのだが)。
 
 
ともあれ、このように国際的メディアを相手に発言することは、自己の行為をその場限りで辻褄合わせをすることはできても、確実にその立場をいっそう悪くすることは自明なので、このスマイルアップ社長の発言は完全に自殺行為と言えるし、かかる言動をしてしまう人間がトップであるということに、いささか驚愕する次第である(まあ就任の経緯からしても、そもそもそういう訓練を経てきた人ではないだろうし、資質を欠いているというのが実態なのだろう)。
 
 
念のため言っておくと、私は別にスマイルアップ社長の品性には何ら期待していないので(そもそもどういう人間かよく知らないので)、腹の底では被害者への誹謗中傷を自分たちが止めないのを正当化したいと思っていても全く驚かないが、その認識を何の問題もないかのように表に出して、かつそれを疑いもしないという見識のなさに感嘆すら覚える次第だ(誹謗中傷に対する「言論の自由」発言に限らず、その他でも面会内容についての認知の歪みを思わせる発言などこういった不見識は散見されるため、「たまたまおかしな事を言った」は全く通らないだろう)。そしてこのような発言が、6月の国連人権委員会の報告にどのような影響を与えるのか否かも、気になるところではある。
 
 
なお、BBCのインタビューをスマイルアップが受けた背景として、BBCが取材を断られたことを含めて「全てを透明化する」という動きを取ったことが影響した点は重要だろう。というか、取材を断られたのは暴露じゃなくてファクトなのだから、報道できないはずがないが、国内の大手マスメディアのお歴々はだんまりを決め込んでいるのが実に不思議である。
 
 
こういう対応のザマを見るにつけ、やはり「セクシー田中さん」問題でも陰に日向に出てきた、暗黙知や暗黙の了解(が生じさせる忖度ともたれ合い)は隠蔽を生み出す最悪の舞台装置であることを再認識させられる。そんなものがまかり通っているうちは、2023年に噴出したビッグモーターやダイハツ宝塚などによる閉鎖的組織とその病理は決して寛解しないし、ましてその打破など外圧なしには不可能、と言えるだろう。
 
 
・・・そんなことを思わせる内容だったという意味において、日本社会にとって大変有益なインタビューだと言えるのではないだろうか。あ、ちなみにBBCや「外国」が正義なんて話では全くないので悪しからず。
 
 
以上。

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