一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『トリガール!』 ……体育会系女優・土屋太鳳の魅力あふれる快作……

2017年09月10日 | 映画


8月23日(水)に放送された「鳥人間コンテスト 2017」は、
40回記念にふさわしく、
人力プロペラ機部門で往復40㎞を達成するチームが現れ、
見応えのある番組となっていた。
「土屋太鳳と間宮祥太朗もゲストで登場」(映画『トリガール!』の宣伝も兼ねていた)
と新聞の番組表に書いてあったので、
土屋太鳳のファンである私は楽しみに観ていたのだが、
土屋太鳳の真摯な態度も好印象で、
「鳥人間コンテスト 2017」に感動したことも手伝って、
〈映画『トリガール!』も見てみようか……〉と思った。
で、さっそく、公開直後に、映画館に駆けつけたのだった。
(レビューが遅くなってスミマセン)


流されっぱなしで生きてきた鳥山ゆきな(土屋太鳳)は、
一浪を経て理系の大学に入学する。


入学早々、眼鏡男子の多い理系のノリにカルチャーショックを受けるが、
高橋圭(高杉真宙)というイケメンの先輩に心を奪われてしまう。


圭から、
「いいカラダしてるね」
との殺し文句で誘われるまま、
フラフラと入部したサークルこそ、
二人乗り人力飛行機で“鳥人間コンテスト”を目指す人力飛行サークル、
「Team Birdman Trial」だった。


パイロット班に加入したゆきなは、
憧れの圭先輩とコンビを組んで飛ぶことを夢見てトレーニングを開始するが、
「狂犬」と呼ばれる先輩・坂場大志(間宮祥太朗)が現れ、


圧倒的な力を見せつけて、正パイロットの座を奪ってしまう。


やる気を失ったゆきなであったが、
渋々参加したテストフライトで、圭先輩が大怪我を負う事故が起きる。


機体は損傷し、パイロットを失い、ショックを受ける「Team Birdman Trial」のメンバー。
そんな中、ゆきなは、坂場が抱えた心の傷とサークルの悲願を知る。


自分がどうしたらいいかを悩む中、
〈誰かが漕がなきゃ飛ばない〉
という親友の和美(池田エライザ)の言葉に背中を押され、


仲間たちの想いを繋ぐため、
坂場とふたりで飛ぶことを決意する……




予想以上に面白い映画であった。
鳥山ゆきな(土屋太鳳)と坂場大志(間宮祥太朗)が終始言い争っていて、
何を言っているのか聞き取りづらいシーンもあったが、


土屋太鳳が毒舌キャラのヒロインを快演しており、
終始、楽しく見ることができた。
これほどまでに弾けた土屋太鳳を見たのは初めてかもしれない。


土屋太鳳に関しては、これまで、
『orange』(2015年12月12日公開)




『青空エール』(2016年8月20日公開)




などを見て、レビューも書いているが、
どちらかというと、内気で、ぼそぼそと話す、
清楚で、ピュアな女子高生というイメージの役が多かった。


本作『トリガール!』では、
これまでの作品とは真逆の役柄で、
体育会系のヒロインを力強く演じていた。


土屋太鳳で思い出すのは、
昨年(2016)の10月11日に放送されたTBS「オールスター感謝祭」のマラソンで、
失神寸前になるまで激走していたこと。
何事にも一所懸命で、一途な感じが素晴らしい。
日本女子体育大学体育学部運動科学科舞踊学専攻の学生でもある彼女なので、
(女優業が忙しく、今年は卒業できなったらしい)
『トリガール!』での彼女が、本来の土屋太鳳に近いキャラなのではないかと思った。


昨年(2016年)、土屋太鳳は、
『金メダル男』(2016年10月22日公開)という作品にも出演しており、
知念侑李と「鳥の求愛」を表現するダンスを一緒に踊るシーンが強く印象に残っているが、
まさかトリガールとなって、本当に空を飛ぶとは……(笑)


土屋太鳳以外では、
土屋太鳳とは正反対の役柄で、
冷静沈着な島村和美を演じた池田エライザが良かった。


ファッションモデルでもあり、女優でもある彼女だが、
池田エライザを一躍有名にしたのは、「エライザポーズ」と言われる自撮り写真。


口元をつまんで唇を尖らせたポーズをとった写真をTwitterのアイコンにしたのをきっかけに、
2014年中ごろから話題になり中高生の間で流行し、
現在も定番のポージングとして流行っている。


本作『トリガール!』では、
ファッションモデルをしているときのような濃いメークではなかったし、


鳥山ゆきな(土屋太鳳)とは真逆な役柄だったこともあって、
そのナチュラルさがとても良かったし、好感が持てた。


まだ映画出演は少ないが、
これからの活躍が大いに期待できる女優だとう思う。



坂場大志を演じた間宮祥太朗。


『帝一の國』(2017年4月29日公開)で氷室ローランドを演じていたのが記憶に新しいが、
本作でも、気合の入った演技で、見る者を楽しませてくれた。
個人的には、今秋(11月18日)公開予定の、
間宮祥太朗の映画初主演作『全員死刑』を楽しみにしており、
この作品でも私を大いに楽しませてくれることだろう。


最近のイケメン男優は、
その多くが仮面ライダーシリーズ出身で、
オダギリジョー(仮面ライダークウガ)
要潤(仮面ライダーG3)
佐藤健(仮面ライダー電王)
瀬戸康史(仮面ライダーキバ)
菅田将暉(仮面ライダーW)
福士蒼汰(仮面ライダーフォーゼ)
竹内涼真(仮面ライダードライブ)
など、数えたらキリがないほど。
本作『トリガール!』で高橋圭を演じた高杉真宙(仮面ライダー龍玄)もその一人。
絵に描いたような爽やかイケメンで、
CMでもよく見かけるし、
今や、青春モノのTVドラマや映画で欠かせない男優となっている。


『トリガール!』では、その爽やかさは維持しつつも、
坂場大志(間宮祥太朗)にも負けない力強さや男らしさも魅せているので、
高杉真宙ファンの女性は必見の映画と言えるだろう。



芝浦工業大学卒の原作者・中村航は、
母校の「Team Birdman Trial」の存在を知り、
競技の過酷さ、
たった1回のフライトのために1年をまるまる費やす学生たちの情熱に驚かされ、
小説『トリガール!』を書いたとか。


「パイロットが乗り込んでフェアリングを閉じた時が機体の完成です」
という学生たちの言葉も映画にうまく活かされており、
映画を見終わる頃には、観客も、
スピッツの名曲「空も飛べるはず」をカバーした“ねごと”の歌声と共に、
琵琶湖の空を飛んでいるような気分にさせられる。
ぜひせひ。

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