北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

オオヒカゲ、久しぶりに採集。終戦の日のキタベニヒカゲ その参

2015-11-15 11:02:51 | 採集記・旅行・写真
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2015-8-15 (土)  晴れ 23℃

 オオヒカゲ、久しぶりに採集。   
 終戦の日のキタベニヒカゲ  その参



そこでベニヒカゲ採集は終了。

ゆっくり林道を下りはじめたら、砂利置き場付近でクマの糞があった。




熊糞を撮影していたら、その気配を感じてかすぐそばの草むらからオオヒカゲ3♂♂わさわさと飛び出してきた。

本能的に次々に採集して手のひら写真を撮った。











オオヒカゲを採集したのは何十年ぶりのことだろう。

昨年は子供たちの蝶採集につきあって北見市近郊の生田原(いくたわら)の山にはいったときは大発生していたが時期おそく汚損個体ばかりだった。

今日のオオヒカゲもやや盛期を過ぎている。はでやかなアザミの群落があり、いまだきれいな花が咲いている一方で、もうびっしりと種をつけている株もある。








帰りの渓流で予定していたヤマベ釣りは疲れてしまったので今日はパス。

夕方5時に北見の自宅に帰宅した。けっこう疲れたベニヒカゲ採集であった。

蝶友のK氏の電話、今日採集したベニヒカゲ(キタベニヒカゲ)の展翅をお願いした。彼は明日、斜里方面のベニヒカゲを見にゆくという。

まだ明るかったので 最後の力をふりしぼって 我が家の畑に繁茂する雑草をおおかた抜いた。かなりきれいになった。





文中、キタベニヒカゲになったりベニヒカゲになったりして申し訳ありません。キタベニヒカゲは♂性標がよく発達し、後翅表面の赤色斑列は無いか目立たない。一方、本州産は♂性標は発達せず、後翅表の赤色紋列がよく発達する。別種かどうかは別にして少なくとも私にとっては両者とても特異な個体群です。本州産ベニヒカゲに限らず本州産の蝶の中には世界的にみればとても特異な個体群がありツマジロウラジャノメやギフチョウはその代表選手だとおもいます。


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ベニヒカゲ♂の♀探索飛翔     終戦の日のキタベニヒカゲ  その弐

2015-11-13 09:36:23 | キタベニヒカゲ
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2015-8-15 (土)  晴れ 23℃

 ベニヒカゲ♂の♀探索飛翔   
 終戦の日のキタベニヒカゲ  その弐



       

今度は左沢をつめた。

かってベニヒカゲ(キタベニヒカゲ)の多かった小沢は樹木や草木がうっそうと生い茂って環境がすっかり変わっていた。

土がけ、岩がけには食草のリシリスゲが多い。




左沢も、もう車では無理といった林道終点間際の付近まで登って、そこでやっとベニヒカゲが出てきた。

鬱蒼とした森の林道にところどころポッカリと開けて日が射し込む日溜まりがある。




そこはヨツバヒヨドリやアキノキリンソウの群落があり、ベニヒカゲはどこからともなくやってきて密やかに吸蜜する。







ベニヒカゲを採集して三角紙に入れて花をみるとまたどこからかやってきた別のベニヒカゲが目の前で吸蜜しているといったパターンになってきた。

よく見るとベニヒカゲ♂たちは薄暗い木漏れ日の樹林内を日溜まりから日溜まりへと、結構な早さで飛び交っている。

低く飛んでいた♂が一気に10m ほど高く舞い上がったり、またひゆーっと低く降りてきたり実にダイナミックに飛んでいる。

恐らくエゾヒメギフチョウとまったく同じで、森のなかで懸命の♀探索飛翔をやっているのに違いない。

普通サイズの♂はオレンジ紋、その1/3ほどの超小型♂は濃い暗色調の紅紋で別種かと思われるほどだ。



♂前翅表の性標、黒っぽいところ、なんとなくおわかりでしょうか。ここに発香鱗が発達しているのがキタベニヒカゲの特徴です。
後翅表には赤色斑がほとんど現れないのもキタベニヒカゲの特徴です。



♀は3頭採集。


キタベニヒカゲ♀裏面。


キタベニヒカゲ♀表面。




♂は18頭採集。ほぼ新鮮。 























これらと同じくらいの個体数を採集せずに観察し、撮影したりしたので、私の目にとまった本日のベニヒカゲ総数はこの森では50頭くらいかと思う。

本気のネットマンなら全部ネットしてしまうに違いない。

最近の私はネットマン半分、カメラマン半分といったところです。

この日は午後3:30頃が最もベニヒカゲの飛来が多かったが、その後まもなく 3:45 ついに林道に日が射し込まなくなると、きっちりパッタリと消えてしまった。



こんなことをする♂もいます。手乗りベニヒカゲ。

文中、ベニヒカゲと言ったりキタベニヒカゲと言ったりして申し訳ありませんが、基本的には同一のものと思います。ただ、世界的視野でみると実は本州のベニヒカゲは、本州のツマジロウラジャノメと同様に本当に特異な個体群とおもいます。




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終戦の日のキタベニヒカゲ  その壱  ベニヒカゲの撮影、苦戦。

2015-11-12 20:47:36 | キタベニヒカゲ
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2015-8-15 (土)  晴れ 23℃
 
ベニヒカゲの撮影、苦戦。
終戦の日のキタベニヒカゲ  その壱

 

今日は終戦記念日だ。敗戦記念日と言わないのは負けた国のせめてもの意地であろうか。

戦勝国たちは誇らしげに戦勝記念日と言い、たいそうなパレードなど行って祝う。

道東では 蝶愛好家にとっては お盆、終戦記念日、というと一般的にベニヒカゲの最盛期を意味する。

AM11:20 我が家から車で30分ほどの北見市郊外の産地へベニヒカゲ(キタベニヒカゲ)を見に出発。時々曇るがおおむね晴れている。 

途中、川をみると先日の大雨による大増水はほぼ治まっていてヤマベ釣りによさそうだ。 

一方、大雨や集中豪雨のあとは倒木とうせんぼや、林道が荒れたり崩壊していることが多くちょっと気がかりではある。ワレモコウの見える草地にゴマシジミがあちこちに飛んでいた。

ほどなく、今から20年ほど昔、おびただしい数のベニヒカゲが見られたとある林道に到達。

ここにきたのは本当に久しぶりで自然景観はずいぶん変わり、まさにうっそうとした森に変身していた。

最初、林道の右沢をつめていったが蝶は少ない。ウラギンスジヒヨウモン、ミドリヒョウモン、ギンボシヒョウモンなど撮影しながら進む。 

蝶は少ないがメスグロヒョウモンだけはよく目につく。この蝶は従来北海道東部では稀種であったが、この20年ほどのあいだにどんどん増え続け、いまや北見の森には、いたるところ普通に見られる。





かわりにクモガタヒョウモンが完全に消えた。地球温暖化によるメスグロヒョウモンの北上であろうか。

いよいよ林道終点付近までえんえんと山を登ってやっと最初のベニヒカゲ1♂発見、しかし、かなり素早く、早く高く飛び、たちまち見失う。

もう一頭現れたが、車や人の動き、物音に敏感で同様にたちまち見失ってしまった。

その後いくら待っても次のベニヒカゲがこないので林道を下り始めた。日溜まりでヨツバヒヨドリに吸蜜中のベニヒカゲ1♂をやっと発見、ネットした。

一般的にこの時間帯のベニヒカゲはとても敏感。

発見しても撮影最適距離までの接近困難、物の気配に敏感ですぐ逃げる。

仕方なく最初は手のひら写真にならざるを得なかった。

しかし、少ないながら、ときどき良いモデルになってくれるのもいた。 














アリさんがちょっかいをかけにきた。



アブがひどくうるさい。油断するとじくっとやられたりする。みなさんご存じのとおりアブに二種類いて黄色いのがしつこい。






  この項、続く。



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熊本県民と阿蘇のオオルリシジミ

2015-11-10 21:43:45 | 採集記・旅行・写真
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熊本県民と阿蘇のオオルリシジミ


熊本城天守閣。



宇土櫓【うとやぐら】から金峰山をみたところ。

金峰山でカメラとネットを持ってうろうろしている私にあちこちで現地人男性3人が声をかけてきた。

なにやら相当怪しい奴だとおもっているのは間違いない。

彼らは私が蝶愛好家であることを知ると全員が、阿蘇でオオルリシジミを採って捕まった悪い蝶マニアがいるんだよといった話をしてくれた。

飲み屋の主人も私が金峰山で蝶の写真を撮るというと、同じ話をした。

タクシーの運転手もその話を何回もした。

前日、ゴム長靴を買う時の店員も同じ話をした。

金峰山山麓のアザミ荒れ地に隣接する家の方も、へー、北海道から蝶採りですかと驚きながらも同じ話をした。何じゃこれは .......... 。




2012-6-7 に 保護区域内でオオルリシジミ幼虫を採集した男女5人がつかまった事件があり熊本県界隈ではとりわけ大きく繰り返し報道されたもよう。

2014-5-7 熊本県南阿蘇村の牧草地で高松市からきた70代男性3人が絶滅危惧種(1B)オオルリシジミ56頭を密漁中のところを警察に通報されてつかまり書類送検された。

これらの事件は熊本界隈では、マスコミこぞって、それこそしつこいほど繰り返し報道された模様で熊本県民には オオルリシジミ→ 悪徳蝶マニアの密猟→ 標本高額で売買 といったワンパターン条件反射が完全に刷り込まれてしまったようだ。


平成16年12月7日施行の熊本県野生動植物の多様性の保全に関する条例違反。 オオルリシジミそのものは 熊本県野生動植物の多様性の保全を必要とする生物 として 2004年(平成17-5-20)に種指定されている。

          
           オオルリシジミ。指定前の古い標本。


一方、詳細は不明だが オオルリシジミ、ゴイシツバメシジミ、タイワンツバメシジミ のほか オオウラギンヒョウモン、ウラジロミドリシジミ、ゴマシジミ、ミドリシジミ のほか ダイコクコガネ、モートンイトトンボ、グンバイトンボ、コバネアオイトトンボ、ハッチョウトンボ が熊本県希少野生動植物の保護に関する条例に基づき指定種とされて H3 からH25 にかけて順次 採集禁止ないし採集などもってのほかといった状態になっているようだ。

もっと詳細はわからないが、採集行為一般を禁止するいわゆる保護地域もあるだろう。

さらに国の指定などもからみ、多くの希少生物が 2重3重4重の法律にかかわるかたちでがんじがらめの採集禁止状態である。

是非、採集禁止しっぱなしだけで終わらず生息環境の保全と毎年の発生状況のモニタリングにも努力していただけるようお願いしたい。

何故か行政は採集禁止まではひどく熱心だが(ここまではお金がかからない)、もっとも大切な生息環境の保全と毎年の発生状況のモニタリング(これには相当カネやマンパワーが必要)は一般的におざなりにされる傾向があるような気がする。 

この点、長野県の 北御牧のオオルリシジミを守る会 の活動は特筆ものです。

もはや熊本県では私は現状を知らなかったとはいえ、うかうかネットなど持って歩き回れない感じ。

とがめられたり職務質問などされなかったのは幸いであった。

北海道ではまだ規制種や採集禁止地域はさほど多くはないが、本州方面では昆虫は実際にネットで採るのではなくカメラやビデオで撮る時代になりつつある。

少なくとも比較的若い昆虫愛好家の考え方はそのように大きく変化しつつあるとおもう。

また画像撮影機能つき携帯電話などの発達で一般市民も怪しい者を容易に通報できる社会環境は密猟者と誤解されやすいネットマン(高齢者が多い)にはつらいところであろう。


     
       金峰山でみたゾウムシ。


        これで熊本の蝶の話は終了します。



金峰山山頂の神社。


金峰山山頂へピクニックにきた幼稚園児たち。







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2015年、熊本県熊本市金峰山、春の蝶類。 その三

2015-11-09 20:18:21 | 採集記・旅行・写真
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2015年、熊本県熊本市金峰山、春の蝶類。 その三

2015-5-22 (金) 晴れ

仕事の合間に市電に乗って 熊本市動植物園へ、なにがしかの蝶がいないかと向かった。

電車を降りてのどかな公園や運動場わきに沿って8分ほど歩く。

途中の道路脇の草場にチラチラとツバメシジミ春型♀が飛んでいて、草に止まったところをうまく撮影できた。




このほかに蝶はみえなかった。はじめヤマトシジミと思っていたがツバメシジミとは意外であった。

熊本市動植物園はとても広く、入園料大人300円。 入ってすぐのテナガザルの群、大きなシロサイ、カバが圧巻であったがそれ以外は素通りして蝶をさがした。広大な植物園は完全に人工の森、あまりにも美しい人工の花畑ばかりで、きれいなわき水とその下流の流れは自然のものを利用してすばらしい。

そのせいか、トンボが3-4種類ほど飛んでおり個体数は多い。

ラベンダーの花畑にはモンシロチョウが群れていた。

レストラン前のラベンダーにツマグロヒョウモン1♂、その他はモンキチョウ1♂が飛び回っていた。この他に蝶はみえなかった。





2015年5月21~22日、熊本市の蝶類 19種 リスト  

ツバメシジミ、ツマグロヒョウモン以外は金峰山にて観察。

アゲハチョウ科 4種

アオスジアゲハ 多数 目撃
モンキアゲハ  6♂♂目撃
カラスアゲハ  2♂♂目撃
アゲハチョウ  1♂ 目撃


テングチョウ科 1種

テングチョウ 3♂♂

シロチョウ科  3種

モンキチョウ    ♂♀ 多数
モンシロチョウ   ♂♀ 多数
スジグロシロチョウ 2♀♀

タテハチョウ科  3種

キタテハ       多数
イシガケチョウ    1♂
ツマグロヒョウモン  1♂ 熊本動物園


シジミチョウ科  5種

ツバメシジミ   1♀ 熊本動物園
ルリシジミ    1♂
ベニシジミ   多数目撃
サツマシジミ   1♂
ゴイシシジミ   1♂


セセリチョウ科  2種


ダイミョウセセリ  1♂目撃
チャバネセセリ   1♂


ジャノメチョウ科  1種

ヒメウラナミジャノメ 多数


熊本といえば、今回私が観察した、普通種たちではなく 特別天然記念物のゴイシツバメシジミや、阿蘇のオオルリシジミが有名。

熊本県民とオオルリシジミについては、県外からの旅行者としてとりわけ興味深いことがわかりましたので次項に述べさせていただきたいと思います。





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