澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

桐朋学園オーケストラ演奏会

2016年11月13日 20時26分05秒 | 音楽・映画

 桐朋学園オーケストラ演奏会に行く。「桐朋学園音楽部門の学生・生徒からなるオーケストラ」ということで、部分的には高校生(音楽科)も含まれているようだ。
 


 これまで、いくつかの大学オケの演奏会に行ったことがある。クラシック音楽を愛する気持ちは十分伝わってくるものの、こちらの心の琴線に触れるような演奏には出会ったことがなかった。だが、このオケはレベルが全然違う。

 プログラムは次のとおり。



 濱島祐貴作曲「 は闇に谺して for orchestra」は「本邦初演」だった。難解な現代曲というよりも、和風のリズム、うねるような音の流れに、そのまま浸ることができる楽曲だった。

 指揮者の中田延亮は「巨匠ジャン・フルネ最後の愛弟子の一人」だという。私は、その亡きマエストロ(ジャン・フルネ)が指揮する演奏会を6回ほど聴いたことがある。彼がフランス音楽を指揮すると、いつもの都響が別のオケのようになって、色彩感あふれた音を出すのを聴いた。その経験から、指揮者の中田延亮がラヴェル「スペイン狂詩曲」をどう表現するのか注目。桐朋学園オケは、緻密な弦のアンサンブル、色彩感あふれた管楽器、打楽器で、どう聴いても、プロの楽団とそん色のない演奏を聴かせてくれた。

 ブラームス第三番は、どちらかというと、明るく軽やかな演奏。というと、不出来だったのかと思われるが、そうではない。大昔、エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団による「ブラームス交響曲全集」が、ドイツ的な重厚さに欠けた演奏であると、評論家先生から酷評されたことがある。フランス的なブラームスは、ドイツびいきの方々のお気に召さなかったということなのだが、何と狭量な批評だったことか。この桐朋学園オケのブラームスは、どちらかというと、そのスイス・ロマンド的なサウンドなのかもしれない。指揮者である中田延亮の好みの音なのだろうか。だとすればこのオケは、指揮者の意図を完全に体現化できる、プロ顔負けのオケと言えるのかもしれない。

 若々しい音楽家が奏でるサウンドをそのまま受け入れ、心から楽しんだ演奏会だった。