GITANES嗜好者は。気管を暖めるためにGITIANESを吸う。
もちろんウソだけど。
それとは無関係に・・・。
寒い1日。
小ぶりのビル一つが新たにまた私の担当とされ、所在地である隣町まで
車で移動。
その町は私が生まれそして16歳まで育った町でもある。
その小さいビルは、いろんな意味でその町のど真ん中にあり
テナントとして、レコード屋と洋服屋などが入っていた。
子供の頃のこのレコード屋は、自分と音楽の世界をつなぐ
貴重なチャンネルだった。
金持ちになったらこのレコード屋のレコードとギターを全部
買いたい!なんて少年SGCは淡い野望を持っていたのである
(演歌のレコード除く)。
その隣の服屋は、当時の年齢から見ると高額な服を扱っていて、
ウィンドウにカッコイイ服がディスプレイされていても
なかなか手が出ないような値札が付いていた。
おっさん(店の主人)は愛想が悪く、中学生なんかが店に足を
踏み入れても、ジロッと足先から頭の先まで見ると、
いらっしゃいませの言葉もなく、完全無視だった。
中2の夏休みに一度シャツを買ったことがあったが、あのときに
「ありがとう」と言わせることができたのがなんとも痛快だった。
今そのレコード屋はなくなっており、服屋は無愛想なオヤジが
相変わらずオーナーだが、あの頃と比較できないほど落ちぶれた
店に成り下がっていた。
屋上(6F)に上った。
昔住んでいたあたりまでくっきり見える。
あの病院は、昔兄貴がバスケの試合中に転倒して鎖骨を折り、
手術した病院。
あれはオヤジがたまにスーツを仕立てていたテーラー。
あの辺には、姉がムカデに足の指を刺され担ぎ込まれた病院。
母がいつも買い物していた鶏肉屋と肉屋のあたりも見える。
そういえば、16の時に路上でケンカになり、思い切り殴られて
鼻血が止まらなかったのは、このビルの正面だった。
快晴だったがビルの屋上は風が強く、寒くてたまらない。
鼻に手をやったが鼻血はもちろん出ていなかった。
鼻水は出放題寸前だったが。
寒さに我慢できなくなり車に戻る。
帰路、CDを聞きながらゆっくりと運転。
あのレコード屋が大繁盛していたあの頃、自動車の中で
CDなんてものを聴くことができるとは夢にも思わなかった。
小遣いを貯めたか、お年玉の一部かの1000円札2,3枚を落とさ
ないようにポケットに厳重にしまい込んでレコード屋に入り、
この限られたお金でどのレコードを買おうかと、2時間ぐらい迷って
いた私は、今は何の迷いもなく数枚のCDを数分で買ってしまう。
オトナになって小遣いが増えたのは喜ばしいことだが、子供の頃に
2時間も店内でどれにしょうかと迷っていた時間も、
ものすごく楽しかったような気がする。
オトナになるということは、少々のお金を手にして、そして
無性に楽しい時間を失ってしまうことなのだろうか。
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