佐賀県小城市が舞台の映画『ソフトボーイ』が、6月19日(土)より公開されている。
佐賀県内では話題作なので、友人知人などから映画の感想をよく求められる。
で、さっそく見に行った。
佐賀県にある牛津学園高校。(劇中では「学園」を付けてある)
高校最後の夏……進学、就職に悩む季節。
調理科に通い、密かにフレンチのシェフを夢見るオニツカ(永山絢斗)も、自らの進路に思いをめぐらせていた。
そんなオニツカの穏やかな日常をいつも前触れなくぶっ壊すのが、幼なじみのノグチ(賀来賢人)だった。
「ソフトボールで全国大会ばいっ!」
ある日、県内に男子ソフトボール部が1校もないことに気づいたノグチは、
〈部さえ作れば即全国大会出場決定!〉
と思いついてしまった。
それは、
〈ヒーローになる!〉〈モテる!〉
という、この上なく不純な動機。
ノグチに巻き込まれたオニツカは、男女比1対9という極端に男子が少ない学校で、部員集めに奔走。
苦労して集まったのは、なんとキャッチボールさえまともにできない素人ばかりだった。
「ソフトボールなんて女子がやるもの」
と完全にナメ切っていた部員たちが、練習をしていくうちに、
〈もしかして全国大会で勝てるんでは!?〉
とマジになっていく。
大会に向けてチームがまとまりかけた時、あるとんでもない事実が判明する。
果たして彼らは全国大会に出場できるのか?
……思い込みで突っ走る9人のソフトボーイと、3人の女子マネージャーのアツい夏の物語である。
これは、実在する佐賀県立牛津高校でホントにあったエピソードをもとに、最初はノリで始めたソフトボールを通じて、仲間と共に自分を信じて前向きにチャレンジしていく姿を瑞々しく描いた青春エンターテインメントである。
なんといっても、舞台が佐賀県だけに、知っている場所が随所に出てくるのが嬉しいし、楽しい。
中でも小城市にある須賀神社は、オニツカの通学路として、またソフトボール部員の練習場所として、何回も出てくる。
(天山に登るために七曲峠に行くときにここを通るよね)
この長い階段を上り下りするシーンがある。
夕暮れに、皆で橋を渡るシーンも印象的だった。(こんな角度から撮影されていた)
それから小城駅は、「牛津駅」として登場していた。
右隅にある赤いポストも、重要な役割を果たす。
オニツカとクサナギが一緒に歩く六角川の土手も素敵だった。
その他、佐賀では有名なカルチャー焼屋さん、多良漁港、海遊ふれあいパークなどでロケが行われており、ストーリー以外の部分でも楽しめるのは、佐賀県民ならでは。
で、肝心の映画自体はどうだったかというと、これがなかなかの作品だった。
〈舞台が佐賀というだけで、褒めるところがなかったらどうしよう〉
と心配していたのだが、面白く最後まで見ることができた。
何よりも脚本が良い。
脚本を、担当したのは林民夫。
1966年、神奈川県生まれ。
日本映画学校卒。
1991年、テレビアニメ『サザエさん』で脚本家デビュー。
TVで多くの作品を手掛けた後、映画の脚本にも着手。
ここ数年では、
『奈緒子』(2008年)
『ダイブ!!』(2008年)
『フィッシュストーリー』(2009年)
『ゴールデンスランバー』(2010年)
『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』(2010)
と話題作が多い。
今年の秋には、菅野美穂主演映画『ジーン・ワルツ』も公開を控えている。
脚本を、この今もっともノッている林民夫にしたのが、成功の第一要因だ。
監督は豊島圭介。
1971年、静岡県浜松市生まれ。
静岡県立浜松北高等学校、東京大学教養学部表象文化論専攻卒。
大学在学中から自主映画を製作し、『悲しいだけ』が「ぴあフィルムフェスティバル94」に入選。
大学卒業後、ロサンゼルスのアメリカン・フィルム・インスティテュートの監督コースに留学。
1999年に帰国後、中原俊や篠原哲雄の監督作品など脚本を手掛ける。
2003年、オムニバス怪奇ドラマ『怪談新耳袋』シリーズで監督デビュー。
その後も、TVドラマ『怪奇大家族』(2004)などで脚本や演出を担当。
映画では、
『怪談新耳袋 ノブヒロさん』(2006)
『コワイ女』(2006)
『ユメ十夜』(2007)
『幽霊VS宇宙人 略奪愛』(2008)
などがあり、
今後の公開作として『裁判長!ここは懲役4年でどうですか』(2010)がある。
優れた脚本を、しっかり青春映画の王道として演出し、映像化できたのは、この豊島圭介監督の手腕に因るところが大きい。
オニツカ役の永山絢斗。
(瑛太の弟って、知ってました?)
ナイーブな主人公をうまく演じていた。
ノグチ役の賀来賢人。
オニツカとは対照的に、周囲を振り回す強烈なキャラクターのノグチを好演。
笑顔が印象的だった。
現在、TVドラマ『タンブリング』でも活躍中。
クサナギ役の波瑠。
ファッション雑誌『セブンティーン』の専属モデルとして活動していただけあって、可愛くて、スタイルも良い。
ヒロインとして作品に花を添えていた。
(写真中央)
ソフトボール部顧問・澤山先生役の大倉孝二。
演技力に定評があり、個性的な大倉孝二の存在は、この作品ではとても重要だった。
彼が出演したことで、この作品がグッと締まった。
笑わせて、泣かせてくれた。
(写真左から2人目)
この他、佐賀出身のはなわや、北京五輪女子ソフトボール金メダリストの上野由岐子なども出ていて、とても楽しめた。
主題歌は、倉木麻衣の『chance for you』。
エンドロールのときにこの曲が流れる。
歌詞の内容が、この映画にピッタリで、とても前向きな気分になれる。
なのに、このエンドロールのときに席を立つ人が多いんだよね~
これから見に行く人は、エンドロールが終わるまで、絶対に席を立たないように……
なぜなら、エンドロールが終わった後にも、まだ重要なワンシーンがあるから……ね。
私としても、佐賀が舞台でなかったら、見に行かなかったかもしれない作品。
でも、見に行って良かった……というのが、素直な感想。
佐賀県民はもちろん、県外の方にもぜひ見てもらいたい作品だ。
面白い作品なのに、なぜか泣けてくる場面が多い。
そして胸がキュンとなる。
爽やかで甘酸っぱい高校生活最後の夏を、あなたもこの映画でもう一度体験してみませんか?
佐賀県内では話題作なので、友人知人などから映画の感想をよく求められる。
で、さっそく見に行った。
佐賀県にある牛津学園高校。(劇中では「学園」を付けてある)
高校最後の夏……進学、就職に悩む季節。
調理科に通い、密かにフレンチのシェフを夢見るオニツカ(永山絢斗)も、自らの進路に思いをめぐらせていた。
そんなオニツカの穏やかな日常をいつも前触れなくぶっ壊すのが、幼なじみのノグチ(賀来賢人)だった。
「ソフトボールで全国大会ばいっ!」
ある日、県内に男子ソフトボール部が1校もないことに気づいたノグチは、
〈部さえ作れば即全国大会出場決定!〉
と思いついてしまった。
それは、
〈ヒーローになる!〉〈モテる!〉
という、この上なく不純な動機。
ノグチに巻き込まれたオニツカは、男女比1対9という極端に男子が少ない学校で、部員集めに奔走。
苦労して集まったのは、なんとキャッチボールさえまともにできない素人ばかりだった。
「ソフトボールなんて女子がやるもの」
と完全にナメ切っていた部員たちが、練習をしていくうちに、
〈もしかして全国大会で勝てるんでは!?〉
とマジになっていく。
大会に向けてチームがまとまりかけた時、あるとんでもない事実が判明する。
果たして彼らは全国大会に出場できるのか?
……思い込みで突っ走る9人のソフトボーイと、3人の女子マネージャーのアツい夏の物語である。
これは、実在する佐賀県立牛津高校でホントにあったエピソードをもとに、最初はノリで始めたソフトボールを通じて、仲間と共に自分を信じて前向きにチャレンジしていく姿を瑞々しく描いた青春エンターテインメントである。
なんといっても、舞台が佐賀県だけに、知っている場所が随所に出てくるのが嬉しいし、楽しい。
中でも小城市にある須賀神社は、オニツカの通学路として、またソフトボール部員の練習場所として、何回も出てくる。
(天山に登るために七曲峠に行くときにここを通るよね)
この長い階段を上り下りするシーンがある。
夕暮れに、皆で橋を渡るシーンも印象的だった。(こんな角度から撮影されていた)
それから小城駅は、「牛津駅」として登場していた。
右隅にある赤いポストも、重要な役割を果たす。
オニツカとクサナギが一緒に歩く六角川の土手も素敵だった。
その他、佐賀では有名なカルチャー焼屋さん、多良漁港、海遊ふれあいパークなどでロケが行われており、ストーリー以外の部分でも楽しめるのは、佐賀県民ならでは。
で、肝心の映画自体はどうだったかというと、これがなかなかの作品だった。
〈舞台が佐賀というだけで、褒めるところがなかったらどうしよう〉
と心配していたのだが、面白く最後まで見ることができた。
何よりも脚本が良い。
脚本を、担当したのは林民夫。
1966年、神奈川県生まれ。
日本映画学校卒。
1991年、テレビアニメ『サザエさん』で脚本家デビュー。
TVで多くの作品を手掛けた後、映画の脚本にも着手。
ここ数年では、
『奈緒子』(2008年)
『ダイブ!!』(2008年)
『フィッシュストーリー』(2009年)
『ゴールデンスランバー』(2010年)
『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』(2010)
と話題作が多い。
今年の秋には、菅野美穂主演映画『ジーン・ワルツ』も公開を控えている。
脚本を、この今もっともノッている林民夫にしたのが、成功の第一要因だ。
監督は豊島圭介。
1971年、静岡県浜松市生まれ。
静岡県立浜松北高等学校、東京大学教養学部表象文化論専攻卒。
大学在学中から自主映画を製作し、『悲しいだけ』が「ぴあフィルムフェスティバル94」に入選。
大学卒業後、ロサンゼルスのアメリカン・フィルム・インスティテュートの監督コースに留学。
1999年に帰国後、中原俊や篠原哲雄の監督作品など脚本を手掛ける。
2003年、オムニバス怪奇ドラマ『怪談新耳袋』シリーズで監督デビュー。
その後も、TVドラマ『怪奇大家族』(2004)などで脚本や演出を担当。
映画では、
『怪談新耳袋 ノブヒロさん』(2006)
『コワイ女』(2006)
『ユメ十夜』(2007)
『幽霊VS宇宙人 略奪愛』(2008)
などがあり、
今後の公開作として『裁判長!ここは懲役4年でどうですか』(2010)がある。
優れた脚本を、しっかり青春映画の王道として演出し、映像化できたのは、この豊島圭介監督の手腕に因るところが大きい。
オニツカ役の永山絢斗。
(瑛太の弟って、知ってました?)
ナイーブな主人公をうまく演じていた。
ノグチ役の賀来賢人。
オニツカとは対照的に、周囲を振り回す強烈なキャラクターのノグチを好演。
笑顔が印象的だった。
現在、TVドラマ『タンブリング』でも活躍中。
クサナギ役の波瑠。
ファッション雑誌『セブンティーン』の専属モデルとして活動していただけあって、可愛くて、スタイルも良い。
ヒロインとして作品に花を添えていた。
(写真中央)
ソフトボール部顧問・澤山先生役の大倉孝二。
演技力に定評があり、個性的な大倉孝二の存在は、この作品ではとても重要だった。
彼が出演したことで、この作品がグッと締まった。
笑わせて、泣かせてくれた。
(写真左から2人目)
この他、佐賀出身のはなわや、北京五輪女子ソフトボール金メダリストの上野由岐子なども出ていて、とても楽しめた。
主題歌は、倉木麻衣の『chance for you』。
エンドロールのときにこの曲が流れる。
歌詞の内容が、この映画にピッタリで、とても前向きな気分になれる。
なのに、このエンドロールのときに席を立つ人が多いんだよね~
これから見に行く人は、エンドロールが終わるまで、絶対に席を立たないように……
なぜなら、エンドロールが終わった後にも、まだ重要なワンシーンがあるから……ね。
私としても、佐賀が舞台でなかったら、見に行かなかったかもしれない作品。
でも、見に行って良かった……というのが、素直な感想。
佐賀県民はもちろん、県外の方にもぜひ見てもらいたい作品だ。
面白い作品なのに、なぜか泣けてくる場面が多い。
そして胸がキュンとなる。
爽やかで甘酸っぱい高校生活最後の夏を、あなたもこの映画でもう一度体験してみませんか?