THE FOURTH PARTY

チョイ毒エッセイのようなもの。コメント欄でのやりとりはしません。用事がある人のみ書き込んでくだされ。

ハブ迷走

2009-03-01 02:31:03 | 工作

DDCマシン製作にあたり、車輪関係の選択を迫られている。
以前の記事と重複する内容もあるが、あらためて経緯を書いてみたい。
 
俺がマシン製作にあたって真っ先に考えたのは、ホイール径が大きい方がベアリングの回転数が下がるので、より負荷が少なくなるのでは・・・ということ。
ところが、エコラン関係のサイトを徘徊してみたところ、最近のエコランでの主流は20インチであり、ミシュラン(既に廃盤)IRCのエコラン専用タイヤを使用するらしい。
この理由の一つ目は、26インチなどの大きなサイズでは横剛性が不足する事、次にフルカウル化した時に前面投影面積が増える事。
そして最大の理由が、大径ホイールを使用してタイヤの接地面積を前後方向に大きく取るよりも、小径ホイールで横方向に接地面積を増やした方が、より転がり抵抗を抑えつつも必要なグリップを得やすい・・・という事らしい。ホンマかいな。
しかしそれもハッタリではないようで、エコランの現場では、本来は1.75である筈のミシュランやIRCのエコランタイヤを2.125というワイドリムに履かせるのが当たり前のようだ。それどころかもっと幅広のリムに嵌めるケースもあるらしい。
そして最近では14インチの切削ワイドリムに、オリジナルタイヤ(!)を履かせるチームすらあるらしい・・・ということが分かった。
 
さて、DDCは「ムダを無くす」という意味ではエコランマシンに近いといえるが、最大の違いは「速く走らなければならない」というところにある。DDCはタイムトライアルなのだ。
DDCマシンには動力が無いので、ブレーキが重要になってくると考えた。何せ俺が出場を狙うクラスのコースには、シケインがある。
 
20インチで簡単にDDCマシンを製作しようと考えると、20インチの自転車を2台買ってきて、チョン切って使うのが簡単で安上がりと思われる。
ところがですな、それをやると、ホイールベアリングが普通の自転車の標準である「カップ&コーン」というタイプになってしまう。また、普通の自転車のアクスルシャフト径は9mmであるようなので、ハブを両側から支持する必要が生じてしまう。俺の工作技術も踏まえて考えると、結果としてカップ&コーンで両持ちハブの、Vブレーキとかカンチブレーキになってしまうのだ。
 
逆に俺は、片持ちハブのディスクブレーキを理想として頭の中に思い描いている。
そう考える最大の理由は、カッコ良いというところにある。カップ&コーンの9mmシャフトでは不可能であろう「片持ち」を、深溝玉軸受け(以後、工業用ベアリングと表記)であれば実現できるのでは・・・と。
工業用ベアリングを採用すると、幾つかのメリットが生まれる。いくつかの秘策があるのだ。以下、当分の間は企業秘密。
 
仕事の取引先に何人かの自転車好きがいる。相談しつつ、色々と話をしていると「ダウンヒル用の自転車には、特別に20mmシャフトを採用したモデルがある」という情報を得た。
早速自力で調べてみたのだが、バイクと自転車では「用語」がかなり異なる。バイクの世界で使用されている用語が違う意味に使われている事があるのだ(今回問題を発生する原因となった件は後述)。少々この辺りで混乱してしまい、別の物を探す事にした。
「片持ちならば車椅子だよなあ」という事で調べてみると、確かにある。というより実際に、エコランの世界ではFホイールに車椅子のハブを組むのはメジャーな事のようだ。
問題はブレーキ(エコランは駆動輪であるリヤホイールのみブレーキを装備するのが一般的らしい・・・というか、2系統ブレーキがレギュレーションに謳われているのだが、書き出すと止まらないので割愛)。
ハブがそこそこの大きさであるならば、ブレーキディスク用のボスを製作して取り付ければ、ディスクブレーキを装備する事ができるだろう。コレも条件に叶いそうな物を発見。
ところが、一つだけ条件に合わない事がある。ハブベアリングは工業用ベアリングなのだが、それがどうやらインチサイズらしい。インチサイズそのものは我慢したとしても、残念ながら俺の秘策の一部が使えなくなる恐れがある(詳細は秘密)。それにシャフトが12.7φ。ちょっと細いし、俺の加工技術と照らし合わせると、若干苦労する可能性を秘めている。
 
そんな事を田中麗震愚掲示板に雑談程度に書き込んだら、やはり自転車野郎であるN川君から興味深い書き込みがあった。
キャノンデールという自転車メーカーのMTBに、片持ちハブのフロントサスがある・・・と。
キャノンデールという自転車メーカーは勿論知っていたが、同メーカーはパソコンでいえばマック、車で言えばアルファロメオみたいなモンで(笑)、購入できる店が限らる。尚且つパーツの互換性に乏しい(らしい)のでチェックしていなかった。

Lefty_hub

調べた所、片持ちハブのフロントセクションを「LEFTY」(左利きの意)というらしく、パーツ構成も俺の希望に近い。ところが何と価格がハブだけで¥16000超え。左右のベアリングのサイズが異なり、アクスルシャフトもテーパーというか、段つきになっているので、特別に作るかキャノンデール純正パーツを購入する必要がある。
そしてキャノンデールはアメリカのメーカーである・・・ということは、ベアリングもインチサイズである可能性が高い。ブレーキディスクも初期型では4穴、現行は6穴と言っているが、PCDが他の自転車と適合するかは微妙な所だ・・・。 ※自転車の世界では「6穴」と、スプラインによる「センターロック」の二種類が規格共通化されている
 
ここで俺の頭は「20mmアクスル」に巻き戻った。「LEFTY」と「20mmアクスル」は、概略は同じやんけ・・・と。
 
再度調べていくうちにやっと気が付いた。自転車の世界では工業用ベアリング(深溝玉軸受)の事を「シールドベアリング」と呼ぶらしい。
嘘つけェ!!! カンペキに騙されていた!!!
 
シールドベアリングってのは・・・ベアリングの基本構造はべつにして、デリケートな部分を金属板でシールド(shieled)したベアリングだと認識しているが、自転車の世界では工業用ベアリング全て(すなわち開放型であろうが、接触ゴムシールや非接触ゴムシール=sealedであろうが、シールドであろうが・・・そしてきっとニードルローラー他でさえも)を『シールドベアリング』と呼んでいるのであろう。
たまたま取引先の一人が気を遣ってくれて、自転車パーツカタログや雑誌を貸してくれたのだが、その中にベアリングに関しての記載があった。

Img_2918

「MTBのベアリングは“シールド”ベアリングではない」として、shieldとsealedの違いを解説。注文する時は「シールベアリング」と注文しよう・・・だってサ。
・・・ププッ。よくこんな事を雑誌に書くなあ。書いている情報そのものは間違ってないけど、根本的に論点がズレてまっせ。個人ブログじゃないんだから、もう少し勉強してから書いて欲しいものだ。
 
それで、良く名前が知られていてリーズナブルな価格の「シマノ」の製品は、実は全てのハブがカップ&コーンのベアリングであることが判明。シマノはソレを売りにしてるんだってサ。カップ&コーンの方がいいらしいのだけど、ホンマかいな。じゃ、なんでバイクはカップ&コーンじゃないんだろう。
 
それはさておき、「20mmシャフト」のアクスルシャフトは、本当に20mmなのだろうか?
インチ系で言えば19.1φとか21.7φとかを便宜上20mmと表現しているのではあるまいか?
借りた自転車パーツの資料には全く記載がない。仮にシャフトが20mmだとするならば、規格品には全部で8種類のベアリングが存在する。加工技術と設備が足りないので、俺はシャフトを製作する事ができないが、20mmであればM20のHTB(ハイテンションボルト・・・クロモリ鋼)の半ネジを使える(実測で19.9φ前後であった)。
 
悶々としていても仕方が無いので、ダメ元でコレぞと思うハブを買ってみることにした。
BAZOOKAというブランド(廉価なブランドとして有名らしい)の、フロント用の20mmアクスルハブ「B-129」ってヤツ。32ホールと36ホールの2種類があるが、リムのラインナップなど研究した後に32Hに決定。
サイクルベースあさひのネットワーキング店にて注文。¥7140(税込)+送料・代引き手数料で¥8190。在庫品では無かったものの、注文してから5日ほどで到着した。

Img_2917

 
内径は20mmピッタリのシャフト用だったが、カラーが外れないのでベアリングの確認ができない。ハブの構造は不明・・・。

Img_2914

じっくりと観察したところ、どうやらカラーはOリングで支持されているだけのようだったので、商品到着後30分ほどで、ハブをハンマーで激しく叩きはじめる。メーカー様、スミマセン。
オリャーッ!!! 外れたぜィ。

Img_2916

基本的な構造はバイクと同じだが、ダストシールである程度保持されているケースの多いバイクとは違って、カラーが二分割でインナーとアウターに分かれる。この間にOリングが嵌っていて、ダストシールの役割を果たしているようだ。

Hub

一応このハブは非分解という事になっているような感じで、検索して発見したとある個人ブログからの情報ではあるものの、「ベアリングのメンテナンスはできない」との事。製品には取説もなければ消耗品リストもない。
俺に言わせりゃ組み立てた以上は分解可能な訳だ。せめてメーカーも情報を公開するべきだと思うのだが、自転車の世界ではハブは消耗品だということか。それにしてもカスタム用のハブが7千円ナニガシで買えるというのはバイクでは俄かには信じがたい。台湾製みたいだけどw 
ディスタンスカラーはバイクに比べると複雑な形状で、両サイドにOリングが嵌っている。カタカタと遊びのあるバイク用と違って、Oリングによってある程度の位置決めが為されているようだ。
 
そして肝心のベアリングだが・・・天は我に味方した!! 予想通りであった。

Bearing

深溝玉軸受で、NBKの非接触ゴムシール(多分・・・NBKは手元資料が少ないのでわからない)。6804LLBであった。
 
この後残りの3つも注文予定。
当然、リムもだ。

コメント (4)
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