一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

天山 ……積雪と、プチ氷瀑と、氷の芸術と、霧氷と、ツグミと、ウェカ30……

2020年01月17日 | 天山・彦岳
1月16日(木)

今日の地元紙に、
「天山ようやく初冠雪」との見出しの記事が載った。


九州北部上空に寒気が流れ込んだ影響で、佐賀県内は15日、佐賀市川副で氷点下1.4度、嬉野で氷点下0.6度となるなど各地で冷え込み、天山(標高1046メートル)では初冠雪を観測した。平年より40日遅く、昨シーズンより18日遅い観測だった。

この記事を読んで、驚いたのは私だけではないだろう。
なぜなら、
天山はすでに昨年(2019年)12月23日に初冠雪していたからである。

初冠雪は、目視観測であることは知っている。
麓にある気象台や測候所から対象となる山の頂を眺め見て、
山頂が白くなっていることを確認して初冠雪とする。
たとえ山頂に積雪が生じたとしても、
雲などによって山頂が目視できない場合は、
雲が晴れるなどして山頂が見えるようになった後日になってから初冠雪が観測されるという場合もあり、タイムラグが発生することもある。

だが、12月23日は、晴れていた。
小城市からも見えていたし、
佐賀市からも見えていた。
私は、
初冠雪の天山へ ……白い稜線と、稜線から見た雲海と、雪に埋もれた枯花たち……
とのタイトルで記事を書いたし、
佐賀市在住の「最低標高一等三角点の町より」というブログを運営している“はこふぐ”さんも「天山初冠雪」というタイトルで記事を書いておられる。(コチラを参照)
実は、この日、天山初冠雪ということを確認しようと、
私は佐賀地方気象台に何度か電話しているのである。
だが、電話には誰も出なかったのだ。
たまたま誰もいなかったのか、
もしかして休みだったとか……(まさかね~)
冠雪が麓から見えて、数十万の県民が目撃しても、
佐賀地方気象台の職員が(なんらかの理由で)目視できなければ、
初冠雪とはならないのか……

まあ、それはともかくとして、
1月15日にも天山の冠雪を確認したのだが、
その日は用事があって登山できず、
翌16日に天山に向かったのだった。

麓から見る限り、天山に冠雪は見られず、
〈雪は融けてしまったか……〉
と心配されたが、
〈北側はまだ雪が残っている筈……〉
と思い直し、
南側にある上宮登山口ではなく、
北側にある天川登山口から登ることにした。


登り始めてまもなく、積雪が見られるようになった。


冬になっても平地にはまったく雪は降っていないので、
雪を見るだけでテンションは上がる。


嬉しくて仕方がない。


喜びを噛みしめつつ、ゆっくり登って行く。


いつもの場所でパチリ。


プチ氷瀑も見られた。


氷が生き物のように見える。




水溜りには氷が張っており、


様々な模様を描き出していた。


まさに芸術。


ひとつとして同じ模様はない。


しばし見惚れる。


いいね~


もうすぐ山頂。


天山山頂に到着。
平日ということもあってか、誰もいなかった。


南側を眺めると、やはり雪はなかった。
北側から登って「正解」であった。


やや靄っており、


雲仙は「浮島」のように見えた。


さあ、稜線散歩へ。
〈昨日は霧氷ができていた筈。その名残がないか……〉
と探すと、


「あった~」




霧氷が融けかかって、再び凍ったような……




そんな霧氷の名残があちこちに見られた。




期待はしていたが、実際に見ることができて嬉しい。






〈秋の花の名残もまだ残っていないか……〉
と探すと、


タンナトリカブト、


アキノキリンソウ、


ホソバノヤマハハコなどが、
立ち枯れた姿を見せてくれた。


いつもの場所で、


こんな風景を見ながら、珈琲タイム。


本日の「天山壁」。
いいね~


ザクザクと霜柱を踏みしめ、


「アイスの実」のように見えるサルトリイバラの実や、


融けかかった霧氷を見ながら、




山頂に戻っていると、


ツグミを見かけた。
全長24cm。日本には全国に冬鳥として渡来する。
10月ごろ、シベリアから大群で渡ってくる冬鳥の代表で、
日本へ着くと群れを解いて、田畑や低い山の林に散らばって生息し、
3月なかばごろになると再び群れて北へ帰る。


振り返る姿がカワイイ。


天山山頂に戻ってきた。
結局、下山するまで誰にも会わず、


ウェカくん(マックパックのウェカ30)だけが、私の“山の友”であった。
今日も「一日の王」になれました~


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