過労死予備群の「食から笑顔になる生活」

夜討ち朝駆けで仕事する日々。忙しくとも自分なりの手間をかけて、美味しく笑顔になる生活を志します。

Spazio 7:ミルフィーユのように重なる想い

2016-10-08 16:48:00 | 旅日記
★飛び込み記事です★



■Sfoglia, frutti di bosco e yogurt di bufala
■Mille-feuille, wild berry sorbet, buffalo yogurt cream
■ワイルド・ベリィのソルベ、水牛ヨーグルトクリームのミルフィーユ

朋輩の注文したドルチェは三枚重ねのミルフィーユ(笑)。パイのようなサクッと見た目でありながら、しっとりを秘めていて、サクリッとスプーンで切り取れる、食べ易さが嬉しかったそう(笑)。
水牛ヨーグルトが、さらに小さなポッコンチーニのように、くるんっと丸まっていて可愛らしい! 酸味のくっきりしたワイルド・ベリィと合わせて、ただ甘いだけに終わらせない、大人の爽やかさを宿したドルチェと思いました。



ドルチェの後に、もうひと口おまけに、トリュフをひと粒。赤ワインで楽しく締め括りました。

一皿ごとのお料理の楽しみに加えて、食事を組みたて、味わう全体のプロセスが、とても楽しく、豊かに感じた時間でした。
だから、サービスについてくれた青年に、それを伝えて、このレストランについて理解するテキスト(英語で!)があったら、読みたいのだと、頼みました。



青年はキッチン奥にいき、それからレストランの外にでていったりして、1部の紙束を用意してくれました。
「イタリア語でNikoが書いた、このレストランのヒストリーを英訳したものと、今日のメニューの英語版をご用意しました。」
「Nikoのお料理は、きっとお客様に喜んでいただけると思うのですが、英訳されたレシピ本はないのです。イタリア語の本は、一階の本屋に在庫があると、連絡をうけました。」

きちんと依頼に応えて、いい時間の締め括りとなりました。
本当に豊かな時間でした。


後から、貰ったテキストを読んで、様々なことに合点がいきました。

「Niko Romito Formazione」は、プロ中のプロを養成する料理学校として、2011年から位置付けられています。
最初は、Niko Romito がシェフを勤める、Michelin 三ツ星のレストラン「REALE」と同じ場所に開講されています。一年に15人だけで、徹底的に三ツ星で創作するレベルにまで磨かれる、そう。
その課程の卒業プログラムとして、Spazioは2013年から、Eataly Roma Ostenseで開かれているとのこと。料理のアイディアから営業、もてなしの全てに到って、Niko Romitoの厳しい評価と指導によって、いるとのこと。

ああ、だから! サービスについた青年が、クックではないか?と私が思ったのは、あっていました。

サービスにつくのも、お客様の反応をみせていただき、どんな料理にお客様の喜びをひきだせるのか、かけがえのない体験。自分の作る料理の哲学を、言葉でも伝えられるようになるための訓練の一環と、テキストにありました。

NikoがSpazioに望むこと、プロの一線で働くレベルに求めることが、書かれていました(ニッコリ)。
■キーワードは、SIMPLICITY。
これは厳しい…。英語的には、いわゆる単純や簡単でないからです。
前提として魅力的、実用的であるうえで、簡素であり、かつ、ごちゃごちゃしていない状態であり続ける品質、を意味するのですから…。

たった一回のランチでしたが、このレストランはその目的を実現しようとしているって、感じました。
未来のシェフ候補生は、真似でも流行り廃りでもなく、伝統に学んで、そこからイノベーションを求め、それを公開し、更に作り続けるように、学びの場所にいるのです。独り善がりではなく、お客様に話す言葉と心をもって(ニッコリ)。

このような知識は、後からテキストを読んで、理解したことでした。これが解った今、また喜びを抱えて、このレストランを再訪したいと、願っています(ニッコリ)。
そして、この青年達に未来を見せてやろうとする人間、Niko Romitoさんのレストランにも、いつか必ず!と、いま、考えています。



じゃん♪ このテキストを読む前に、Eatalyの膨大な料理書のコーナーで、本を買ってきておりました(笑)。イタリア語だけなので、辞書をひきつつ、勉強しないとなりません(笑)。



ミシュランの三ツ星シェフの、この丁寧な経過写真を含む本! シェフのコンセプトと思われるポイントがまとめ書きしてありました。
そう、秘伝なんてものは、プロにはないのです。そうやって、料理は世界に拡がっていくのです。

いくつもの喜びを受け取った、得難いレストランとその後の時間でした。
■Spazio, Roma, Italy。2016年9月中旬


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Spazio 6:ドルチェはミモザ、松かさ?(笑)

2016-10-08 10:44:00 | 旅日記
おはようございます。冷たい激しい雨が降っています。運動会の小さい人はがっかり…でしょうか。がんばれ、テルテル坊主!(ニッコリ)

★飛び込み記事です★



■Mimosa agri agrumi, lamponi e gin
■Citrusy "mimosa" cake with raspberry and gin sauce
■ラズベリィとジン・ソースを添えた、柑橘の香り豊かな「ミモザ」ケーキ

私のドルチェです。ミモザは花の名前なのに、何故、特別名称かと思って(笑)、注文しました。
おお、上生菓子のまつかさみたい!(ニッコリ)
フワッとした本体に、カシッとした小さなキューブが沢山つけられているのです。

松かさ、松ぼっくりを先ず連想したのは、私が関東の人間であって、ミモザは日常に庭木として見ないからでしょう(笑)。そして、バチカン博物館で、ドームで、沢山の松ぼっくりの意匠を目にしたからだと思います。

松ぼっくり(ピーニャ pina)はローマ帝国では、繁栄の象徴でした。故にバチカン博物館で、呆れるほど見ました(笑)。そして、キリスト教では、ヨゼフとマリアが迫害から逃げる時に、松かさのなっているもみの木が隠して守ったと伝えられています。それ故、デザインに好んで使われています(ニッコリ)。

青年にそんな話をすると、「ミモザはイタリアでは特別な花です。女性を称える花ですから、お客様にぴったりです」と、いいます。
照れたワタクシ(笑)、笑顔で話を打ち切りました(爆)。



外側のキューブは、ザクザクしたクッキー生地で香ばしい
中には、柑橘がほのかに香るクリームが、むっちり♪ ラズベリィソースの甘酸っぱさ、そしてクリームに何かほんのり…お酒、あ、見えないジン(笑)がいるのですね!

美しい。大事に作られた味がします。シンプルで上質、といえば、伝わるでしょうか。(ニッコリ)

……あ、お皿の縁にのってるのは、分けてもらった朋輩のデザートです(笑)。


さて、話を戻します。
「ミモザ」ケーキと書くからには、何か定番のミモザ・ケーキがあるはずです。イタリアの特別なミモザって?

後から調べました(笑)。
イタリアの春まだ浅き3月8日、Festa della donna (女性の日)という名前のお祝いがある、とのこと。その日はミモザの花を贈り、ミモザケーキを食するとわかりました。

女性の日……アメリカのウーマンリブの活動史で読んだのは、大昔です(笑)。

1904年3月8日に、ニューヨークで、女性労働者が参政権を求めるデモを起こしました。この動きは欧州でもひろがり、1911年同日には第一回国際女性デーの宣言に至ります。それでも道は厳しく、女性が独立した人格と認められるまでには、長い時間が必要だったと、歴史は書かれています。
世界大戦を経て、1975年には国連も、International Women's Dayに呼応し、女性の平等な社会参加と環境整備を加盟国に呼び掛ける日となりました。
ウーマンリブ運動は、これを起爆剤のひとつとしています。これがステイツの歴史に書かれた記録です。

さて、イタリアでは?
1946年、イタリア女性連合は、この記念日3/8をアピールする象徴として、この時期に満開になり香りたつミモザを、選んだ、と書かれていました。小さくてふかふかのポンポンが散りばめられたようなミモザ。春を待つ喜びとともに拡がっていったそうです。
いまのイタリアでは、政治的な意味よりは、すべての女性に感謝の気持ちとともにミモザを贈る日になった、とのこと。
そんな日のお祝いのケーキが、Torta mimosa、ミモザケーキ(ニッコリ)。


■ミモザケーキの伝統的な作り方
1)スポンジケーキと生クリームを、何層か重ねて、ドーム型にする。
2)賽の目に細かく切ったスポンジケーキを丁寧に散りばめる。
3)最後に粉砂糖をトップから、ふりかけて完成。
4)お好みで、酸味のある苺を飾る。

通年を通しては、賽の目のスポンジケーキではなく、パウダーをまぶす小振りのケーキも販売されている、とのこと。酸味ある苺を中に含んで、ニッコリ。


ああ、そうなのか!
お皿にのった、小ぶりのミモザケーキの背後には百年を越えた、女性の自立への願いがあったのか!
それを政治だけに留めず、喜びと感謝を著す形にした、イタリアって素敵だっと、ワクワクしました。
悲鳴のようなプロパガンダはヒトに届かないけれど、「ありがとう、あなたが大事です」って気持ちは、静かに拡がる力があることでしょう(ニッコリ)。

ああ、だから……このレストランでも、特別なミモザケーキを作っているのですね! 伝統を学び、新しい希望を組み合わせていく、イノベーション(ニッコリ)。
この記事を書くために調べてみて、良かった! 学びは尽きることがありません。食は時を越えるパスポートです(ニッコリ)。


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