なぜ隠す（第２２６１話）

GITANESは禁煙しやすいような気がする。
それとは無関係に・・・。

めんたいちりめんをスーパーで見つけた。
これが美味い。
甘辛いちりめんと、さらに明太子の味。
明太子はそれほど効いてはいないのだが味わいは
広く深くなる。
うまいなあこれ、とごはんに少量をのせ食べながら
考えた。
これさえあれば他のおかずはあんまり要らないな。
でもそれはそれで極端な。
じゃあ、おにぎりの具にすればいいではないか。

で、風呂にゆっくりつかっているときに
突然雷に打たれたように、疑問が降りてきた。
「なぜ隠す」
つまり、どうしておにぎりの内部深くへ具を
格納しなければならないのか　ということだ。
サプライズの企てがないかぎり、具が隠れている
必要などない。
特に自分がたべるためのおにぎりの具をなぜ隠す。
もう知っているではないか。
そのおにぎりの中からは、めんたいちりめんが出てくるのだ。
知ってるだろう、だって入れたのは自分だ。
なぜ隠す。
おにぎりの一部表面にのせる、まぶすなどすればいい。
「いや、それではおにぎりが持ちにくい」って？
表面全体に満遍なく具をくっつけるつもりか？
それじゃ具が多すぎるではないか。まるで
トゲトゲがいっぱい出た機雷みたいではないか。
そんな必要はないのだ。
「でも表面に具をのせたとしたら、弁当の
蓋にくっつくだろうし、ラップで包んでも
具が全部ラップにくっついてしまって、」って？
じゃあ別々にすればいいではないか。
おにぎりは何の具も入ってもくっついても
いないものにして、いくつかの具を小分けして
別に添える。
好きな順番で具をのせながら食べる。
具同士を混ぜてみようという奇跡の邂逅、
今世紀最初で最後のコラボなんてことも
実現可能だ。
「面倒くさくない？」って？
何を言っているのだ。面倒くささが文化なのだ。
試しに会社や学校にこの方式のおにぎりセットを
持っていき、立って具乗せ作業をやって御覧なさい。
自分専用のビュッフェだ。カフェテリア方式だ。
普通に具が隠されたおにぎりを機械的に食べるとき
よりも、貴方の目は３倍の輝きを発しているに違いない。

こうしてはおられない！
湯から飛び出て乱暴にタオルで身体をぬぐい
キッチンに向かった。

ごはんがなかった。