原題:『AKIRA』
監督:大友克洋
脚本:大友克洋/橋本以蔵
撮影:三澤勝治
出演:岩田光央/佐々木望/小山茉美/玄田哲章/石田太郎/鈴木瑞穂/淵崎有里子
1988年/日本
寡作の原因について
原作の連載が始まったのは1982年12月からということは1982年7月に日本で公開された『ブレードランナー』(リドリー・スコット監督)から多大な影響を受けたことは、時代背景が2019年に設定されたことから十分に窺われ、当然のことながらラストのエンディングは同様に知性を追求した果ての『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督)の「スター・チャイルド」であろう。
しかし今回初めて観る本作にそれほど感動しなかった理由は、期待が高すぎたこともあるだろうが、この30年の間にアニメーションの作画方法が多彩になり、本作のような精密画が珍しくなくなったことに加えて、致命的な点としてケイなどのヒロインたちに全く魅力を感じないからである。これは想像以上に重要な点で、『宇宙戦艦ヤマト』も『機動戦士ガンダム』も『新世紀エヴァンゲリオン』も宮崎駿監督の一連の作品もヒロインの魅力が作者を奮い立たせていたようなもので、だから本作はBLという誤解が生じてしまっているのだと思う。