歩いた範囲での話ですが、白山は針葉樹林帯というものが見られません。ハイマツは室堂周辺にはたくさんありますが、他の針葉樹をほとんど見かけませんでした。気づいたのは南竜山荘に向かう途中の尾根筋にオオシラビソが数本生育していたものくらいです。霧で遠くが見通せないので分からなかったのかもしれません。
中飯場の休憩地点にもう一種大型のセリ科植物が見られました。オオカサモチです。あいにく付近に写真に写せるような花や実をつけた株がなく葉だけの記録になりました。3回3裂の複葉ですが小葉は細く先端が鋭くなっています。3種の中ではもっとも細く避けた葉の印象です。
砂防新道の別当出会いの上の中飯場といわれる休憩地点付近に見られた群落です。低山にはシシウド深山や亜高山にはミヤマシシウドという話になるのですが、新潟では低山里山でもミヤマシシウドが生育していることになっています。
白山山域にはイブキボウフウ以外にボウフウという名がつく種がもう一つあります。ハクサンボウフウでここ白山のサンプルが基本になっていると思われます。イブキボウフウとはセリ科であってもかなり様子が異なります。そもそも「ボウフウ」とは漢方の一種だそうですが日本には漢方の「ボウフウ」は存在しないようです。察するに根茎が太いものにボウフウという名がつけられているのが多いようですから、大陸に存在するボウフウに類似する根茎の太そうなものを薬効を信じて○○ボウフウとつけたのではないかと考えています。ある資料によれば、在来の「○○ボウフウ」は漢方でいう「ボウフウ」とは全く違うものだそうです。
ハクサンボウフウの葉は変化が多いのですが、1-2回3出羽状複葉になります。小葉は比較的広くイブキボウフウが細く小さいのに比べると大きな差異があります。もっとも、名前に共通部分があるにせよ属はまるで異なりハクサンボウフウはカワラボウフウ属でイブキボウフウはイブキボウフウ属で類縁が異なります。
ウラジロハナヒリノキが亜高山帯に当たる尾根筋で見られます。ハナヒリノキより高所に自生する種です。ハナヒリノキも変異の多いグループとされますがウラジロハナヒリノキは日本海側の多雪地の高所に適応したものとされます。
葉裏が白いことでウラジロハナヒリノキと名付けられています。全体的に小型種で樹高や葉の大きさはハナヒリノキに比べ小さい種です。経験的に岩場などの水はけのよさそうな場所によく見かける気がします。高木が生育する林床ではあまり見ません。
クサボタンは深山性の種といっていいかもしれません。あまり高いところでは見ませんし里山などでも見ない種です。文献によれば本州全域に生育いているようです。白山では砂防新道に入ってしばらくして出てきました。