白い花がときどき見つかりますが、白い花の発生のメカニズムとこの緑の奇形花の発生のメカニズムは異なると考えていますから同じ次元の話はできません。しかし、仮にこの緑色をした個体が花弁のよじれなどのない本来のカタクリの形状なら園芸的な価値が出てくるかもしれません。美しいというものではないかもしれませんが希少価値はあるでしょうね。ひょっとしたらどこかに緑色をした綺麗な形をしたカタクリが息づいているかもしれません。
福島県の山都のフクジュソウ群落地を2年続けて行ってみました。昨年はピークを逃したこともあって陽気に誘われ再びの訪問です。今回は残雪がかなり残る中で花を見る感じですが、まずまずの景観が楽しめました。フクジュソウは鉢物などで非常に身近なものなのですがわかっているようで分からない存在かもしれません。
最近は各地で植栽されていることもあって絶滅などを気にしないでよさそうな気もしますが、実は本当の自生する個体、あるいは場所は極めて少なく限られていると思います。地域の変異も大きく日本自生するフクジュソウは何種類かになるはずですが、それぞれの地域のフクジュソウが守られているかどうか・・・。山都のフクジュソウはこの地域にあったものを増殖しているとの話もありましたからぜひともこういう姿勢で守っていってほしいですね。
最近は各地で植栽されていることもあって絶滅などを気にしないでよさそうな気もしますが、実は本当の自生する個体、あるいは場所は極めて少なく限られていると思います。地域の変異も大きく日本自生するフクジュソウは何種類かになるはずですが、それぞれの地域のフクジュソウが守られているかどうか・・・。山都のフクジュソウはこの地域にあったものを増殖しているとの話もありましたからぜひともこういう姿勢で守っていってほしいですね。
フクジュソウも種子から開花するまで5年から6年かかるという話をされる方がいました。少なくとも2・3年では開花株にはならないのだそうです。花の写真を撮るのに実生の芽生えを踏み荒らすのが悩みの種だとか。小さな個体を保護してこそ大きな花群落になるということを理解しておく必要があります。
海岸植生で目立つツル植物です。時に大株になっておびただしい着生根をだして樹木を這いあがっている光景を目にします。「ツタ」といってもブドウ科でなく、ウコギ科の常緑性のツル植物。ウコギ科の果実はどれも良く似ていますから葉の様子が異なっても果実を見ているとそれと気づきますね。
海岸植生のツル植物の一つです。海岸にしかないわけではありませんが、良く適応している種だと思います。葉の光沢も紫外線の強い環境に適応する武器でしょうか。地下茎は太く水分を多く含む構造なのだそうです。ところでこれは新芽。昨年の葉の托葉に包まれた部位から伸びてきました。他の植物の芽出しと趣が異なりますね。
ツル植物をもう一種。スイカズラです。ようやく芽が出たときの様子ですが砂地の藪の中にありました。ツル植物はいづれも最も乾燥する場所にはなくてやや水分条件のよい土壌がある場所に根付いているようです。もっともそういう場所は他の植物も進出してきますから、蔓という姿になって真っ向勝負を避けている感じですね。
岩場に近い砂地にハマボッスが一塊広がっています。ハマニガナなどの砂丘植物よりは砂地には強くないはずで、ここの砂の厚さは薄いのではないかと思います。きっと白岩の母岩が地表近くまで来ている可能性がありますね。ハマニガナなどは地中に越冬芽を作るのにたいして、ハマボッスはロゼットを作って冬を越します。これも砂に埋もれない場所に適応した形態の一つと理解しても良いのではないでしょうか。
夏になれば20~30㎝にもなる多年草ですが、冬を超す姿はまるで別物。海岸という厳しい環境に適応した形態です。風は強く塩害にも会いそうな場所。しかし、ひとたび晴れると紫外線は強いものの有り余るほどの光があります。葉はクチクラが発達し水分を蓄えて多肉植物のようです。それにしても葉の並びの美しいこと、厳しい季節にしか見れれない造形です。サクラソウ科で5月頃に花が見られます。
間瀬の海岸には広くはないのですが砂地があります。早春のこと枯れ草が広がっている草付きですが僅かにハマニンニクの緑葉がありました。そのわきには新芽の先が地面から覗いていましたから、この葉は冬を越したものでしょうか。前年の実を探しました近くでは目に入りませんでした。しかし、初夏にはここに小さな群落ができるものと思います。柄の長い花穂が乱立します。ニンニクといってもイネ科で葉の雰囲気がユリ科のニンニクに似て見えたのでしょうが全く別系統のもの。葉も硬くごわごわでネギ属のようなしなやかさはありません。
ハマニンニクの隣にはコウボウムギの枯れた個体がありました。ハマニンニクを小型にしたようなものですが、イネ科ではなくカヤツリグサ科の種です。丈は低いものの花穂よりは大きいですね。幾分コウボウムギの方が波打ち際に近く、ハマニンニクの方が内陸に寄っているようにみえます。砂の移動に関係しているのでしょうか。
コウボウムギに似た環境にはハマニガナが芽を出し始めています。芽は小さいもののこれを掘り起こそうとするとなかなか大変。根が浅そうに思えますが結構深くまであって綺麗に個体を取り出すことは至難の業です。十分葉が展開できればやがて黄色い小さな花を咲かせます。
冬芽より落ちない枯葉が目につきます。カシワは海岸線に沿って目にする樹木で、内陸には記憶がありません(他県では内陸の尾根にもあるとか)。この間瀬のあちこちにカシワの樹もあります。いづれ落葉するのでしょうが、とにかく葉が落ちない未練がましい樹です。
殻斗(かくと)はドングリの「帽子」のこと。カシワは知っていてもカシワのドングリを知らない人が多いのに驚きです。見る機会が少ないことが原因でしょうが、カシワの樹があったらドングリを探そうという気にならないみたいですね。冬を越したこの季節はいい状態のドングリに出会えなくて写真も見栄えのしないものになりましたが、雰囲気を伝える程度にしておきます。カシワドングリの「帽子」殻斗はとても特徴的です。毛がもさもさした頭みたいなのです。この殻斗を使って工作するとなかなか面白い作品ができます。天然の優れた素材です。
幾分砂の多い藪にユリ科の芽生えが何本か出ていましたので、その根元を少し掘ってみると大きな塊茎が姿を現しました。アマドコロです。アマドコロはもう少し肥沃な場所で時々見るのですが、こういうあまり肥沃でもなさそうな場所で生きていますからちょっと驚きです。もっとも地形は窪地になっていて周囲には高木も散見でき砂地ではあっても住み心地はいいのかもしれません。そして、この大きさの塊茎ですからかなりの水分も栄養も蓄えていますから、多少の乾燥地にも強いのだろうと思いました。