年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

昭和3年10月16日読売新聞

2007年10月02日 | べったら市
昭和3年10月16日読売新聞
あさ漬の買い方は
素人にはむずかしい
そろそろあさ漬が出始めました。このあさ漬は関西地方にもいくらかはありますが東京人の特に好むものです。漬け方を簡単に申し上げると、まず大根を洗って日に乾して、一寸水分を取り、やわらかくなったらば軽い塩漬にします。塩気が付いたならば麹に漬け込みます。これで一週間すると丁度食べ頃においしくなります。おいしいまずいということは塩の加減、麹の加減によりますがこれは経験から知るとして、一番困るのは陽気です。漬けている間に急に寒くなったり、又温度が上がったりしたならば一晩で皆すっぱくなってしまいます。
 麹を倹約するために塩は少なくしておいて砂糖を入れることをします。酷いのになるとサッカリンを入れて甘くするということもあったので、これは警視庁で厳重に取締っています。あさ漬に用いる大根は主に練馬大根ですが特にあさ漬によいのは十一月二十日位から後ででないと出ないので、初めは珍しいというだけでおいしくは無いのです。
 漬物の中でもあさ漬は特に厚く切って食べますが、これは味が薄いものですから特別包丁の香りが付きやすいからです。次は買う場合の注意ですが,困ることには素人には良い悪いの見分けはほとんどつかないのです。信用のある店から買うより仕方が無いでしょう。現在の値段は百匁18銭位から、上等は24銭位です。

昭和に入ると新聞記事の『浅漬』から『あさ漬』に変った。また昭和の初めには砂糖が国内自給となり再びサッカリンの取締が厳しくなった。

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