普段、私が山歩きをする時は、そのほとんどが単独行であり、登る山も、佐賀県内、もしくは(佐賀県との)県境の山に限られる。
単独行が好きなのは、自分の好きなようにスケジュールが組めること。
美しい花や風景に出逢ったら、そこに好きなだけ居ることができるし、コーヒーを飲みたくなったら、いつでも休んで寛ぐことができる。
すべての行動が、自分の思うまま。
それに、単独行の時は、自分の五感が鋭敏になり、ワクワク・ドキドキ感を全身で感じられる。
県内の山が多いのは、(会社員故の)時間的な制約もあるが、「遠くの山より近くの山」という意識が強いからだ。
「幸せは遠くにあるのではなく、近くにある」という意識。
それは、日本列島徒歩縦断した時に学び、刷り込まれた意識だ。
確かに日本各地には素晴らしい土地、美しい場所がたくさんある。
だが、規模的には劣るかもしれないが、自分の住む土地の近くにも、よく目を凝らせば、同じような場所はいくらでもある。
要は、その人の感受性次第のような気がする。
中国の古典『菜根譚』後集五にも、次のような言葉がある。
「景を会するには遠きに在らず。蓬窓竹屋の下にも、風月は自らはるかなり」
風景や花を楽しむには、必ずしも遠くへ行く必要はないのである。
そんな私であるが、月に一度だけ、例外がある。
所属する山岳会の月例山行だ。
「単独行、佐賀県内の山」を標榜する私であるが、この時ばかりは、他県の山へ、山岳会のメンバーと出かける。
これは、月に一度の楽しみであり、私にとってはすごく贅沢な時間である。
5月の月例山行は、阿蘇の烏帽子岳、杵島岳、往生岳。
当初、「天主山」の予定であったが、登山口までの林道が通行止めになっていて、マイクロバスが入れないということで、急遽変更になった。
この三山にはまだ登ったことがなかったので、すごく楽しみにしていた。
5月中旬から6月上旬にかけて、くじゅうや阿蘇の話題といえば、ミヤマキリシマだろう。
確かに、満開のミヤマキリシマの大群落は、目を奪われるほどの劇的な美を提供してくれる。
この時期は、やはりミヤマキリシマが目的の登山者が圧倒的に多いだろう。
私の個人的な感想を言えば、このミヤマキリシマには、それほどの関心はない。
咲いていればそれに越したことはないが、咲いていなくても落胆はない。
ミヤマキリシマより私はふつうのヤマツツジの方が好きだし、それは近くの山でも見ることができる。
ミヤマキリシマより、私は、阿蘇の草原に咲く小さな花々を楽しみにしている。
ハルリンドウやマイヅルソウ、イワカガミなどの愛らしい可憐な花々。
ミヤマキリシマのように遠くから豪快に眺めるのではなく、近くを通って初めてその存在に気づくような小さな花。
今回、用意されたのは、AコースとBコース。
Aコース
湯の谷歩道登山口~草千里分岐~烏帽子岳~(グラススキー場のある右方へ下る)~車道~展望台(昼食)~噴火口跡を回遊~杵島岳・往生岳鞍部~往生岳~鞍部~杵島岳~草千里
Bコース
草千里分岐~烏帽子岳~車道~展望台(昼食)~噴火口跡を回遊~鞍部~杵島岳~草千里
参加者28名。Aコース17名、Bコース11名。
私はAコースを選択。
8:28
湯の谷歩道登山口を出発。
B班のスタート地点「草千里分岐」まで、約1時間の登り。
ゆるやかな登りで、それほどきつくない。
このルートは、あまり利用されていないのか、植物種が豊富だ。
最初に出逢ったのは、ホウチャクソウ。
次に出逢ったのは、マイヅルソウ。
おっと、ヒトリシズカも。
登山道の脇に、なんとキンランが……。
所々にはミヤマキリシマが咲いている。
1時間弱で、草千里分岐へ。
B班はもうかなり先を歩いている模様。
烏帽子岳に向けてゆっくり歩き出す。
草原の散歩道といった感じの道を快適に歩く。
ハルリンドウがたくさん咲いている。
草千里の向こうに烏帽子岳が見える。
マイヅルソウの群落が、あっちにもこっちにも……。
なんという気持ちの良い登山道だろう。
10:10
烏帽子岳山頂に到着。
山頂より、中岳、高岳方面を眺める。
気分爽快!
下山を開始すると、イワカガミの群落に出くわした。
グラススキー場のある右方に下る。
車道に下り、右にしばらく歩き、古坊中のバス停付近から、コンクリート舗装の遊歩道を登り始める。
ハルリンドウやマイヅルソウの間に隠れていたヒメハギも顔を見せてくれる。
11:15
途中の展望台にて、昼食。
ここからの眺めは抜群。
これまで歩いてきた烏帽子岳からの道程が一望のもとに眺められる。
振り向くと杵島岳が……
屋久島で見た永田岳のような感じがした。
12:00
展望台を出発。
往生岳分岐から、北東へ向かい、噴火口跡を回遊。
所々に咲いているミヤマキリシマを見ながら、杵島岳・往生岳鞍部に達する。
ここから見た往生岳は、つるりとした坊主頭のよう。
12:40
往生岳山頂着。
ここからの眺めも最高!
中岳、高岳方面の眺めがダイナミック!
向かいにある杵島岳に登るため、早々に下山にかかる。
一旦鞍部に下り、そこから急な斜面を登る。
ここが、今日一番きつい場所だった。
13:20
杵島岳山頂に到着。
すでに登っていたB班に迎えられる。
杵島岳山頂より、烏帽子岳を望む。
今日歩いてきた道のりが、すべて見える。
ミヤマキリシマを見ながら下山。
全員、無事に、草千里に着く。
今回は、直前の行き先変更であったが、運営委員の方々の好判断で、快適な山歩きを楽しむことができました。
ありがとうございました。
単独行が好きなのは、自分の好きなようにスケジュールが組めること。
美しい花や風景に出逢ったら、そこに好きなだけ居ることができるし、コーヒーを飲みたくなったら、いつでも休んで寛ぐことができる。
すべての行動が、自分の思うまま。
それに、単独行の時は、自分の五感が鋭敏になり、ワクワク・ドキドキ感を全身で感じられる。
県内の山が多いのは、(会社員故の)時間的な制約もあるが、「遠くの山より近くの山」という意識が強いからだ。
「幸せは遠くにあるのではなく、近くにある」という意識。
それは、日本列島徒歩縦断した時に学び、刷り込まれた意識だ。
確かに日本各地には素晴らしい土地、美しい場所がたくさんある。
だが、規模的には劣るかもしれないが、自分の住む土地の近くにも、よく目を凝らせば、同じような場所はいくらでもある。
要は、その人の感受性次第のような気がする。
中国の古典『菜根譚』後集五にも、次のような言葉がある。
「景を会するには遠きに在らず。蓬窓竹屋の下にも、風月は自らはるかなり」
風景や花を楽しむには、必ずしも遠くへ行く必要はないのである。
そんな私であるが、月に一度だけ、例外がある。
所属する山岳会の月例山行だ。
「単独行、佐賀県内の山」を標榜する私であるが、この時ばかりは、他県の山へ、山岳会のメンバーと出かける。
これは、月に一度の楽しみであり、私にとってはすごく贅沢な時間である。
5月の月例山行は、阿蘇の烏帽子岳、杵島岳、往生岳。
当初、「天主山」の予定であったが、登山口までの林道が通行止めになっていて、マイクロバスが入れないということで、急遽変更になった。
この三山にはまだ登ったことがなかったので、すごく楽しみにしていた。
5月中旬から6月上旬にかけて、くじゅうや阿蘇の話題といえば、ミヤマキリシマだろう。
確かに、満開のミヤマキリシマの大群落は、目を奪われるほどの劇的な美を提供してくれる。
この時期は、やはりミヤマキリシマが目的の登山者が圧倒的に多いだろう。
私の個人的な感想を言えば、このミヤマキリシマには、それほどの関心はない。
咲いていればそれに越したことはないが、咲いていなくても落胆はない。
ミヤマキリシマより私はふつうのヤマツツジの方が好きだし、それは近くの山でも見ることができる。
ミヤマキリシマより、私は、阿蘇の草原に咲く小さな花々を楽しみにしている。
ハルリンドウやマイヅルソウ、イワカガミなどの愛らしい可憐な花々。
ミヤマキリシマのように遠くから豪快に眺めるのではなく、近くを通って初めてその存在に気づくような小さな花。
今回、用意されたのは、AコースとBコース。
Aコース
湯の谷歩道登山口~草千里分岐~烏帽子岳~(グラススキー場のある右方へ下る)~車道~展望台(昼食)~噴火口跡を回遊~杵島岳・往生岳鞍部~往生岳~鞍部~杵島岳~草千里
Bコース
草千里分岐~烏帽子岳~車道~展望台(昼食)~噴火口跡を回遊~鞍部~杵島岳~草千里
参加者28名。Aコース17名、Bコース11名。
私はAコースを選択。
8:28
湯の谷歩道登山口を出発。
B班のスタート地点「草千里分岐」まで、約1時間の登り。
ゆるやかな登りで、それほどきつくない。
このルートは、あまり利用されていないのか、植物種が豊富だ。
最初に出逢ったのは、ホウチャクソウ。
次に出逢ったのは、マイヅルソウ。
おっと、ヒトリシズカも。
登山道の脇に、なんとキンランが……。
所々にはミヤマキリシマが咲いている。
1時間弱で、草千里分岐へ。
B班はもうかなり先を歩いている模様。
烏帽子岳に向けてゆっくり歩き出す。
草原の散歩道といった感じの道を快適に歩く。
ハルリンドウがたくさん咲いている。
草千里の向こうに烏帽子岳が見える。
マイヅルソウの群落が、あっちにもこっちにも……。
なんという気持ちの良い登山道だろう。
10:10
烏帽子岳山頂に到着。
山頂より、中岳、高岳方面を眺める。
気分爽快!
下山を開始すると、イワカガミの群落に出くわした。
グラススキー場のある右方に下る。
車道に下り、右にしばらく歩き、古坊中のバス停付近から、コンクリート舗装の遊歩道を登り始める。
ハルリンドウやマイヅルソウの間に隠れていたヒメハギも顔を見せてくれる。
11:15
途中の展望台にて、昼食。
ここからの眺めは抜群。
これまで歩いてきた烏帽子岳からの道程が一望のもとに眺められる。
振り向くと杵島岳が……
屋久島で見た永田岳のような感じがした。
12:00
展望台を出発。
往生岳分岐から、北東へ向かい、噴火口跡を回遊。
所々に咲いているミヤマキリシマを見ながら、杵島岳・往生岳鞍部に達する。
ここから見た往生岳は、つるりとした坊主頭のよう。
12:40
往生岳山頂着。
ここからの眺めも最高!
中岳、高岳方面の眺めがダイナミック!
向かいにある杵島岳に登るため、早々に下山にかかる。
一旦鞍部に下り、そこから急な斜面を登る。
ここが、今日一番きつい場所だった。
13:20
杵島岳山頂に到着。
すでに登っていたB班に迎えられる。
杵島岳山頂より、烏帽子岳を望む。
今日歩いてきた道のりが、すべて見える。
ミヤマキリシマを見ながら下山。
全員、無事に、草千里に着く。
今回は、直前の行き先変更であったが、運営委員の方々の好判断で、快適な山歩きを楽しむことができました。
ありがとうございました。
>メーテル・リンクの『青い鳥は近くに居た』というのにも通じますね。
そうなんですよ
私自身、日本全国、かなりウロウロしまして、美しい場所や雄大な景色などを随分見て回りました。
その結果、逆に気づかされたのが、自分の住む土地の周囲の素晴らしさ。
全国のいろいろな場所を見たおかげで、身近な場所の良さを再認識したような感じです。
>以前からタクさんの日本列島徒歩縦断に興味を持っていました。その時の模様をブログか何かで記録に残されていないのでしょうか?
この件に関しては、メールでお答えしますね。
>烏帽子岳、杵島岳、往生岳には草原性の花々が、根子より優しく咲いているみたいに感じましたが・・・。
そうですね。根子岳の方が、自然環境が厳しいので、植物も必死に咲いている感じですね。
それに比べて、烏帽子岳、杵島岳、往生岳は、のんびりした環境なので、植物もそんな感じになるのだと思います。
特に、ハルリンドウとマイヅルソウは、優しい感じがしましたね。
>明日、再び阿蘇中岳、高岳へ向かう予定です。
>(今日申し込み手続きを許されればの話で、山の会へオープン参加です)
すごいバイタリティですね!
山の会へのオープン参加とのこと。
自然だけでなく、いろんな人との出逢いも楽しみですね。
メーテル・リンクの『青い鳥は近くに居た』というのにも通じますね。
以前からタクさんの日本列島徒歩縦断に興味を持っていました。その時の模様をブログか何かで記録に残されていないのでしょうか?
烏帽子岳、杵島岳、往生岳には草原性の花々が、根子より優しく咲いているみたいに感じましたが・・・。
明日、再び阿蘇中岳、高岳へ向かう予定です。以前阿蘇を訪れた際、火口の砂漠地帯みたいな場所から砂まみれになった登山隊が出てきたのを見て感動したのが忘れられないのです。地図で見る限り、そのルートではなかろうかと予想しています。(今日申し込み手続きを許されればの話で、山の会へオープン参加です)
私もミヤマキリシマにはさほど心動かされない一人ですよ。