森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

キヌタソウ

2012年06月24日 | 自然観察日記
つぼみ状態のキヌタソウ。私だけが興奮してはしゃいでいます。このキヌタソウにはちよっとした思い出が付いていいます。福島との県境に未丈ケ岳という1500mくらいの山があるのですが、この山域の植生調査を若かりし頃に手がけたことがあります。当時はまだ登山道もいい加減で、かすかな踏み痕を捜しながら山を登ります。その途中、道が途絶えているところがあって、どうしたものか思案しながら踏み痕を探していると、傾斜地に根曲がりをしている灌木があってその上が樹皮がむけていますから「ここが道か!」とようやく発見。「山道」は地面にあるものとばかり思っていたのに、ここは道は木の上にあることを知ったのです。それも10m以上はあったと思いますが、枝につかまりながらの登坂はスリル満点で一汗も二汗もかいたものです。それを越して未丈ケ岳に付いたときの爽快さは今でも思い出されます。山頂のすぐ下に広がる雪田草原の縁にこのキヌタソウが生育していて、貴重な調査記録になったのでした。