MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『七人の秘書 THE MOVIE』

2022-10-20 00:52:39 | goo映画レビュー

原題:『七人の秘書 THE MOVIE』
監督:田村直己
脚本:中園ミホ
撮影:五木田智
出演:木村文乃/広瀬アリス/菜々緒/シム・ウンギョン/大島優子/室井滋/江口洋介/玉木宏/濱田岳/吉瀬美智子/笑福亭鶴瓶
2022年/日本

「印象」で判断されがちのキャラクターについて

 どうもすっきりしない終わり方だった。クライマックスにおいて燃え上がる屋敷の中から火傷を負った緒方航一を担いで出てきたのは望月千代なのだが、緒方が火傷を負ったのは千代を燃えながら倒れてきた梁から庇うためだった。しかし千代は、実は緒方は「Blue Gold」と呼ばれる地下水脈をアラブ諸国に高値で売ろうと企んでいたということでフッてしまうのである。
 「雷鳥牧場」を潰して土地開発でリゾート地にするのが「アルプス雷鳥グループ」のCEOの九十九道山の野望ではあるが、道山は指示しただけであって、牧場で働いていた高齢者や子供たちの扱いに関しては護衛たちに任せっぱなしで知らなかったのかもしれない。
 つまり道山も彼の長男である航一も極悪非道として断罪できないような気がするのである。さらに気になるのが緒方航一は信州のラーメン屋「味噌いち」の経営者で、萬敬太郎はラーメン萬の店主で、味噌と醤油の違いだけの「同類」である。もっと言うならば九十九道山の屋敷にはゴッホなどの、道山が粟田口と一緒に入る病室にはモネなどの印象派の絵画が壁に掛かっているのである。観客は「印象」で気軽に善悪を判断してしまっていないだろうか? それとも本作はそれほど深く読むような類いの作品ではなく、単に脚本が緩いだけなのだろうか?
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/lookcolumn/region/lookcolumn-0669fc5e8bac0c42a3eedb04cbc5dea0fac5bab9


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