トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

今日のトンボ「溺れたメス」

2016-11-16 | 小父のお隣さん
 集水路と上棚の法面の土留め工が終わり、一息ついて眺めているところにマユタテアカネのカップルが産卵に訪れた。水面はいくらでもあるのに、作業で踏み潰しグズグズになり水に浸っているところを選んで産卵していく。「もう立冬過ぎてる…」と、その「神ってる」逞しさに感心しつつ見とれていたらミゾソバの茎に止まるつもりだったらしいのだが、そのまま水面に落ちてしまった。連結状態のまま動かないので「チャンス」とばかり撮影しようとケータイを構える間にオスだけ飛び去ってしまった。何とも甲斐性のない薄情なオスだったことよ。

 メスはと見ると横たわったまま動く事も無い。盛期だと水面に落下しても飛び立って事無きを得るのが常なのだが、さすがに立冬過ぎの終盤だと生気を欠く。其のままにするのもかわいそうだから拾い上げて杭の上に置いてみた。全身ずぶ濡れで体の撥水性も失われてしまっている。このままでは翅の乾きも悪いからと体を起こしてあげて気が付いた。右前翅が半分欠損していた。
 まあ、腰を折りながら「この身体でよくぞ産卵した」と思わずにはおれなかった。作業道具を集め帰路の途中に姿を探したが、既に飛び立ったようで姿が無い。生者必滅は世の理と言えども、また本能のままに赴く行動と認識していても拍手したくなる。あっぱれだ。

    びしょぬれ状態  ➡   体を起こして損傷が分かった