中国・内モンゴル自治区でモンゴル語教育廃止というニュースが伝えられた。日本のマスメディアは、中共(=中国共産党)政府への忖度か、あるいは「武漢ウイルス」(新型コロナウイルス)騒ぎに紛れてか、ほとんど報道していないようだ、
本ブログでは、モンゴルに関する話をしばしば取り上げてきた。7年ほど前の一年間、東京外国語大学で「モンゴル近現代史」(二木博史教授)を聴講したことと、故・岡田英弘氏の著作に触発されたからだ。
中国・内モンゴル自治区は、戦前において満蒙と呼ばれた地域、満洲国と隣接した内蒙古を指す。現在のモンゴル国に相当する地域は「外蒙古」と呼ばれていたから、これらの呼称自体が漢民族の「中華思想」を反映したものとなっている。したがって、中共政権に反対する立場からは、内モンゴルを「南モンゴル」と呼ぶ。「新彊ウイグル自治区」を「東トルキスタン」とするのも、同様の立場からだ。
本ブログでは、モンゴルに関する話をしばしば取り上げてきた。7年ほど前の一年間、東京外国語大学で「モンゴル近現代史」(二木博史教授)を聴講したことと、故・岡田英弘氏の著作に触発されたからだ。
中国・内モンゴル自治区は、戦前において満蒙と呼ばれた地域、満洲国と隣接した内蒙古を指す。現在のモンゴル国に相当する地域は「外蒙古」と呼ばれていたから、これらの呼称自体が漢民族の「中華思想」を反映したものとなっている。したがって、中共政権に反対する立場からは、内モンゴルを「南モンゴル」と呼ぶ。「新彊ウイグル自治区」を「東トルキスタン」とするのも、同様の立場からだ。
1949年、中共政権が成立すると、毛沢東は少数民族に対し幅広い自治権を約束した。しかし、中共の謀略によってすべてが反故にされ、逆に漢民族の少数民族地域への居住が進められた。その結果、内モンゴル自治区は、漢民族の人口がモンゴル人を上回り、遊牧地の面積は極端に狭められた。
その内モンゴルの学校で、これまでモンゴル語で行われてきた授業が廃止され、すべて中国語(普通話)になるというニュース。それは、中共政府の究極の目的が民族浄化にあることを意味する。同時に中共支配の「中華帝国」内において、少数民族居住領域の植民地化を強めようとする意図がうかがわれる。
内モンゴル自治区で”民族浄化”が企てられたとしても、モンゴル高原にはモンゴル人の独立国家であるモンゴル国が厳然と存在するから、チベットや新彊ウイグルのような強圧的な弾圧は無理だろうと思われる。ただ、習近平にはそんな”常識”も通じないのかも知れない。
内モンゴル自治区で”民族浄化”が企てられたとしても、モンゴル高原にはモンゴル人の独立国家であるモンゴル国が厳然と存在するから、チベットや新彊ウイグルのような強圧的な弾圧は無理だろうと思われる。ただ、習近平にはそんな”常識”も通じないのかも知れない。
中国内モンゴル自治区がモンゴル語教育廃止、抗議広がる
NEWSポストセブン / 2020年7月18日 7時5分
モンゴル自治区で抗議の輪が広がる
中国内モンゴル自治区の通遼市政府は9月1日から始まる小中学校の新学期から、これまでは中国語とモンゴル語の両方で教えていた中国共産党理論や道徳、中国の歴史、政治などの科目を中国語だけで教え、今後はモンゴル語での教育は行わないことを通知したことが分かった。
これに対して、同市のモンゴル族父兄ら市民数千人は「モンゴル語での教育の廃止はモンゴル族の人々やモンゴルの歴史や伝統などを軽視するものだ」などと抗議。同自治区政府教育局に厳重な抗議書を手渡し、今後もモンゴル語教育を継続するよう強く求める公開書簡も提出した。
公開書簡は 「中国内の見識ある歴史家や言語学者、北京の中央民族大学などの少数民族機関はモンゴル族を含む少数民族の子弟に対して、それぞれの民族独自の言語を学ぶことは、その民族の伝統や文化を保護・伝承するうえで極めて重要だ」と前置き。そのうえで、「通遼市政府がそのようなモンゴル語を公用語として教えないのは、モンゴル族を軽視していることにほかならない」などと強く抗議している。
すでに、抗議に賛同する署名は4000人以上に達しているが、当局は公開書簡には返答していないという。
これらの抗議行動は内モンゴル自治区や北京や上海などの大都市に居住するモンゴル族、あるいはモンゴル国の有識者も参加する姿勢を見せており、今後も抗議行動は内外に拡大しそうな勢いだ。
中国共産党によるモンゴル統治に反対し、内モンゴル自治区を「南モンゴル」と呼んで、同自治区の独立を目指している「南モンゴル・クリルタイ(議会)」(本部・ドイツ)のシ・ヘミン議長は米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」の取材に回答。「漢人(中国人)は中国語で学ぶ権利があり、モンゴル人はモンゴル語で学ぶ権利がある。中国共産党は我々の権利を奪おうとしている。また、彼らはモンゴル人を文化的に虐殺しようとしているが、これは少数民族と漢族の56民族の協和を謳った中華人民共和国憲法に反している」と指摘している。
RFAは「通遼市市政府教育部のオフィスに電話したが、誰も電話には出なかった」と伝えている。
中国では新疆ウイグル自治区やチベット自治区でも小中学校などの教育機関での少数民族の言語の使用を禁止し、中国語だけでの授業を実施するなど、2012年の習近平政権発足後、少数民族の伝統・文化をないがしろにする傾向が強まっている