10日ほど前、近くの橋のたもとで見慣れない樹の葉を発見。といっても特徴的な葉には思えない。葉っぱは指紋のようなものなのですぐ名前がわかると思っていた。それがなかなかわからなくて迷宮入り寸前だった。
手持ちの図鑑を動員したが手掛かりが見つからないので、優れた図鑑を発行している「山と渓谷社」の『樹木の葉』を緊急購入した。従来だと古本で安く入手していたがなかなか古本がなく新本にするしかなかった。
しかし、頼みとしたこの本でもヒントすらつかめず。そのため、似たような葉を片っ端から調べてみた。最終的に候補の残ったのが、キブシ・ネジキ・シラキだった。
入手した葉の基部がハート型だったので、それだけを手掛かりにしたのが混迷の原因だった。つまり、葉によっては変異がいろいろあるということだった。
葉の縁に鋸歯がなく波打っていること、葉の基部に密腺があったことが決定的だった。その結果、トウダイグサ科の「シラキ」であることがやっと判明。シラキは材が白いところから命名された。種子から食用油・灯油が作られたという。渓谷沿いに多く見られる。そういえば二十年前だったか、沢沿いの山道できれいな紅葉をした葉を見つけ、調べたら「シラキ」だったことを思いだした。花も米粒のような形だったので注目されない目立たない樹木だった。でも、10日ぶりにやっと胸のつかえが取れたので、これからちょいちょい近場で挨拶できる友人ができた気がした。