いよいよ東京国立博物館で始まる「台北 國立故宮博物院展」だが、ここに来て予期せぬ出来事が起きた。この展覧会の一部のポスターが、台湾政府(=中華民國政府)関係者が関知しないまま、「台北 故宮博物院展」と書き換えられていたという。そのため、台湾政府は、抗議声明を発表した。(下記Radio Taiwan International News参照)
(右側が正式の表記。左側は意図的に「國立」の文字が削られ改竄されたポスター)
「そんなこと、どうでもいいじゃん」と軽く考える向きもあるかも知れないが、ことはそれほど単純ではない。まず、「國立」の文字を削除したのが、NHKと「毎日新聞」だったという事実。媚中で知られる両メディアは、ことあるごとに中国の主張に「寄り添い」、台湾を中国の一地域であるかのように報道してきた。先日の台湾学生による「台湾立法院占拠事件」報道を中国の意向に沿ってほぼ放棄し、今度は自らの手でポスターから「國立」の文字を削除した。これは、中国は「ひとつ」であり、それを代表するのが中華人民共和国政府だという「日中国交回復」(1972年)以来のドグマ(教条)に呪縛されているからに他ならない。
だが、東日本大震災時、どの国が一番日本のことを心配してくれたか。250億円もの義援金を送ってくれた台湾(中華民國)の人々だったことは、もはや明らかな事実だ。台湾が門外不出の清朝期の「國宝」を日本国内で初展示公開してくれるのは、日本や日本人に対する親近感、親日感情があってこそのことだろう。そうした感情を踏みにじるNHKの行為は、本当に日本の公共放送がやることなのだろうかと憤りを覚える。
ちなみに、台湾(中華民國)の政府機関・学校には、「國立」と付くのが正式名称であることが多い。例えば、台湾で最も有名な「台湾大学」は、「國立台湾大学」が正式名称。「國立政治大学」「國立成功大学」などが正式な名称なのだから、故宮博物院の正式名称は「國立故宮博物館」ただひとつなのだ。
「台湾立法院」と報道すると、立法院は「国会」を意味するのだから、国家ではない台湾に国会があるのはおかしいと「中国筋」からクレームが付く。「台北 國立故宮博物館」展が日本で開催されるのをどうにかして邪魔しようとする中国は、このような形で「対日メディア工作」を仕掛けてきたというのが、この事件の真相だろう。
故宮、日本展ポスター「国立」漏れに抗議2014-06-19 Radio Taiwan In ternational News ※
国立故宮博物院が、24日に始まる日本での展示会の宣伝ポスターに「国立」の文字が抜けている事に抗議、訂正を求めた。
国立故宮博物院の「神品至宝」展は、24日から日本の東京国立博物館で開催されるが、このほど、東京国立博物館と協力しているメディアが作製した宣伝ポスターに「国立」の文字がなく、「台北故宮博物院」のみの記載となっている事が明らかとなった。
国立故宮博物院が19日に明らかにしたところによると、16日、日本に駐在する台湾のメディアから知らされたという。その後、日本の東京国立博物館側からは、館内の展示ホール及び博物館の管轄する場所に貼られたポスターについては、すべて契約通り「国立故宮博物院」と記載されている事、そして、その他の宣伝ポスターについては、協力メディアであるNHKと毎日新聞により作製されたことがわかったという。
このため、国立故宮博物院では17日、書面で東京国立博物館に対し、厳正な立場を伝えた他、18日に展示品を東京国立博物館に搬送した故宮博物院の関係者が、ポスターでの名称をただちに訂正するよう求める正式な書簡を手渡したという。
国立故宮博物院の金士先・スポークスマンは19日、「書面で抗議し、即刻訂正するよう求めた。決して曖昧にできない問題だからだ。東京国立博物館がメディアに責任を押し付けて済むという問題ではない。このポスターはすでに九州でも貼られているという。我々は九州国立博物館に対しても同じ過ちをしないよう書面で求める」と話した。
国立故宮博物院の馮明珠・院長は、「我々には、日本のメディアを拘束する力はないが、東京国立博物館に対してすべての宣伝ポスターで、『国立故宮博物院』という正式な名称が明記されるよう協力を求めた」と話した。
【何故?】台湾が「国立」削除に猛抗議 故宮展ポスターで
【編集長の一言】
今まで台湾を「一地区」と公言した馬英九は「国立」こだわるはずもない。
土壇場になっての抗議は二つの要素がある。一つは馬英九の「祖国」である中国に「日本に厳しい姿勢」を見せるためと、24日の中国台湾弁公室主任張志軍の台湾訪問への批判を交わすためである。
日本を批判中国の歓心を得ようとしていることは馬英九の狙いなのだ。
「台湾の声」編集長 林 建良
2014.6.20共同通信
【台北共同】東京国立博物館で24日から始まる「故宮展」を前に、台湾総統府と台北の故宮博物院は20日、日本側が正式名称の「台北国立故宮博物院」から「国立」を削除したポスターを作成、都内に掲示しているとして抗議する声明を発表した。
修正に応じない場合「一切の展示活動を取り消す」と主張し、「名誉団長」を務める馬英九総統の周美青夫人の訪日にも影響すると指摘した。
展覧会の名称は「台北国立故宮博物院―神品至宝―」だが、日本は台湾を国と承認していないため「国立」の文言を使用するかどうか日本側関係者の間で議論となり、最終的に固有名詞として扱うことになった経緯がある。
(右側が正式の表記。左側は意図的に「國立」の文字が削られ改竄されたポスター)
「そんなこと、どうでもいいじゃん」と軽く考える向きもあるかも知れないが、ことはそれほど単純ではない。まず、「國立」の文字を削除したのが、NHKと「毎日新聞」だったという事実。媚中で知られる両メディアは、ことあるごとに中国の主張に「寄り添い」、台湾を中国の一地域であるかのように報道してきた。先日の台湾学生による「台湾立法院占拠事件」報道を中国の意向に沿ってほぼ放棄し、今度は自らの手でポスターから「國立」の文字を削除した。これは、中国は「ひとつ」であり、それを代表するのが中華人民共和国政府だという「日中国交回復」(1972年)以来のドグマ(教条)に呪縛されているからに他ならない。
だが、東日本大震災時、どの国が一番日本のことを心配してくれたか。250億円もの義援金を送ってくれた台湾(中華民國)の人々だったことは、もはや明らかな事実だ。台湾が門外不出の清朝期の「國宝」を日本国内で初展示公開してくれるのは、日本や日本人に対する親近感、親日感情があってこそのことだろう。そうした感情を踏みにじるNHKの行為は、本当に日本の公共放送がやることなのだろうかと憤りを覚える。
ちなみに、台湾(中華民國)の政府機関・学校には、「國立」と付くのが正式名称であることが多い。例えば、台湾で最も有名な「台湾大学」は、「國立台湾大学」が正式名称。「國立政治大学」「國立成功大学」などが正式な名称なのだから、故宮博物院の正式名称は「國立故宮博物館」ただひとつなのだ。
「台湾立法院」と報道すると、立法院は「国会」を意味するのだから、国家ではない台湾に国会があるのはおかしいと「中国筋」からクレームが付く。「台北 國立故宮博物館」展が日本で開催されるのをどうにかして邪魔しようとする中国は、このような形で「対日メディア工作」を仕掛けてきたというのが、この事件の真相だろう。
故宮、日本展ポスター「国立」漏れに抗議2014-06-19 Radio Taiwan In ternational News ※
国立故宮博物院が、24日に始まる日本での展示会の宣伝ポスターに「国立」の文字が抜けている事に抗議、訂正を求めた。
国立故宮博物院の「神品至宝」展は、24日から日本の東京国立博物館で開催されるが、このほど、東京国立博物館と協力しているメディアが作製した宣伝ポスターに「国立」の文字がなく、「台北故宮博物院」のみの記載となっている事が明らかとなった。
国立故宮博物院が19日に明らかにしたところによると、16日、日本に駐在する台湾のメディアから知らされたという。その後、日本の東京国立博物館側からは、館内の展示ホール及び博物館の管轄する場所に貼られたポスターについては、すべて契約通り「国立故宮博物院」と記載されている事、そして、その他の宣伝ポスターについては、協力メディアであるNHKと毎日新聞により作製されたことがわかったという。
このため、国立故宮博物院では17日、書面で東京国立博物館に対し、厳正な立場を伝えた他、18日に展示品を東京国立博物館に搬送した故宮博物院の関係者が、ポスターでの名称をただちに訂正するよう求める正式な書簡を手渡したという。
国立故宮博物院の金士先・スポークスマンは19日、「書面で抗議し、即刻訂正するよう求めた。決して曖昧にできない問題だからだ。東京国立博物館がメディアに責任を押し付けて済むという問題ではない。このポスターはすでに九州でも貼られているという。我々は九州国立博物館に対しても同じ過ちをしないよう書面で求める」と話した。
国立故宮博物院の馮明珠・院長は、「我々には、日本のメディアを拘束する力はないが、東京国立博物館に対してすべての宣伝ポスターで、『国立故宮博物院』という正式な名称が明記されるよう協力を求めた」と話した。
【何故?】台湾が「国立」削除に猛抗議 故宮展ポスターで
【編集長の一言】
今まで台湾を「一地区」と公言した馬英九は「国立」こだわるはずもない。
土壇場になっての抗議は二つの要素がある。一つは馬英九の「祖国」である中国に「日本に厳しい姿勢」を見せるためと、24日の中国台湾弁公室主任張志軍の台湾訪問への批判を交わすためである。
日本を批判中国の歓心を得ようとしていることは馬英九の狙いなのだ。
「台湾の声」編集長 林 建良
2014.6.20共同通信
【台北共同】東京国立博物館で24日から始まる「故宮展」を前に、台湾総統府と台北の故宮博物院は20日、日本側が正式名称の「台北国立故宮博物院」から「国立」を削除したポスターを作成、都内に掲示しているとして抗議する声明を発表した。
修正に応じない場合「一切の展示活動を取り消す」と主張し、「名誉団長」を務める馬英九総統の周美青夫人の訪日にも影響すると指摘した。
展覧会の名称は「台北国立故宮博物院―神品至宝―」だが、日本は台湾を国と承認していないため「国立」の文言を使用するかどうか日本側関係者の間で議論となり、最終的に固有名詞として扱うことになった経緯がある。