森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

トノサマガエル

2008年05月27日 | 自然観察日記
 トノサマガエルに出会ってホッとしました。遠い子供の頃の気持ちにさせてくれる存在です。このカエルも家の周りから姿を消した生き物です。
 このカエルは水溜りが常に存在しないと生きていけない種で、沢山の水田や水路があっても水のない時期がある環境では適応できません。小さなアマガエルはより乾燥に適応した種ですから、家の周りや公園にはアマガエルばかりです。
 ところで、学校の生徒に生物の実験をせがまれます。「何がしたいの?」というと、「カエルの解剖!」と返ってくるのですが、なぜなのでしょうか?今の世代の子にはカエルは身近な存在ではありませんからなじみがないはず。「生物の実験=解剖」という図式がどこで作られているのか不思議です。水辺を増やしてそっと見守ってやって欲しいと思っています。

ヒシとイトトンボ

2008年05月27日 | 自然観察日記
 山間のため池に浮かぶ水草、近づくとヒシの群落がありました。まだ花の時期には早く、白い花を見ることは出来ません。水面に浮かぶ葉は放射状に広がって、葉のつき方を見るには良い材料です。
 水の周りは昆虫や小動物の宝庫です。近づいただけで一斉にカエルが池に飛び込み、トンボが飛びたちました。イトトンボは家の周りに本当に沢山いたものですが、今ではほとんど見かけなくなりました。管理されすぎた水田と水路のせいですね。

毛虫 2

2008年05月26日 | 自然観察日記
 「目立つ事で身を守る」タイプの幼虫なのでしょうか。昆虫の多様性は植物に匹敵するかもしれません。嵌ると虫博士「虫の虫」に陥いってしまうことでしょうね。
 こちらの個体はスイバの実をせわしなくかじっていました。ご婦人の多くが毛嫌いしている毛虫ですが、結構愛嬌のある顔をしています。(ヒトリガの仲間かなと思っています)

毛虫

2008年05月26日 | 自然観察日記
 ウスバシロチョウが舞う草むらに、とても目立つ毛虫がいました。大きくまさに毛だらけです(蛾の幼虫には明るくなくて種名は正確には分かりません)。こんなに目だって大丈夫なの?とちょっと心配したりして・・。
 しかし、近づき難い雰囲気ですね。色といい大きさといい毛の多さにしても、表現しにくいものがありますがこの方が身を守るには好都合なのでしょうか。好んで襲う外敵もいないのでしょう。
 

ウスバシロチョウ 吸蜜

2008年05月25日 | 自然観察日記
 ハルジョオンの花がお気に召しているようです。この日、全く別の場所でも数頭見かけました。環境は同じようで、人手の入らなくなった山裾の林縁です。小学校のころの記憶では、決して多い蝶ではなかった気がしますが、この日は「なんでこんなにいるのだ!」という印象です。
 数を減らしている種がある一方で、個体数を増やしている種があるといいます。ウスバシロチョウはそんな種なのかもしれません(山の荒れと連動している可能性がありますね)。シロチョウといってもアゲハチョウのなかまです。

ウスバシロチョウ

2008年05月25日 | 自然観察日記
 蝶を追っていた少年の頃を思い出しました。川口のサービスエリアの展望台です。目の前を1頭のウスバシロチョウがフワフワと優雅に舞っています。よく見ると、ハルジョオンの咲く辺りに何頭もの個体がフワフワ。
 当時、長岡の東山の個体と西山の個体に違いがあるという考えで、夢中になって採集して回っていたものです。

残念な田園風景

2008年05月24日 | 風景
 今の水田の畦はほとんどがこんな風景です。除草剤がまかれて茶色に変色した植物かあるいは発芽前に薬剤を散布したため土壌の色がそのままむき出しになっています。人手不足や作業の効率性を追求されたためでしょうが、草刈をしていた一昔の光景とあまりにも違うのに驚かされます。もちろん生態系も激変しています。水田を根城にしていた小動物は消えざるを得ません。
 県全体でどれほどの薬剤が散布されるのでしょうね。この薬剤が水系によって下流域に広がりやがては海に到達することになります。もちろん栽培されている水稲も影響を受けないわけがありません。薬剤は土壌中で分解されるといううたい文句がありますが、完全無害になるという確証は持てません。そうだとしてもどれほどの時間が必要なのか・・。
 遠くに越後の山々を見ながら日ごろの疲れを取ろうとしても、癒されるどころか不安な思いを抱く光景です。

ライラック

2008年05月23日 | 自然観察日記
 矮性のライラックです。ムラサキハシドイとも言われているもので、北海道のイメージを与える初夏の花ですね。
 ところで、この矮性個体、わずか15cmでこの花を付けています。もともとそうおきな種ではないのですが、異常に小さい個体です。花弁も細く痩せています。
 少し小難しい話をすれば、植物は普通2倍体(染色体数の最小セットをゲノムといいますがそれが2セットある状態)ですが、生殖細胞を作るときに減数分裂という分裂が起こって染色体を半減さます(1ゲノム状態)。この細胞を成長させると半数体というのができるのです。半数体は全てにおいて小さい、すなわち矮性になります。
 実際には、雄しべの葯に目をつけていて、ここで花粉を作る過程で減数分裂がありますから、特殊な化学物質を使って葯を培養し、効率よく半数体を作り出していると思います。 
 このライラックもそんな手法でこの世に生まれた個体なのだろうなぁと思いながらの観賞です。

虫こぶ

2008年05月22日 | 自然観察日記
 葉などに丸いふくらみを見かける事が時々あります。いわゆる虫こぶ(虫えい)と言われるもので、多くの昆虫がいろいろな植物に作る事が知られています。写真は先日見たブナの若葉の虫こぶです。詳しくは分かりませんが、タマバエとかタマバチが作ったものでしょう。
 中には卵が入っていて、いわゆる昆虫のゆりかごのようなもの。芽生えたばかりの葉に産卵するのでしょう。葉の成長に合わせて虫こぶも発達し、中の卵のふ化成長がおこり、やがて成虫になって出てくるというわけすね。
 なかなか巧みな生活スタイルを考えたものですね。安全に子孫を残す方法としてはなかなかいい。でも、卵の産み付け時期を間違えるともうその先がありません。
少しでも葉が硬くなったらこのやり方はだめでしょう。だから、特化しないとなかなかこの戦略もうまくいかない。一つの虫は一つの植物に依存して生活設計を立てている気がします。虫と葉の攻防・・。自然の中には不思議な世界がいっぱいあります。

クレマチス 葯3

2008年05月21日 | 自然観察日記
 一般に、変異の多さはその種が元気だという事。まさに発展途上にあることを意味しています。変化しやすさは環境の変化に適応する能力がより高いことが期待できますから、キンポウゲの仲間は地球温暖化に起因する環境変化に頑張ってついてこれるグループかな・・などとかってに思っています。