キノコという話になると「食べられるかどうか」が第一義的な話になってしまいがちですが、そういう話とはあまり関係ないところでキノコを楽しんでいる一人です。このミイロアミタケなどのサルノコシカケの仲間を楽しめる仲間がいるといいなぁと思うこの頃です。脇役でも生態系の中ではなくてはならない存在。そういう観点で見ると自然の奥深さや神秘さなどより深く味わえることでしょう。
11月の晴れた日里山を散策しているとコナラのえぐれた幹に何やらキノコの幼菌らしきものがびっしりと出ていました。よく見かけるナメコとは異なるようで、この日はこのままにして後日再び観察することにしました。
数日後再びコナラの樹にたどり着きました。この間誰かに見つかることもなく無事に成長をして成菌になっていました。生きているコナラの樹、部分的にえぐれていてそこから菌があふれんばかりに盛り上がっていました。ヌメリスギタケモドキという木材腐朽菌。ナメコに近い種でモエギタケ科の菌です。食用菌としてはまずまずのものと思っていますから、遠慮なくすべて採集することにしました。大収穫です。
同心円の文様を持つ里山では時々見られるチチタケの仲間です。これは11月の画像ですからかなり遅めの個体です。乾燥するとクローブ(丁子)の香りがすることから名づけられているというのですが、その匂いをいまだ確認していないのはかなり怠慢ですね。よく似たもののにカレーの匂いのするニオイワチチタケというのがあるのですが、こちらは生のものでもその匂いがしますからなるほどと思います。しかし、チョウジチチタケは生のものはあまり匂いません。もちろん傷をつけると白い乳液が出ます(すぐに黄色くなりますが)。
先月の里山でのキノコ観察会で出てきたイグチの仲間を3種紹介します。これはやや大きめなニガイグチモドキ。比較的早く秋の初めころから見られる種で肉質はしっかりしていますが苦くて食べられないのだそうです。地味な色合いであまり目立たないキノコです。しかし、キノコ観察会となると「きのこ目」になるせいか小さなものや地味な色彩のものなどどんどん出てきます。
全種に似ていますが傘が緑色を帯びていてなかなか美しいイグチです。かなり大型になるイグチで苦みがないが食用には適さないとコメントがあります。個人的には観賞用で食べようという気がしないきのこです。それほど沢山発生するふうではありません。
前種に比べてやや小型のイグチ。栗褐色の傘をしているところから名づけられています。この種も頻繁に見る種ではなくキノコ観察会などを行うと見つけられて出てくるという感じです。食用にできるようですが、いまだ未経験です。色具合から美味しそうな気がしないわけではありません。
綺麗なナスコンイッポンシメジに出会いました。生態の写真を取ればよかったのですが、キノコ観察会の中で採集されたものです。なかなかいい状態の個体には巡りあえなかったのですが、先月の観察会に出てきてくれました。濃紺の傘の色が美しい魅力的なキノコです。大きさは7~8cm位の傘の大きさがりました。
コメツガやネズコが混じる尾根道に綺麗な赤いキノコが点々と生えています。ヒメコマツも生育していますからマツ林などに出てくるチシオハツが最も近い種であろうと考えています。図版の写真との見比べで判断していますが、少ない写真ではなかなか言い切ることが難しいものです。何度か実物を観察しあるいは違った場所での観察などを経ないと確信みたいなものにならないものです。