日本橋架橋百年記念イベントとして、三井記念美術館で開催されている特別展「日本美術にみる橋ものがたり」~天の橋立から日本橋まで~を観に行ってきました。
道路のあるところには必ず橋があり、日頃は余り意識することなく渡っていると思うが、「橋」を意識して観ていると、その構造や歴史などがそれぞれの橋には、個性や背景があり実に興味深いものがある。
この特別展では、日本の美術品に描かれている「橋」を視点として、いろいろな角度から橋の文化や歴史などが見られて、その奥の深い意義を学ぶことが出来ました。
三井記念美術館には初めての訪問でしたが、5年ほど前に新装なった超近代的な日本橋三井タワーの中にある美術館とは思えないほど、シックな伝統的な美の空間が拡がっており、静寂な別世界の空間でした。
最初の「工芸に観る橋の意匠」では、陶器・蒔絵・屏風など秘蔵の作品に描かれている橋が紹介されていますが、古代の昔から「橋」は画になる対象格好のスポットだったのだろうか?源氏物語や東海道五十三次絵巻などには、必ず描かれていたようだ。
「神仏の橋」コーナーでは、この世と浄土を繋ぐ架け橋という意味があり、また、聖俗境界の橋してとらえられており、神社や寺社の聖地に入るところには必ず太鼓橋などの橋があったようで、絵巻や屏風に描かれています。
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天の六道を輪廻する衆生の世界から解脱して、浄土へ渡る架け橋として、聖と俗の境目となっていたそうです。その視点で観てみると、確かに大きな神社仏閣への入口には、名橋があるようで、日光の神橋なども紹介されていました。
「諸国の橋」コーナーでは、葛飾北斎や歌川広重の東海道五十三次画など秘蔵の作品が約20点ほど展示されており、多くの観客の脚が止まっていました。
最後には、橋の多い街である「京の橋・江戸の橋」コーナーでは、京都鴨川の三条大橋や隅田川の名橋など江戸時代に描かれた広重画などが展示されていますが、身近の橋に親しみ感もあり、興味深く観ていました。
「橋」を実用的な視点から、文化的な視点で観るという面白みが拡がり、管理者がスケッチの対象スポットとして橋に抱く視点が拡がり、ますます興味が湧いていた。
会場を後にして室町界隈を散策後、架橋100年を迎えた日本橋に着き改めていろんな角度から日本橋を眺めてみたが、シンボルである「麒麟像」は、頭が龍、胸が鹿で羽を持っており、「麒麟現るれば、聖人生まる」の故事から創られたようで、繁栄をもたらすものとして、古くから愛されているそうです。
また、四隅の親柱に立つ「獅子像」には、東京都のシンボルマークを抱いており、守護の神として日本橋を見守っているそうです。
しばし、感傷的に日本橋を眺めていましたが、百年を記念して日本橋発着の隅田川クルージングが出来ており、休日には多くの観光客の人気を得ているそうで、機会を見て一度乗船してみたいと期待して、日本橋を後にした。