原題:『The Cured』
監督:デヴィッド・フレイン
脚本:デヴィッド・フレイン
撮影:ピアーズ・マッグレイル
出演:エレン・ペイジ/サム・キーリー/トム・ヴォーン=ローラー/スチュアート・グレアム
2017年/フランス・イギリス・アイルランド・アメリカ
差別が生じる原因について
メイズ・ウィルスという新種のウィルスに見舞われたアイルランドを舞台にした本作は、治療法の発見により感染してゾンビのように振る舞っていた人間の四分の三が回復する見込みがあり、残りの四分の一は「感染者」として収容施設に隔離されるのだが、回復した人間は社会に出られるものの感染時の記憶がなくなるわけではなく、三種類の人間の間の葛藤から差別が生じることになる。
つまり本作は今ならば新型コロナウィルスに感染後に治った人を差別する風潮に対する異議申し立てではあるのだろうが、正確を期するならば回復した人間はPTSDを患っており、その治療もせずに社会に送り出してしまっている政府の対応にこそ問題の本質があるように思う。最後まで陰鬱で救いがないのが観ていて辛い。
因みに「メイズ・ウィルス」という名前の由来は、以前北アイルランドのリズバーンにあった刑務所「メイズ刑務所(Maze Prison)」から取られていると思う。