かなり春めいては来ましたが、もう少し昨年の話材を取り上げます。話題を八方池から栂池自然園に切り替えます。ここは前年に続いて訪れたもので、先回は7月、今回は9月でした。あいにくの悪天候でしたが、先回見られなかったこの季節ならではの草花の様子をたくさん見ることができました。散策を始めたころは強い雨はなんとか上がりましたが、濃い霧に包まれて周囲が見えません。それでも目先数メートル範囲は十分観察することができました。雨がぱらついたものの風がなかったのがせめてもの幸いでした。
自然園のゴンドラの駅をでると目の前に小さな見本園があるのですが、そこにオニシオガマが咲いていて私たちを迎えてくれました。オニという名はいささかかわいそうな感じがするのですが他のシオガマに比べれば確かに大きい花。桃色の花が沢山咲いている景観はなかなか壮観です。オニシオガマは高山植物というより深山植物。新潟県内の山奥の湿地にはかなりの確率で生育しています。夏の終わりころから秋に咲く花ですから夏山登山の最中にはあまり見られませんから山登りする人にとっては気づきにくい花かもしれません。
オニシオガマを含めシオガマギクの仲間はイネ科やカヤツリグサ科の植物から養分をとる半寄生植物とされています。見本園に生育する株はかなり丁寧に宿主のイネ科の草本と一緒に植栽したのでしょう。かなりうまい具合に生育していて自然にそこにあったように見えます。