「後期高齢者」に対する医療保険制度の保険料天引きがスタートしたが、大騒ぎになっている。保険証の不着や年金からの天引きなどで、混乱に輪をかけたようである。しかし、この制度は、2年前に法案が成立した改革法である。
国の財政事情や高齢化などの状況を踏まえて改革に踏み切った筈である。当時の報道でも医療制度改革として、評価されていたと思う。2年間の猶予期間があったにも拘らずこの騒ぎは異状である。行政の怠慢としか思えない。福田首相も「説明が足りなかったようだ」と表明しているが、厚労省も各自治体も、その責任は逃れられない。
「保険証が届いていない」とか「保険料の徴収方法が年金から天引き」が混乱の原因のようであるが、医療制度そのものの本質の問題とは異なるのではないだろうか?
徴収については、いろいろ方法もあろうが、それは法案検討段階の議論であって、今施行時に騒ぐ話ではないと思う。保険料の未納率が高いのは、以前から問題になっていたもので、年金からの天引きが基本的に悪いとは思えない。年金騒動での不信があるから、「天引きはけしからん」と言うのだろうが、気持ちは理解できるが、問題の筋違いではないか?現役の保険料は、国保を除いて皆 給与からの天引きである。
野党は、「制度の廃止だとか、高齢者いじめだ」とか騒いでいるが、継続的な医療制度改革の根本問題を避けて、政局にしているのが みえみえである。
マスコミも今こそ社会保障の基本である高齢者の医療制度のあり方と制度の説明をすべきではないか?自治体の怠慢は、今に始まったことではないが、国民の立場に立って制度の内容や必要性を説明してほしい。制度そのものは、税金や健保からの支援金が9割を占め決して高齢者に不安を与えるものではないと思うのだが。