
ここ一週間ほど前から二つ池の水位が下がって底が露わになっている。漏水が原因なのは判り切っていたのだが度重なる漏水常習池なので先送りしていた。
この日、午後から降雨の予報で午前中は曇天でも安定している気象と見て漏水孔潰しに入った。露わになった泥の上の水の行先を確かめて見当を付けたら、セリがランナーを多数伸ばしている堤のコーナーあたりだと判明。

そこで植物体を取り除き漏水部の周囲に泥土を盛り水を止めた上で漏水孔に水が飲み込まれるのを待った。やはり大きな漏水孔で拳が入る大きさなのだった。これではチョロチョロ水しか送水できない水辺の池に湛水出来るはずがない。水の全てを漏水尽してしまう大きさだった。
泥の盛り土で水を防ぎ漏水部を掘り返す。孔は直下に嵌入しているとばかり思っていたが「し」の字に曲がって横穴となった。この部分は既に基盤層で拳がスポスポ入る大きさがあった。

畦の直下まで掘り進めて行ったところで蠢く物体を発見し一見してモクズガニの一部と分かった。この漏水孔を維持していたのはモクズガニで、最近の孔ではない。下の棚に何処から水が入っているのか不明の水の出口があるのだ。
恐らく、このモクズガニが生息し棲みやすいように維持してきたはずで漏水部もそれにつながっているのは間違いなく、今回の「池の水全部抜けた」漏水原因はとりあえず潰した事になる。
生物的要因で漏水させられるのは「毎度!」普通の事で、特にモクズガニ、アカハライモリ、サワガニ、鼠、モグラなどが関与してくるが、今回のようなモクズガニによる漏水の被害が大きい。
これら生物的漏水の端緒となっているのが葦の根茎で、おおむね親指の太さ程もある。これが基盤層を貫き縦横に走り、枯れたり食べられたりすると確固たる漏水トンネルが完成する。この水域の漏水の走りは葦の根茎だと言っても良いだろう。もう「埋土」で済むような状態ではないのだ。

漏水孔にモクズガニを見出した時、奥に逃げ込まれたら後々厄介になるので剣先スコップの肩に足を掛け「エイヤッ!」とばかりモクズガニのいる場所より奥側にスコップを差し入れた。これで逃げ場を失ったモクズガニは捕捉されるだけになる。
実際はスコップを差し込んだ時に足を削り取られていたから移動能力は大きく削がれていた。このモクズガニ、放置しても悪さが出来ない身の上になったけれど、罪を償わせるべき持ち帰って出汁にする予定だった。

ところがYさんがいたから日頃のキュウリのお礼に「食べる?」と尋ねたら「食べる」と言うので譲った。そして運転席から出てきたのは「どら焼き4個袋入り」で思わぬ物々交換になった。この分だと「わらしべ長者」になれるかもしれなかったが、小生既に浮き世の欲とは無縁の境地なので三時のおやつに4日間楽しもう。まあ、モクズガニにとっては惨事となってYさんの晩菜の藻屑と消えるだろう…。
小生にとっては晩菜にはならずとも「万歳×4」の事態であった。これで漏水孔一つは潰した。諺にもある「千里の堤防、蟻の一穴から」とまさしくそれであるが「千里の歌声、喉の一穴から」とは全く異なる癒されない浸る事も出来ない嫌な状態でもある。そのうえ老衰も人知れず進行しているし・・・。ああ、おいらの肛門、切れ痔の出血から、てなもんで三度糞。冗談ですって!。
漏水部わが脳味噌も駄々々漏れ