先日の新聞記事。
全米で今年上半期に発売されたアナログレコードの売り上げがCDを上回った。これはレコードが中心だった1980年以来初めてとの事。ただこれはレコード復活という話ではなく、セールスの85%強を占めるオンラインでデジタル音源ファイルを聴取するストリーミングで、残り僅かなシェアをCDとLPで奪い合っており、オタクな購買層が熱く支えるLPの売り上げが微増した結果とのこと。ただ筆者は人間の可聴範囲外の周波数帯域をカットするCDに対し、音が自然なLPの音質の良さと集中力が保てる片面20分程度の尺、そしてプラケースに小さく収まったCDケースと異なり、30センチ四方のジャケットのアートスペースを評価していた。
そして記事の中で興味深ったのがA面とB面の存在。冒頭から最後まで片面に収録曲が直線的に並ぶCDに対し、背中合わせに二つの個性が共存しているLP。筆者は「ぼくたちが失った大切なもののひとつに『アルバムのB面1曲目』がある」と書いている。A面1曲目ともB面ラストとも違う独自の美学を全うするB面1曲目の麗しき存在・・・と書いている。
音質に関してはそこまで繊細でない耳だし、ジャケットについてはすでに書いた。A面B面については正直CDの方が取り扱いが楽なのは事実であるが、言われてみればA面が終わり、レコードをひっくり返してB面1曲目が流れるまでのあの手間と待ち時間は何とも懐かしい。
私にとってB面1曲目と言えばニール・ダイアモンドのアルバム「ジャズシンガー(JAZZSINGER)」のハローアゲインが思い出される。彼自身出演している映画のサントラ盤でこのハロー・・・から物語がラストへ向けて突き進んでいく。
今の子たちは「A面で恋をして」と言われてもさっぱり意味が分からないんだろうな。