森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

フモトスミレ

2012年05月22日 | 自然観察日記
スミレは簡単なようで難しいグループです。基本多岐な種はそれほど多くないのですが、その変異が大きく亜種や変種レベルで様々なものがいわれています。そういうことを知れば知るほど、目の前にあるのは何か分からなくなってしまうものです。それはスミレばかりでなくどんな種でも同じようなことが言えるのですが・・・。知れば知るほど分からなくなる・・・。
とはいえあるところで妥協して、全く判断が付かないものは除いて、それぞれについて自分なりの判断を下していきます。で、この種はフモトスミレというのですが、これも各地で微妙に姿を変えますから疑問に思う方もおられるかも知れませんね。基本は小さな白いかわいらしいスミレです。

マルバスミレ

2012年05月22日 | 自然観察日記
榛名神社にも立ち寄りましたが、この参道に白いスミレが咲いていました。フモトスミレとはかなり感じが違って大型です。全体に丸みを帯びた姿は名前を表しているようで、これはこれで覚えやすいのかもしれません。もっと標高の低いところによく見られるはずですが、資料には太平洋側の内陸部に多いスミレとなっています。新潟では見ないスミレの一つですね。

エイザンスミレ

2012年05月21日 | 自然観察日記
群馬の榛名に出向く事情があって行きました。さすがに1000mを越す高原ですから、雪のない地方といえどまだ早春の景色です。それでも、越後とは違った春の植物の姿が沢山見られて大変参考になりました。
エイザンスミレです。県内で自生しているところを見たことがないので太平洋側の種と思いますが、榛名の水はけのよさそうな斜面に自生していました。雪がなければかなりの高地にも自生するようです。葉が細かく切れ込んでいるタイプのスミレで比較的特定が容易な種です。

オウレン 実

2012年05月20日 | 自然観察日記
オウレンの果実です。花も面白いのですが、実の形も面白いのでついついカメラを向けてしまいます。一つ一つの袋の中に小さな種子が入っていて、先端の穴から風に揺られると周囲に撒き散らすようです。散布の一つの形態です。キンポウゲの仲間にはこういう形の果実をつくるのが時々あります。先端にのみ穴を開けるというのではなく、果実全体が割れて種子を散布する形のものもあったように思います。

メギ

2012年05月19日 | 自然観察日記
県内では妙高山の県境近辺でわずかに自生しているそうですが、それ以外は全て栽培です。とにかく棘の多い植物で別名「コトリトマラズ」というのだそうです。そういえば、同じ仲間に「ヘビノボラズ」という棘の多い種もありますから棘とは縁の深い種のようですね。
名前は「目木」で薬用に利用されたことから来ていることは明白で、メグスリノキと同様に目の薬草として重要なものだったと思われます。春に鈴なりの花をつけ秋には赤い実が沢山付きます。

メギ つぼみ

2012年05月19日 | 自然観察日記
これはつぼみの状態。少し標高が高いとまだつぼみの状態で低地との温度差によって開花はまだ先。当たり前といえば当たり前で、光条件でなく温度条件で開花が決まっていることがわかります。

ヘビイチゴ

2012年05月18日 | 自然観察日記
少々可哀想な名前をつけられてしまったヘビイチゴです。野原や土手などに普通に見られる野草で花後には赤い可愛い実が付きます。毒があるわけではなく食べても問題はないと思いますが、何の味がするわけではなく食味は駄目ですね。でもこういう果実を作るにはそれなりの意味があるはずですから、何かが食べに来ると思いますが目撃したことも半足を聞いたこともありませんね。どなたか、この辺りの新事実などをお持ちでしたら話を聞きたいところですね。

コナラの癌腫 ①

2012年05月17日 | 自然観察日記
コナラの樹に大きな瘤がありました。虫こぶかな?とも思いましたが、その周辺には昨年の癌腫がいくつかありますから、これは虫こぶというより新たに出来つつある癌腫と見たほうがいいようです。
時おり雑木林にコナラの樹が瘤だらけになっているものを見かけます。癌腫といわれる病気がついている樹で、これになるとやがて枯れてしまいます。この株はいくつかの場所に同じような瘤が出来ていて、全体に罹患していてやがて瘤だらけになる可哀想な樹のようです。詳しい因果関係は承知していませんが、周囲の樹には同じようなものはありませんから伝染するようなものではないようです。

コチャルメルソウ

2012年05月16日 | 自然観察日記
長岡の山手の湿った場所にはチャルメルソウが沢山あるのですが、このコチャルメルソウは見当たりません。花穂が短く花数も少ないので一目で区別が付くのですが、下越や上越にの山手には採集されていて報告があります。つまり、この中越区域が分布の空白域になっているようなのです。どういう経緯があるのか興味深いところですね。

ネコノメソウ

2012年05月15日 | 自然観察日記
ネコノメソウの名前は実がはじける頃の様子が猫の目に似ているからついた名前だそうですが、なかなかぴったりした場面を見ませんね。似ているといえば言えるようですが・・・。この種はヤマネコノメで五頭山山麓で見つけたものです。ネコノメソウの仲間はいくつかあって分類が難しいのですが、葉が対生するか互生するかで区別すると分かり易い面があります。長岡にはネコノメソウとホクリクネコノメという種がありますがこれは対生していて、ヤマネコノメは互生しています。

ミヤマガマズミ

2012年05月14日 | 自然観察日記
整った星型をした花はミヤマガマズミの花。勲章みたいですね。普段見かけるものは小さな花が集合し塊になっているものですから、そのうちの一つを拡大してみるのと大変印象が異なります。ミヤマガマズミは装飾花がありませんが、装飾花を持つムシカリと比べると小花の数は多いように思います。その多さで昆虫をひきつけるように出来ているのでしょう。花に分業が見られない種なのです。

ムシカリ

2012年05月14日 | 自然観察日記
ミヤマガマズミと同じ科で装飾花を持つ種ムシカリです。花に分業があるわけですね。装飾花は結実しませんから本体の小花のほうが重要なのです。装飾花があるせいでしょうか、小花はなんとなく線が細いですね。花弁も貧弱です。

アマドコロ

2012年05月13日 | 自然観察日記
葉腋から花がいくつもぶら下がるスタイルはナルコユリの仲間。しかしこれはアマドコロといいます。ナルコユリとよく混同される種ですが、茎に稜があります。里山にはミヤマナルコユリも自生していますが、大きさはアマドコロのほうが大きくなりますから大きさでも区別が付きます。もっとも、オオナルコユリという1mを越す大形のナルコユリがあってアマドコロよりさらに大きくなります。大きさで区別も出来ますが、オオナルコユリは花が咲くのが一番遅くまだまだ先になります。

ユキグニミツバツツジ

2012年05月12日 | 自然観察日記
そのままで十分観賞価値が高いので庭木や公園樹に利用されているミツバツツジ、実は結構変異があって各地にさまざまな亜種が存在します。新潟では花柄に毛の多いユキグニミツバツツジが分布しています(かつては浅い山にも沢山見かけたのですが今はかなり減りました)。三国山脈を越えて太平洋側に行くとトウゴクミツバツツジがあるのですが、ユキグニミツバツツジとの違いは分かるようで分からない種です。並べてみれば納得するのでしょうが、個々に見ても難しいですね。同じ太平洋側に単にミツバツツジという種がありますが、花の色や形では判別が難しいのですが、こちらはおしべが5本ですから、ユキグニミツバツツジやトウゴクミツバツツジの10本と差がありはっきり分かります。花期も1週間くらいの差があります。