「台風4号」のTV報道に辟易としている私。
一家族3人が公民館に避難、軽自動車が水たまりに突っ込んだ、老人が屋根から落ちて頭に怪我をした…TVは、こういう”情報”をこれでもかこれでもかと報道している。だが、こんな些細なニュースをいちいち報道する必要があるのだろうかと思うようになった。
あの3.11の非常時を思い起こすと、TV各局はどんな報道をしたのか。まず大震災が起きて、緊急報道態勢を執り、通常番組を休止した。各地の被害、避難者情報等々を優先する報道態勢は当然のことだが、原発事故が深刻化するに及んで、次第に「情報統制」の色合いを濃くしていった。
枝野官房長官の「現在のところ問題はない」という迷言に従うかのように、原発事故報道は「大した事故ではない」という方向に収斂していった。原発3号機の生映像が映る中、当該原発が黒煙を上げて爆発する映像を見ながら、「逃げられる人は逃げてください」と言ったのは、NHKの水野解説委員だけだった。その後、しばらくの間、水野解説委員はTVに登場しなくなり、「粛清」されたのではないかという噂が飛び交った。
緊急報道態勢を執る中で、NHKが毎日放送していた「海外ニュース」を取り止めたのは、海外からの不都合な情報を遮断するためだったと疑われても仕方がない。例えば、ドイツのZDFは、放射性物質の汚染状況を毎日報道していた。それを見たドイツの知人が、私にメールを送り、首都圏の放射線リアルデータを見るように教えてくれた。はるか欧州では、原発のメルトダウンと放射能汚染が報道されているというのに、私はその事実をメールで知ったのだった。これで、私のメスメディアに対する不信は決定的になった。
あのとき、緊急報道態勢の名目で、国民は黒い布をかぶせられた「籠の鳥」状態だった。「現在のところ問題はない」という無責任な発言が、被曝した福島県民にヨウ素剤を配らず、原発がメルトダウンしていることも隠してしまった。
たかが通常の台風ひとつで、これだけの大騒ぎ。だが、日本の運命を決するような大災害のときは、政府の意向を汲んで、真実を隠蔽するTV各局。
福島原発4号機から目を背けると、危ないぞ…。