宮城県でM6.9の地震。NHKが地震報道を続ける中、テロップで「東京五輪、海外客断念を正式決定」というニュースが流れた。地震がなければ、トップニュースだったろうが、何にしても東京五輪開催はまさに鬼門と化しつつある。
国家予算がおよそ百兆円だとして、その3%にあたる三兆円ものカネが五輪中止によって無駄になる。この損失をJOCは「公費で補てん」とうそぶくが、「公費」とは他ならぬ血税のことだ。
今日の大地震で、国民の多くは「五輪騒ぎ」よりも「防災・国土強靭化」こそ必要だと感じたはずだ。「震災からの復興を世界に示す」はずの東京五輪が、コロナ禍はもとより、次の大震災におびえながら開催されるというのは、質の悪い冗談のようだ。
インパール作戦を例にして、「撤退」を決断できない組織は滅びる言った人がいる。「撤退」は必ずしも「敗北」ではないのに、硬直化した組織では 徹底抗戦、一億玉砕などという声が圧倒的になる。
この期に及んで、まだ東京五輪にすがりつく日本政府。「中止」の決断ができないと、さらに想定外の出来事が起きるだろう。もう、事態は崖っぷち。
東京五輪、海外客断念を正式決定=組織委、IOCなど合意
今夏の東京五輪・パラリンピックに向けて大会組織委員会、東京都、政府、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の各代表によるトップ級5者会談が20日、テレビ電話会議で開かれ、大会時に海外からの一般客の受け入れを断念することを正式に決めた。
新型コロナウイルスの収束が依然として見通せず、国内外で変異ウイルスが拡大している状況を踏まえ、5者で合意した。海外の一般客は全体の1割程度の100万人規模が見込まれていた。海外在住者が購入したチケットは払い戻される。
3日に行われた5者会談では、海外客の受け入れの可否を五輪聖火リレーが福島県で始まる25日までに決めることで合意。日本政府は受け入れ断念の方針を固め、IOCのバッハ会長は日本側の意向を尊重する姿勢を示していた。
トップ級会談は組織委の橋本聖子会長、小池百合子都知事、丸川珠代五輪担当相、バッハ会長、パーソンズIPC会長が出席。橋本会長は会談の冒頭で「困難な課題だが果断に決めていくべきことを決めたい」と述べ、IOCのバッハ会長は「難しい決定を下さなければならない」と話していた。
[時事通信社]