年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

ソルト・サイエンス2

2006年02月13日 | 宅老のグチ
ソルト・サイエンス・シンポジウム 2004年から
にがりの多い成分の塩で漬物を作る
前田安彦氏(全国漬物協同組合連合会常任顧問)の講演より
漬物における食塩の働きは、浸透圧で細胞を両透膜化しいわゆる漬かった状態にすること、塩の持つ味覚の利用、浸透圧による保存性を持たせることの、3つである。
古代から、漬物は塩による保存食品の地位をたもってきたが、しかし、戦後日本人の栄養摂取量等の改定の過程で食塩過剰摂取の問題が取り上げられ、一人一日10g以下の食塩摂取量が望ましいとされた。
その結果、漬物の減塩化が進み、更に肉体労働量の減少に伴い,高塩食品が嫌われ、漬物は低塩化し、保存食品から風味食品に変化した。このため食塩の考え方も変わり、保存という役割から機能性食塩(こだわりの塩)の需要が高まり多く市販された。
機能性食塩(こだわりの塩)の漬物に関係するものとして、発酵の促進、クロロフィルやアントシアンなどの野菜色調の保持、漬物物性の向上(漬物の歯切れの維持)、更に食塩の野菜漬けこみ時の付着性、細胞への浸透性のよさによる水上りの時間の短縮による品質の向上などが考えられる。
 しかし、官能検査による識別は普通の塩と機能性食塩(こだわりの塩)との区別は漬物においては困難であった。その理由としていま市販されている漬物は調味料が多く含まれているので食塩の差による品質の差が消失したかもしれない。
 前田安彦氏のこの講演の結論が述べられたとき、会場にいた機能性食塩(こだわりの塩)の関係者からため息が出た。彼は日本における漬物研究の第一人者で、聴衆はこだわりの塩の漬物に効能のお墨付きを期待していたかも知れなかった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ソルト・サイエンス1 | トップ | 中川船番所資料館 塩の輸送と... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。