森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

秋田 獅子が鼻 奇形ブナの森

2013年10月07日 | 風景
獅子が鼻湿原の奇形ブナの森です。「あがりこ」と呼ばれるブナの奇形木が多数散在する林は聞きしに勝る圧倒的な存在感です。樹齢300年のものまであるといわれる大木。他地域で見るブナの大木の林とは景観はまるで異なります。
この地域はブナを薪炭材として利用してきたとされ炭なども焼いたようです。近くに炭窯の遺構もありましたから、炭材としてはそれほど優れていないとされるブナを利用したのでしょう。ブナはある樹齢以降では萌芽力は衰えるためコナラのような処理ができにくいとか。そこで、若い頃に切って萌芽し何本かの枝を成長させそれを少しずつ切っては薪炭材として利用するというようなことを長い間行ってきたそうで、それも切る時期は残雪がある季節であるために切る位置は地面からかなり上がった位置ですから、結果として独特な樹形をもった樹になってしまったという話です。人が関わりつづけ形成されたブナ林ということになります。


あがりこ大王

2013年10月07日 | 自然観察日記
この林にある最大のブナの木木で「あがりこ大王」と名付けられたブナの大木です。樹齢300年以上だそうです。素晴らしい大木ですね。
ところで、このブナ林を維持するには下草刈りをするだけでは意味がなく、適度な頻度でブナの伐採(幹落とし)を行って枝の更新を行わないといけないはずです。木道が敷かれ多くの人が訪れるようになっているために「見せる」「保存」するという考えでの取り組みは感じられますが、「このブナの林を存続させる」という観点での取り組みは行われているのでしょうか?人との関わりで持続してきている林ですから「人の関わり(ブナの枝落とし)」などの行為が不可欠なようにおもいます。この林に実際に手を入れることの躊躇はあるでしょうが、何もしなければ早晩失われてしまう林だと思われます。
私が関わっている越後丘陵公園の里山フィールドミュージアムも同じような問題を感じています。里山は人と自然がつくりあげた景観で人が関わりつづけることで持続可能な自然です。