「赤」というには少し無理がありますが、赤みを帯びた花とでもしておきましょう。花弁に付け根中央の斑紋が黄色ですからノハナショウブです。園芸種の中にこういう色具合の花がありますが、この系統の遺伝子が使われているのだと思います。私の知人にカキツバタでこの色のものを所持されている方がいます。ごく一部の方にしか知らされていない種なのだとかいう話でした。
樹の梢からなにやら垂れ下がっているのはクマシデの果実です。ちょっと面白い光景です。花の少ない時期でも森を散策しているといろいろな新しいものが目に留まり、楽しいですね。単純な緑一色の世界ではなくて濃淡がありさまざまな造詣があります。
樹が大きいので果実を近くで撮れません。望遠でカメラに収めました。口にするような果実ではありませんが、細長い松かさのような形で、苞葉があってその下に実が包まれているのです。カバノキの仲間で葉が平行な葉脈が沢山あるのが特徴のひとつですね。
クマシデの近くによく似た種がありました。果実の様子が少々違います。これはアカシデという種。果実の穂が開いた形になって円筒形には見えません。葉もやや小ぶりで幹がなんとなくデコボコ。カバノキの仲間もいろいろなものがあって難しい反面、面白いです。
ニッコウキスゲのイメージは尾瀬湿原とか霧が峰の草原というようなイメージが多いのですが、意外に水分条件の悪そうなこんな断崖に見られることが多いのです。長岡でも蓬平温泉を取り巻く山並みで急勾配になっている断崖に似た場所で見たことがあります。このときにニッコウキスゲのイメージを変えた瞬間でもありました。たまたま、ヒスイ峡の涯にニッコウキスゲを見たのでこのときのことを思い出した次第です。もっとも、この話はかなり前の話で地震があって崩落してしまった可能性もありますから今はどうなっているでしょうか?
シナノキの仲間は花序の付け根に翼(苞)を持っています。結実後実が落ちるときにこの翼が風を受けてくるくると回りながら落ちてきます。少しでも遠くに種子を運ぶ手段と考えられますが、実際はほとんど真下に落下していますね。長野(信州)の県の木としても有名で、この樹皮から繊維をとってシナ布を織るのだそうです。
道路わきのアスファルトの隙間から芽生えている可愛い花がありました。帰化植物かなと思っていたのですが、調べていくとヒメフウロということになりました。在来種です。しかし、主に西日本に分布するもので、長岡あたりに自生種はあるはずもなくおそらくは園芸種として庭などに植えたものから逃げ出してきたのでしょうか。野良になっても立派に生きていける辺りが面白い現象です。そんなに生命力があるならもっと前から本来の住処から全国制覇できたものをと考えてしまいます。
花はゲンノショウコを少し大きくしたなかなか可愛い花です。それにしても帰化植物や園芸種の野生化などで自然に生育する植物を追っている私にとっては頭の痛いところです。3者が入り乱れる範囲があるのですから・・・。ときどき質問される人にとっては植物であれば帰化植物であろうが園芸種であろうが野生種であろうが関係ないのです。いくらやってもわからないことが多過ぎます。
アサツキも意表をつく植物です。これもウミネコのいる岩場になかなかの群落を作っていて葱坊主がとてもいい景観を作っています。アサツキはあまり岩場に生育するというイメージはないのですがこれを見て認識を新たにしました。結構適応範囲の広い主なんですね。
ウミネコの岩場を取り囲むようにマツバギクが大きな群落を作っています。なかなかよい景色になっているのですが、このマツバギクは帰化植物なのです。帰化植物ということを知ると少し興ざめをするのですが、また人が植えた可能性がかなりあるにせよ、自然に出来上がったものと見えてしまいます。すっかり風景になじんでしまったマツバギク、ちょっと複雑な気持ちです。
考えてみれば、海岸線はどこも帰化植物の宝庫で、よく知らべれば流れ着いた種子などからいく種類も外来種の成育を確認できるでしょう。
考えてみれば、海岸線はどこも帰化植物の宝庫で、よく知らべれば流れ着いた種子などからいく種類も外来種の成育を確認できるでしょう。
ロックガーデンなどの庭園に植栽されていたのを思い出しますが、この笹川流れにもごく当たり前に野生化しているようです。花弁が光沢を持って光を反射するような性質がいかにも乾燥地帯とか海岸などの紫外線が強そうな場所に適応しているようです。原産が南アフリカとありますから、ナミブ砂漠などの強烈な乾燥地生まれなのでしょう。温度さえあれば日本はとても住みやすいのでしょうね。
教員をしていた頃生徒を伴って粟島に行った経験があります。もちろん夏休みのことです。イワユリはその頃咲いているものという意識が残っていて、この日(6月17日)にイワユリの花を見るのがととても不思議な気がしました。ヒメサユリは5月下旬、ササユリは6月中旬、ヤマユリは7月下旬・・という概念があって、イワユリは7月中旬となっていたのです。修正しないといけないようですね。
イワユリは花を上に向けて咲く変わった習性をしています。多くは雨を避けるために横向きに咲くのがユリ属の習いなのですが、上を向く理由は何があるのでしょうか。花粉媒介者のことも考慮して推理してみるのも面白そうです。
イワユリは花を上に向けて咲く変わった習性をしています。多くは雨を避けるために横向きに咲くのがユリ属の習いなのですが、上を向く理由は何があるのでしょうか。花粉媒介者のことも考慮して推理してみるのも面白そうです。
ウミネコのテリトリーの一角に咲いていたイワユリです。厳しい環境に適応したユリなんですね。土壌の少なさ、栄養の少なさ、水の不足、日照の強さ、風や潮の影響などどれをとっても大変な問題がありそうですが、イワユリは克服しています。
山北に下見を兼ねての散策帰り、笹川流れを車で流してきました。もうイワユリ(スカシユリ)が咲いていてどこか写真を撮れそうな場所が無いかと物色しながら南下して陸続きの岩場を見つけました。遠目にはイワユリのオレンジ色がかすかに見え、おあつらえ向きに駐車場もありましたから、早速車を止めて岩場に向かいました。