MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ハリエット』

2020-06-28 00:56:31 | goo映画レビュー

原題:『Harriet』
監督:ケイシー・レモンズ
脚本:ケイシー・レモンズ/グレゴリー・アレン・ハワード
撮影:ジョン・トール
出演:シンシア・エリヴォ/レスリー・オドム・Jr/ジェニファー・ネトルズ/ジャネール・モネイ
2019年/アメリカ

「所有」という言葉でしか語れない「愛」について

 主人公のアラミンタ・ロス(ミンティ)、後のハリエット・タブマン(Harriet Tubman)は実在するアメリカの奴隷解放運動家である。主人に頭を叩かれ頭蓋骨骨折の後遺症で「神」と会話できるようになったというハリエットのエピソードを加えることで、本作はただの伝記映画を越えてエンターテインメントとして楽しめる作品になっている。
 ところでハリエットに対する主人のギデオン・ブロデスの想いが気になる。幼少の頃、腸チフスを患ったギデオンを献身的に看病したハリエットをギデオンは愛していたように思うのだが、ギデオンがハリエットにかける言葉は「愛している(I love you.)」ではなく、「所有している(I own you.)」なのである。これはギデオンの個人的な問題というよりも盤石な白人文化や社会全体に漂う「空気」の問題であり、ある意味、抵抗しようにもギデオン個人ではどうしようもない問題で、ギデオンには抵抗するという考えさえ浮かばず愛を持て余しているのである。人種問題を一般的に語ろうとするとどうしてもパーソナルな問題が見落とされてしまう嫌いがある。
 シンシア・エリヴォの名曲「スタンド・アップ」を和訳しておく。

「Stand Up」 Cynthia Erivo 日本語訳

私は太陽に向かって歩いている
重大な使命をおびて
銃には一発の銃弾
逃げなければならない場合に備えて
私は頭の後ろにも目がついている
雲が消えて空に星が満ちる時
私が人々のために出来ることが出来る間は
私は出来ることをする

私が立ち上がって人々を引き寄せるのはそんな時
私たちは河を超えた遥か向こうにある
真新しい家に一緒に行こう
あなたには自由が呼ぶ声が聞こえる?
自由が私に返事を求める
諦めるつもりはない
私は骨の髄まで自由を感じることができるから

太陽が輝き始める前の朝早く
私たちはあの分岐点まで移動を始めるつもり
私は泥沼の中を骨を折って進んでいる
私は決心したんだ
私が救済へ至るまでに多少の血を失ってもかまわない
私が死ぬまでに得られる力を込めて私は戦うのだから

だから私が立ち上がって人々を引き寄せるのはそんな時
私たちは河を超えた遥か向こうにある
真新しい家に一緒に行こう
あなたには自由が呼ぶ声が聞こえる?
自由が私に返事を求める
諦めるつもりはない

何が狂っているのかは分かっているし
私はひとりぼっちだから対峙するのは大変かもしれない
私は失敗するかもしれないけれど
空に星が満ちるように確実に
私が努力したことは神には分かっている

立ち上がって人々を引き寄せる
私たちは河を超えた遥か向こうにある
真新しい家に一緒に行こう
あなたには自由が呼ぶ声が聞こえる?
自由が私に返事を求める
諦めるつもりはない

私が立ち上がって人々を引き寄せるのはそんな時
私たちは河を超えた遥か向こうにある
真新しい家に一緒に行こう
あなたには自由が呼ぶ声が聞こえる?
自由が私に返事を求める
諦めるつもりはない

私が立ち上がって人々を引き寄せるのはそんな時
私たちは河を超えた遥か向こうにある
真新しい家に一緒に行こう
あなたには自由が呼ぶ声が聞こえる?
自由が私に返事を求める
諦めるつもりはない
私は骨の髄まで自由を感じることができるから

私はあなたのための場所を用意しに行く
私はあなたのための場所を用意しに行く
私はあなたのための場所を用意しに行く
私はあなたのための場所を用意しに行く

Cynthia Erivo - Stand Up - Oscars 2020 Performance


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