雨空を見ているとコロンビアローズの「黒い花は黒い花びら あの人のあの人の黒い背広・・・」なんて歌がよみがえるのだ。水原弘だったか「黒い花びら静かに散った・・・」と似たような情感の歌謡曲もあるけれど、代々のコロンビアローズは真空管ラジオで耳をそばだてて聞いていたのだった。
それはともかく一日雨模様だと分かりきっていたから前日のうちに課題を決めていた。そのため閉店間際のスーパーまで走り材料を揃いたのだった。何故、ここまで肩入れするかといえば肩に乗っているものがいる。この憑き物を外さない限りはさっぱりしないのが小生の性向でもある。まあ「一種のおんぶお化け」に近いけれど「ヨーグル蘇クッキー」が不完全だったために乗り移ってしまった妖気でもある。
「ヨーグル蘇クッキー」がホロホロでまとまらず、後輩の栄養士の助言を得て卵か小麦粉かバターかと思案した結果、固さも欲しいから小麦粉に決めた。「これで完璧なヨーグル蘇クッキーが出来るはず」と翌日は朝食前から開始、まずは前日に買い忘れたアルミケースをコンビニまで買い足しに行った。ところが「開店6時から」の張り紙が出ている。家に帰っても用は足せないからしばし店の前で開店を待った。のにのに、店には無かったのだった。結局は9時開店のスーパーに行く羽目になった。
何故、アルミケースが欲しかったかと言うとクッキーは「型抜き」を止めて円形の「押し型」で成形する事にしたのだ。これならもろくても動物形より割れにくい。そのケースに合わせヒノキ板をくり抜き型を作るのに寸法が必要だった。この段取りの悪さで押し型のくり抜きは目分量の50φである。
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材料にした「飲むヨーグルト」は前日作って固まらなかったメーカーの製品ではなかったのだが、これがまた「あれまっ!」の事態を招いたのだった。それは加熱しても分離しない。どちらかと言うとホットプレートの底で焦げ付き易いような性質があって、手を止める事が出来ないまま耳たぶの固さまで水分を飛ばし続けた。出来上がりはボッテリと言うかネッチリと言うべきか、今度は粘性が強くてどうにも扱いにくいヨーグル蘇になっている。
この違いは菌種に因るのか添加物に因るのかわかるはずも無く、これでは卵を繋ぎにしても扱い難いだけで、小麦粉でおとなしくさせる事になってしまった。小麦粉は重量比で1割のつもりだったのだがベタベタが収まらず2割加えて誤魔化してしまった。まあ、蕎麦でさえ二八ソバがあるのだから「二八ヨーグル蘇クッキー」と言ってもいいだろう。
前日に作ったまとまらない「ヨーグル蘇クッキー」は冷蔵庫に入れて置いたら少しは固まった。しかし水分を保ったようにべたつく。口に入れればすぐに崩壊してしまうがしっとり感は半端ない感じのクッキーになっていた。この日作った「二八ヨーグル蘇クッキー」は固さは保たれて見た目はクッキーになっているが、小麦粉を加えてあるのに口に入れると簡単に崩壊する。まず噛む必要が無いクッキーになってしまった。
味は濃厚なヨーグルト味で「摩訶不思議」とでも言いたい味になっている。再チャレンジはあるかと聞かれれば手間暇苦労を重ねて作るスイーツでも無く、雨の日の手慰みで「楽しませてもらった」のだ。収穫と言うと初めて作ったクッキーであるけれど、意外と簡単なのが理解できて、お茶受けに自分好みの一品を手軽に用意しても良い気分になった。
これでさっぱり、蘇で作るクッキー二種のタスクは終了。助言をしてくれた栄養士に見本を届けて一見落着した。これで肩の憑き物は転げ落ちたけれど、今だくっついているのが肩こりだ。しかし、たまたま見た番組で手話通訳者の職業病、頚肩腕症候群の事を伝えていたのだが、小生が肩こりと思っていたのはもしかしたら頚肩腕症候群ではないだろうか、と新たな疑念が憑りついてしまった。
急遽作った押し型 ➡
ケース入りで焼く ➡
出来た、焦げ目が強い