MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『特集:ペドロ・コスタ監督特集2008』 100点

2008-03-21 19:32:30 | goo映画レビュー

特集:ペドロ・コスタ監督特集2008

-年/-

ネタバレ

‘失敗’作について

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 ‘失敗作’というものがどういうものであるのか改めて説明する必要などないであろう。‘失敗作’と聞いてすぐに思い浮かぶ作品が失敗作であるのだろうし、万が一何も思いつかないという人に対しては、それほどの強運の持ち主であるのならば今後も失敗作に巡り会うことはないだろうから、‘失敗作’について説明は要しない。
 だからここで説明してみたいは‘失敗作’ではなくて‘失敗’作のことである。例えば、ペドロ・コスタの長編デビュー作である『血』のどこが‘失敗’作なのであろうか?
 そもそも作品の冒頭から父親に殴られた主人公ヴィセンテが父親の後を付いて行くことに失敗している。木陰に隠れる弟ニーノを探さなければならなくなるし、待ち合わせをしていたにも拘らず恋人クララとニーノは先に帰ってしまい、ヴィセンテは置いてけぼりにされてしまう。ヴィセンテの父親と金銭的な取引をしていた男たちや伯父が訪ねてくるが、その父親は既にこの世にいない。ヴィセンテとクララは父親の遺体を運ぶ時に、最初クララがその場から立ち去ってしまうが、いつの間にかヴィセンテが車で行ってしまうという同じ構図が、2人のデートに於いても、先に男友達の方へと走っていってしまったクララを追いかけていっていたはずのヴィセンテをいつの間にかクララが追いかけていくようなねじれとして見られる。伯父によって連れ出されたニーノを取り戻そうとするヴィセンテはニーノに会える直前で男たちに拉致されてしまう。そのグループ内の一人の女性によって、父親に会わせることを条件にヴィセンテは抜け出すことが出来るが死んだ父親に会えるはずはない。ヴィセンテの腕の中で目覚めるクララは勿論ボートに乗っているニーノに付いて行けていない。
 ‘父親の死’が象徴しているようにこの作品は‘後を付いて行くことの失敗’の物語で構成されているのである(ちなみに「この世で一番重要なものは何?」という問いで終わるラスト、ボートに乗っているニーノは中平康監督『狂った果実』の長門裕之と重複する)。
 ‘失敗’は2作目でも続く。『溶岩の家』では看護婦であるにも拘らず主人公マリアーナは工事現場で落下して意識不明になったレオンを始め‘助けることに失敗’している。マリアーナは暴行されそうになった時に助けてもらった犬を助けられず、意識を取り戻したレオンとの関係も上手くいかず、マリアーナの一番の理解者だった男性が何者かに襲われたことにも気が付かず、ラストシーンで少女を助けようとした時も突き飛ばされる有様である。
 ‘失敗’は3作目でも続く。『骨』では家政婦であるにも拘らず主人公クロティルデは‘持て成すことに失敗’している。そもそも最初からティナの乳児自体望まれて産まれてきていない。乳児の父親は通りで物乞いをするが上手くいかずに、乳児に‘腐った牛乳’を飲ませてしまう。この作品では台所と食事のシーンが多いがナベをひっくり返したり、中座したり、ガスを出しっぱなしにするなどことごとく‘持て成すことに失敗’しているのだ。
 ‘失敗作’がつまらないということは誰にでも分かることだが、‘失敗’作が面白いのかといえばそれを肯んずることは難しい。よっぽど頭の良い人でなければ楽しめないとは思うが、ペドロ・コスタが特異な映像作家であることに間違いはない。


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災い転じて福となす?

2008-03-21 08:48:36 | Weblog

「求む!日銀総裁」英紙が黒田氏ら候補あげ社説掲載(読売新聞) - goo ニュース

 与党はどうしても財務省出身の人でなければならなかったということが、図らずも

政管癒着の事実を炙り出してしまった感じである。ところで日銀総裁って本当に

必要なのだろうか? 例えば、「この人だったからこそ日本の経済危機がかろうじて

回避されてよかった」などという話は聞いたことが無い。日銀総裁の名前を聞くのは

公定歩合を上げるか下げるかの時くらいで、その時でさえトップダウンではなくて

みんなで相談した上での判断なのだから、もし総裁不在のまましばらく様子を見て

問題がなければ人件費の節約になるのではないのだろうか?


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