ラスト、コーション
2007年/アメリカ=中国=台湾=香港
予定調和
総合 70点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
この作品の見所は言うまでもなく過激なラヴシーンである。勿論それをAV的な興味で観賞することは一向にかまわないのではあるが、恐らくアン・リー監督の意図はそれとは別のものであろう。
スパイとして敵対する組織のトップであるイーと彼の愛人になる主人公ワン・チアチーの駆け引きを、もし過激なラヴシーンなしで描いていたのならば、既に似たような作品が存在する以上凡庸な物語になってしまっていただろう。
監督の演出の意図は、本当にしているのか演技なのかはっきり分からないように演出して観客に錯覚させる過激なラヴシーンと、演技なのか本気なのかよく分からないワンのイーに対する気持ちとをダブらせることで相乗効果をもたらすことにあると思われる。そこの部分の演出は成功している。
問題なのはワンがそこまでしてスパイになる動機である。ワンは同じ劇団のクァン・ユイミンに好意を持っていたから参加したはずであるが、その2人の絆の強さが、ワンとイーの絆の強さに拮抗するようには描かれていないため、ワンとイーのシーンとワンとクァンのシーンの間にテンションの落差が生じてしまっている。因ってラストシーンがどうなるのか予想がついてしまい、驚きがないのである。
アン・リー監督の演出の手堅さはいつも通りだが、いつも通り手堅過ぎて予定調和に陥っていると思う。
志布志事件で鳩山法相「冤罪と呼ぶべきではない」(読売新聞) - goo ニュース
確かに志布志事件は捏造された事件であるのだから、そのような趣旨の発言で
あるのならば冤罪とは呼べない。正確に言うのであるのならば警察による犯罪で
ある。もうこの人のバカ発言に慣れてしまっている雰囲気が恐ろしいのだが、
今回さらに問題であることはこの件に関して訊かれた福田首相が記者に対して
「私はその発言を知らないし、そのように断片を捉えて訊くな」というような趣旨の
答えをして大した問題ではないようにしようとすることにある。この首相は全ての
問題に関してこのような調子である。このように“見ない振り”を続けているといつか
突然全ての問題が爆発することにならないのだろうか