原題:『Judy』
監督:ルパート・グールド
脚本:トム・エッジ
撮影:オーレ・ブラット・バークランド
出演:レネー・ゼルウィガー/ルーファス・シーウェル/マイケル・ガンボン/フィン・ウィットロック
2019年/アメリカ・イギリス
伝記映画には収まらないスーパースターについて
ジュディ・ガーランドを演じたレネー・ゼルウィガーの熱演は十分に伝わってくるのだが、例えば、娘のライザ・ミネリとの関係など詳細に描かれることはなく、その他にも華やかな有名人との交流は描かれないまま、晩年の落ちぶれた時にフォーカスが当てられているために、これがジュディ・ガーランドだと誤解されることに杞憂してしまう。
子役に覚醒剤を与えて働かせていたというハリウッドの暗部が明るみにされているが、それよりも個人的には『ティファニーで朝食を』(ブレイク・エドワーズ監督 1961年)でユニオシという悪名高い日系アメリカ人を演じたミッキー・ルーニーが子役時代にガーランドと並ぶ人気を博していたことに驚いた。
ここではガーランド全盛期の『若草の頃(Meet Me in St. Louis)』(ヴィンセント・ミネリ監督 1944年)の「ザ・トロリー・ソング」を和訳しておきたい。
「The Trolley Song」 Judy Garland 日本語訳
路面電車がカラン、カラン、カランと走っていった
リン、リン、リンとベルが鳴った
ジン、ジン、ジンと私の琴線が鳴った
私たちがハンティントンの小さな谷に向かっていた時だった
ダッダッダッとモーターが鳴った
ガッガッガッとブレーキがかけられた
ジャン、ジャン、ジャンと私の琴線が鳴った
私たちがハンティントンの湖になだらかに進んでいた時だった
晴天で空気は爽やかだった
スイカズラの香りが私を芯からうっとりとさせた
私は歌わずにいられなかったけれど歌は下手だった
実際は私は気分が昂りすぎて声も出せなかったのだ
ブー、ブー、ブーと汽笛が鳴った
終点の時だ
降りる時だと私の琴線が鳴った
私たちがハンティントン公園で降りた時だった
糊のきいた高い襟とハイトップのスニーカーを身に付け
頭に髪を盛り上げて
私は浮かれないようしていた
路面電車に乗っている内に
私は意気消沈していた
明るい茶色の山高帽と明るい緑色のネクタイを身に付け
彼はこの世で一番のハンサムだった
私は渇望し出したから
十まで数えた後
また十まで数えた
路面電車がカラン、カラン、カランと走っていった
リン、リン、リンとベルが鳴った
ジン、ジン、ジンと私の琴線が鳴った
その間じゅう私は彼を見て落ちたのだ
ダッダッダッとモーターが鳴った
ガッガッガッとブレーキがかけられた
ジャン、ジャン、ジャンと私の琴線が鳴った
彼が笑った時に車両が揺れた感じがした
彼は帽子を脱ぐと席に座った
彼は私の足を踏まないようにしたいと言った
彼は私に名前を尋ねたから私はかたずを飲んだ
私は言葉が出なかった
だって私は死ぬほどびっくりしたから
ダッダッダッとモーターが鳴った
シュー、シュー、シューと車輪が回った
ドク、ドク、ドクと私の琴線が鳴った
彼が立ち上がると
私はようやく分かった
宇宙が揺らぐ時にはどのように感じるのかを
晴天で空気は爽やかだった
スイカズラの香りが私を芯からうっとりとさせた
私は歌わずにいられなかったけれど歌は下手だった
実際は私は気分が昂りすぎて声も出せなかったのだ
ダッダッダッとモーターが鳴った
シュー、シュー、シューと車輪が回った
ドク、ドク、ドクと私の琴線が鳴った
彼が行こうとした時
私は手で彼の袖を握り
あたかも計画通りだったように
彼は私のそばにいてくれた
ただ二人で立っていることだけが最も重要だった
終点まで彼は腕で私を抱きしめてくれた
Meet Me In St. Louis (1944) – The Trolley Song