澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

映画「セデック・バレ」(霧社事件)

2011年09月20日 12時55分27秒 | 台湾

 魏徳聖監督の映画「セデック・バレ」が完成した。魏監督と言えば、「海角七号」。台湾映画史上最大のヒット作となったこの作品は、日本と台湾の歴史的絆を描いた。ところが、新作の「セディック・バレ」は、日本統治時代に発生した原住民の反乱事件をテーマとしたものなので、どういう作品に仕上がるか注目を集めていた。

 映画「一八九五乙未」を見ても分かるが、台湾人(=本省人)の作る映画は、反日プロパガンダでは全くない。台湾を領有することになった日本人の意気込みや苦悩が描かれていて、歴史に興味がある日本人が見れば、感動ものの映画である。

→→「セデック・バレ」の予告編 
http://www.youtube.com/watch?v=OVDqI-STFRg

 たぶん、この「セデック・バレ」も同じような映画となっていると思われる。
 台湾在住で、日本統治時代の歴史に詳しい片倉桂史氏が、「台湾の声」に次のようなレポートを載せているので、ここに転載したい。


「片倉佳史の台湾便り 」より転載 



映画「セデック・バレ」が公開されています

 すでに9日から前編が公開になっていますが、映画「セデック・バレ」の特別試写会にお招きいただきました。映画「海角7号」で知られる魏徳聖監督が手がけた作品で、前編と後編を合わせると、たっぷり4時間半という大作です。

 この映画は霧社事件をテーマにており、セデック族(現地ではセイダッカとかサジェクなどという発音もあります)が歩んだ運命を描いています。霧社事件は時代によって様々な思惑が絡み合い、なかなか真実像に近づくことができません。現地を訪ね、古老の証言を集めて回っても、全体像、そしてその根底に流れているものに触れることは非常に難しいという現実があります。

 この作品は「部族の尊厳とは何か」を主軸に置き、セデックの伝統文化や当時の世相、そして統治者として君臨した日本との関わりなど、これらをセデック族の視点から描いています。印象としては「日本人とセデック族の闘争」という構図を抱きがちですが、それよりはむしろ、「文化」や「伝統」に「近代世界」が接触した際に起こる葛藤と悲劇、これをメインに描いているように感じました。

 また、台詞の大部分はセデック語です。台湾のドラマや映画はこういった時に北京語を話していたり(北京語は戦後に中華民国政府が制定したもので台湾の土着言語ではない)、間違いの多いへんな日本語が入っていたりすることが多いのですが、この映画では「眉渓(びけい)」という川の名前を日本人がなぜか北京語で発音しているという点以外、あまり気になるところはありません。こういった部分からもわかるように、スタッフが史実(事実)の探究に注いでいるこだわりと努力には誠意を感じます。

 映像も素晴らしく、カメラワークや俳優さんたちにも惹かれました。特にモーナルダオ役の林慶台氏は迫真の演技には注目です!
http://www.elle.com.tw/entertainment/news/seediq-bale-this-summer/node_867847/(img)/3

 ただ、不安要素というものも挙げられます。まず、霧社事件について、それなりの知識を持っていないとストーリーを理解できないのでは?というもの。映画の中にはほとんど解説らしきものがありません。霧社近辺の集落名と位置関係、そして対立の構図、干卓萬(かんたばん)事件、第二霧社事件の概要、凶蕃と味方蕃の関係、霧社事件後の原住民族社会など、個人的にはこういった知識が必要な気がしています。また、殺戮シーンが多く、リアルな描写が多いことをお知りおきください。前編は9月9日から、後編が9月30日からとなっています。

http://www.crown.com.tw/crown100/06Jun/417030.html
↑ 詳細はこちら
http://www.wretch.cc/blog/seediq1930
↑ オフィシャルブログはこちら
http://ladym64.exblog.jp/
↑ 石野真理のブログでも試写会の印象を書いています